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独白

閃光のシリウス続篇です。

都合により更新は遅いペースになりますが、またハル達が帰って来ました。







 シンと静まり帰った広い部屋。





 水色の髪の少女が椅子に腰をかけていた。

 透き通るような青い深い目。長い睫毛。白い肌。美しい、思わず口に出しそうだったのを堪える。

 彼女は、私を見つけると椅子から立ち上がった。


 スラリとしたバランスのとれたスタイルだった。そして、今度は理事長席の机に腰を掛けた。そして、品定めするように私を上から下まで視線を向ける。



「無礼者。私を誰だと思っている小娘」

「それは失礼いたしました。勿論存じております。この学校の理事長。そして裏の顔は、田中広康博士。地球外生命体研究の第一人者。しかし、結果として宇宙人の証明には至らず政府から圧力をかけられた。そして、学会からの追放。とはいえ、その力と名声はいまだ健在。優れた経営者でもあった貴方はこの学校を建設。数多くの優秀な生徒を送り出すことで、財界とのコネクションもある」

 薄く目を細めて、少女は話す。

「しかし、それで満足できますか?もう一度、研究者として政府の人間を見返してやりたいと思いませんか?」





「いい加減にしないか。君は、どこから入って来た。すぐに出ていかないと警備員を呼ぶぞ」

 風がふいて、白いカーテンが大きく揺れる。


「待って下さい。ただ私はあなたと取引がしたい」

「冗談はよせ。裏口入学か?早く出て行きなさい」


 怒鳴る言葉とは裏腹に彼女の魅力に魅せられる。


「私はあなた来るべき時がくれば、最高の地位と名誉を約束しよう。この学校は政府の干渉を酷く嫌っているという。私をここに匿って欲しい」

「何を言い出すんだ。一体君に何の価値がある」


「価値はある。私はあなたの探し求めていた者だからな」

 机から降りて、彼女は私にゆっくりと近づく。




「証拠を見せよう」









 信じられない光景だった。

「ああ、あああああ……」

 私は、言葉にならない声を出す。

 それは、喉から手が出るほど欲しかった存在の証明。

 体が震えて止まらない。




「私が何者か。あなたならわかるでしょう」


 頬に涙が伝う。

「望みはなんだ」

 淡々と彼女は返す。


「私達の命の安全とこの日本での戸籍。身分証明。衣食住」

「おおお、他にも同族がいるのか」

 感動でうち震える。


「あと、私はこの学校に通いたい」

「なんと、しかし。身の安全というなら危険ではないか?」

「愚問だな。これは、取引だ。イエスかノーだ」


「イ、イエスだ」

「賢明な選択だな、田中博士。いずれ、あなたには見返りを得るだろう」

「もし私が、ノーと言っていたらどうなっていたか聞いてもいいだろうか」


 フフッと可笑しそうに彼女は笑う。

「私の正体を明かしたのだ。そんな奴を生かしておくわけないだろう」




 冷たくいい放つ。

 

 

 








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