こわいんだからな
僕は神崎さんと名残惜しくも別れた。
家の近くの交差点に差し掛かる出前で手を振った。
「ふぅ」
ハルは吐息をついた。あいもかわらず恋する乙女ならぬ、男なのだ。やっぱり神崎さんはかっこいいな。好きになっちゃうわけだよ。
空は夕焼けにくれて沈んでいく。
今日も幸せな感じで寝れそうだな。はやく妹の待つマンションに帰ろう。ハルは足を急がせた。
その視線には気付かないふりをして。
「おい、おい。とんだしゃかりきボーイだな。俺を無視するとは」
何か眩しいものが見えたが、ハルは見なかったことにした。
「おい、おい、おい。ちょっと待てよ」
それでも、めげずについてくる。
「今日は幸せを噛み締めて、眠りにつきたいからお断りします」
「まて、まて、まて。まだ何も話してないだろう」
「話さなくてもわかる。嫌な予感しかしないから」
そこには、神崎冬子の彼氏もとい学校のプリンスこと祐希要がいた。あいかわらずのイケメン野郎だ。
「冷たいぞ。仮にも隣人だろう」
「勝手に引っ越してこられただけだから。それに神崎さんはあっちだよ。はやく追いかけたら?仲直りしたんでしょ」
僕はもう誰もいなくなった方角を指を指す。
「ばっ、ばちャローイ!!!!!今日はお前に用があるんだよ。そんなこと、冬子さま、じゃなくて冬子に相談なんか出来るわけないだろう。たから根気よく電信柱から様子を伺っていたんだよ。察しろよ」
なんか格好いいのにかっこわるいなこの人。
「じゃあ、何の話しなの?」
「聞いてくれるのか、いい奴だな」
ガシィと手を握られる。
うう、凄い力だ。神崎さんも握力強いし、彼氏彼女ってやっぱり似た者同士なのかな。
「家までついてこられると困るからだよ」
「そうか、聞いてくれるか」
そして、祐希くんは唐突に話し出す。
「お前、幽霊っ信じるタイプ?」
「いや、この科学万能の時代にそれはないと思うけど」
まぁ、宇宙人なら何処かにいる可能もあるけど。
「だよな。いないよな」
嬉しそうに祐希くんは興奮する。
「だったらさ、最近この学校の音楽室に出る幽霊のうわさ知ってるか?」
「ん~。なんか聞いたことあるような」
「それでな、各クラス委員に怖いからどうにかしてくれと相談があってな」
「祐希くん、クラス委員だったの?」
「おうともよ」
「神崎さんも?」
「いや、冬子は忙しいんだ。俺が調査してくる」
「そうなんだ。頑張ってね」
祐希くんは、僕の手を離さない。
「???」
「一緒に来てくれよ」
「なんで???嫌だけど」
意味がよくわからない。
「バッキャローイ。察しろよ。怖いんだよ」
祐希くは必死の形相だった。
「一緒に来てくれよ。友達だろ!一生のお願い。だってこわいから!!!神室と相馬には辛辣にされるし、りこちゃんには恥ずかしくて言えないんだから。ついて来てくれよ。なぁ、葵ハル!!!なぁ」
「手を離してくれるかな、祐希くん」
その勢いと鼻水にハルは若干引いていた。




