重力
剣先が重い。
スレイブが自分の意識とは別に逆らっていようだ。まるでその場だけ重力がかかっているかのように。
いや、ただの気のせいかもしれない。私は自分の能力を過信していたのだろうか。
ジュリは深く目を伏せた。
空は暮れ。放課後の教室にたたずむ人影。
いつものメンバー達だった。
「気のせいだろ。よく考えてみろ。そもそもスレイブは人間のみに使えるものだ。それを無理やり俺達のナノマシンで適用さてるんだ。不具合も出るだろう。だから、それは良い報告だよ。早速微調整をはじめよう」
淡々と神室は話した。
「だっさ。ジュリだっさ。負けてやんの」
楽しそうに祐希がケタケタ笑っていた。
「おい、祐希やめないか」
「いいさ。私が不甲斐なかったのだ」
ジュリは立ち上がり歩き出す。
そして、ドンッと祐希の肩を押す。
「はっ?」
「それはそれとして、そこまで笑われるのは少し不愉快だな。私は冬子様の従者ではあるが、これでも一人のシリウスの誇り高き戦士なのだから」
祐希から血の気が引いていく。
「これは、とある日本の技らしいがなかなか面白い」
「おぅっ!!!」
「アイアングローブというらしい」
手のひらで祐希の顔を潰しながら、ジュリは力を加える。
「ごべんだない……」
「おいおい。それくらいにしないか。ただでさえ戦力不足の陣営なんだ」
「そうだな。でも、素朴な疑問なのだが祐希になんの意味がある。私が二人分働けばよくないか?確かに冬子様の虫除けとしては優秀。だか、地球にきてから何かの役になったか?冬子様を怒らせたりしただけじゃないか?最近は、蒼ハルの妹と猫と遊んでるだけじゃないか。隠密行動。情報収集。護衛は私がやってる。スレイブ関係の研究、調査は神室がやっている」
ハッとした顔を神室はした。
「まて、まて。なにその表情。なぁおい、神室。いるだろ俺。唯一のムードメーカだぞ」
祐希は慌てた。
「いや、お前マジトラブルメーカーだから」
神室は真顔だった。
その時、ドアがガラリと開く。
「うるさいぞ。いつまで資料室に残っている」
神崎冬子は呆れたように彼らをたしなめる。




