お疲れ気味
りこは玄関を開けた。
「いらっしゃい」
こそには少し疲れたようすのツインテールの少女がいた。
「いいのか?もう遅いぞ」
「いいから呼んだの。ハルちゃんが天体観測に行ってるから、その間に話があるの。手短にするか早く入って」
「ああ…」
遠慮がちに神室は、葵ハルの玄関に入る。
彼女の柔らかい髪が揺れる。
廊下を歩きながら、早々とりこは話を始めた。
「新書目録のことだけど、見つかったわ」
「なんだって!」
「静かに」
「わ、悪い」
「最悪にも日本政府の手の中だったわ。でも安心して、それが重要な機密データということはわかっていても中をあけることは出来なかったみたい。ただ保管してただけね」
神室は目眩で、こめかみを抑える。
「最悪だな。だが、我々と彼らでは文明に差がある。そう簡単にはゆくまい。それでも、良くない状況にはかわりなかいが」
「そして、なんやかんやで取り返そうとしたのだけどあまりこちらも無茶出来ないでしょ」
りこはペロッとしたを出した。
「そのなんやかんやの部分が凄く気になるが……」
「残念。それは喋れないわ」
ソファーにもたれかかりながら、りこは資料を出した。
「なんだこれは」
「とりあえず、奪還は半分成功した。けど、回収が出来てないわ。おそらく新書目録がいるであろう場所に目星をつけておいた。病院、学校、廃墟ビルというところかしらね?絞ったけどまだ数は多いわ。でも、しらみ潰しに探せば見つかると思うわ。でも、なるべく急いでね」
そして、それを手渡す。
りこは、神室をじっと見る。
「悪いけど、私に出来る協力はここまで。これ以上は危ないから私はひくからね」
そして、すっぱりと言い切った。
「ああ……」
「不服?」
「まさか。上出来だ。手際の良さに茫然としてるくらいだ。その知り合いとやらに礼を伝えておいてくれ」
「勿論。伝えておくわね」
資料を神室は受け取った。
「話はそれだけだから、今日はもう帰って。研究のほう進まなくてごめんね」
「かまわない。今回は、イレギュラーの事故で手を煩わせたな。葵りこ、君にも感謝する」
「あら、有り難う」
「いや、それより疲れてるようだな。よく休んでくれよ。何かあったら葵ハルは申し訳ない……」
「どうしたのよ?」
まだ言いたげにしている神室の顔を覗く。
「悪かったな。君とは対等に話せるので、無理を言ってしまう。急がせてしまったようですまない。我々は、疲れてるたり眠ったりすることも少ないが、やはり人間の体はそうは出来てないんだな」
「あったりまえでしょ。そもそも私は人間なんだから。それにいいのよ」
「いいとは?」
「だって私達もう友達でしょ。だから困ったときはお互いさまよ」
疲れた顔をしているが、少しだけ笑顔を作って葵りこは笑ってくれた。
「なんだか、そういう風に笑うと葵ハルに似てるな」
「当たり前でしょ。兄妹なんだから」




