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48:騎士とメイド。

全然モチベーションが上がりません。他の作品に取り掛かろうとする始末です。

 俺が≪騎士王の誓い≫でフローラさまに呼び出され、結局怒られてしまった。俺が冒険者になること自体は百歩譲って良いとしても、女性ばかりいる冒険者の集まりで、女性に目を付けられてどういうことだと言われてしまった。


 俺とサンダさんが定まらない大地に言っていたことは、すべてお見通しで、すでに街の噂になっているらしい。どこからそんなうわさが流れたかと言ったら、冒険者ギルドにいた女性たちやコブラズを運んでいたことにより噂が広まったらしい。


 確かに、コブラズほどのでかい魔物を運んでいたら、注目されてしまうし、世界で男が少ないのにもかかわらず、その男が危険な職業である冒険者をしているのだから、それは噂になるだろう。聞いた話によると、俺以外に男性が冒険者をしているのはいないらしい。男で戦闘系の職業の人は、すべてが良いところに就職しているらしい。そのうち俺のところにも話が来るかもしれないと言われた。サンダさん情報だ。


 フローラさまにバッチリと絞られ、見ず知らずの女に近づかないという言葉を何度も言わされた。子供かよ、見ず知らずの大人について行かないと変わらない。だが、フローラさまの言うことは間違いない。俺はフローラさまの告白を保留にしているクソ野郎で、そんな状態で他の女性と、しかも結婚願望が強い冒険者の女性と出会ってしまった。こんなことが許されるわけがない。


 だから俺はフローラさまに全面的に謝罪し、自分がしたことを反省した。フローラさまもそんな俺の態度を見て、許してくれたが、次にやったら私から離れることを許さないと言われた。別にそれでもいい気がするが、肝に銘じておくことになった。


 そして、フローラさまに怒られ、フローラさまに甘えられて一日が終わり、今日はブリジットと買い物に行く約束をしている。昨日行く予定であったが、昨日はフローラさまの愛のある行為のおかげで一日が終わったため、今日行くことになった。フローラさまもそのことを了承してくださり、ブリジット噴水の前で待ち合わせしている。


 俺としては一緒に部屋を出たらいいのではないのか? と言ったが、その場にいる全員にため息を吐かれてしまった。一緒に行くのだから変わりないと思いながら、理屈と女心は違うのだと無理やり納得させた。私的な買い物であるから、今日の俺は執事服ではなく、私服で来ている。


「お待たせしました」

「いいや、待ってないぞ」


 空を見てぼけーっとしていると、前から声をかけられた。その声からブリジットだということが分かったから反射的に答えた。ブリジットの方を見ると、ブリジットもメイド服ではなく私服で、ワンピースを着ている。いつもと違う格好に、驚いたのと普通に似合っていて可愛いと思ったこともあり、面食らってしまった。


「その、どうですか? メイド服を着慣れていますので、私服を着ると違和感を感じますが、似合っていますか?」

「あぁ、似合っているぞ。俺が驚くくらいに可愛いと思った」

「か、かわいい・・・・・・」


 元の世界の教えで、一緒に買い物に行く女の子の格好は褒めなさいと言われ続けたから、俺は素直にブリジットに伝えた。すると、俺の言葉にブリジットは顔を赤くしている。いつもはそんな顔を出さないから、相乗効果で一層可愛いと思ってしまう。・・・・・・こんなにブリジットでドキドキさせられるのは不覚だ。いつもBLの話ばかりしているから、それも合わさって悔しい。


「そ、それじゃあ、行きましょうか」

「あぁ、そうだな」


 俺はブリジットがこんなにも似合っている格好をしていることで、ブリジットはそんな俺の素直な言葉に翻弄されて、俺たちは少しだけぎこちなく歩き始めた。手が当たるくらいに距離自体は近いのだが、気まずくてお互いに話そうとしないから、沈黙が流れている。


 いつもと違うということを認識させられる。いつもはフローラさまの身の回りのお世話をすることから始まり、仕事をサポートし合い、ふざけたBL本を持ってきたりなどの関係を保っていた。だけど、今回は根本から違う。


 いつもとは違う服装で、いつもとは違う雰囲気、いつもとは違う距離感で、俺たちは相手とどう接していいか分からなくなっているのだろう。・・・・・・だけど、ここで何もせずに終わっていは、フローラさまに何を言われるのか分からない。フローラさまたちが後ろから尾行していることが分かっているから、何かを言ってもお見通しになる。


「ブリジット、今日はどこに行く予定なんだ?」

「えっ! ・・・・・・えっと、その、どこに行くのかは・・・・・・」

「考えていないのか?」

「い、いえ、考えていたのですが、今こうしているだけで頭が真っ白になって、どこに行くのか分からなくなってしまいました」


 結局どこに行くのか決まっていないのと一緒か。と言うか、ブリジットはずっと下を向いてこちらを向こうとはしない。ブリジットがこんな調子だから、俺も少し調子が狂わされる。だけど、俺は本調子で行かないといけない。ここで二人とも調子が悪かったから、仕方ないよね? とはならない。俺が少しでもいつも通りにしないと。


「そうか。じゃあ、適当な場所を歩き回るか。歩き回っていれば、行きたいところが見つかるだろう」

「そ、そうですね。そうしましょう」


 ぎこちなさが半端ないブリジットであるから、俺は思い切ってブリジットの手を取って手をつないだ。それをされたブリジットは硬直したと分かるほどに硬直している。もしかして嫌だったのだろうか。それはそれで申し訳ないし、へこむ。人がいる中ではぐれても面倒だからという思いで俺は手をつないでいるだけだ、他に他意はない。


「嫌か?」

「い、嫌じゃないですよ⁉ むしろ嬉しいです!」


 ブリジットは俺の言葉に過剰に反応して、嫌じゃないことを言ってくれた。良かったぁ、このまま嫌だと言われていたら買い物が終わるところだった。手をつないで分かったが、今のブリジットの手は手汗だらけだった。別に俺は気にしないし、むしろ俺の方が手汗がすごいから、俺の方が申し訳ない。


「・・・・・・二人とも、手汗が出てますね。どっちの手汗か分かりませんよ」

「そうだな。これでお相子だ」

「そうですね、お相子です。・・・・・・なんだかんだ言って、こうして手をつなぐのは初めてですね」

「そう頻繁に手をつなぐ間柄でもないんだから、それが当たり前だろう」

「二年間も一緒にいて、男女の間柄にならない私たちがどうかしているのですよ」

「どこの漫画だよ。そんな簡単に男女の仲になってたまるか。そんなに簡単に男女の仲になっているのなら、俺とフローラさまは苦労しない」

「それはそうですね、二年一緒にいてやっと男女の仲ですか」


 俺とブリジットが手をつなぎながら軽く話していると、ブリジットの緊張は解けたようで、俺の緊張もほぐされた。いつも通りに軽口を叩けるようになれば、こちらのものだ。これで緊張する要素はどこにもない。


「あっ! 行くところを思い出しました」

「どこだ?」

「薄い本を売っている――」

「却下だ。俺が頷くと思ったか?」

「私と親睦を深める時間なんですから、少しくらい私の我がままを聞いてくれても良いと思いますよ」

「俺とお前がそこに行って親睦を深めれると思っているのなら、俺は永遠に仲良くなれる自信はないよ」

「・・・・・・嘘ですよ」


 嘘ですよと言う割には、随分と落ち込んでいる様子だった。ここで仏心を出してしまえば、そちらの世界に俺は必ずブリジットにずるずると引きづり込まれることになる。だから、ここで俺は頷かない。いくらブリジットが悲しそうな顔をしていてもだ。


「そんな顔をして上目遣いで見ても、俺は行かないぞ」

「・・・・・・どうしても、ですか?」

「どうしてもだ。いい加減諦めろ」


 ブリジットは悲しそうな顔をしながら上目遣いで見てきているが、そんなことを顔をしても俺が揺らぐことはない。それに、しつこいな、こいつ。俺が行かないと言っているんだから行かない。俺がブリジットのせいでBL本に恨みすらあることを忘れているのだろうか。


「分かりました。薄い本を一緒に買いに行くのは今度にします」

「今度じゃなくても行かないからな」

「それじゃあ、どこに行きましょうか」

「聞かないフリは通じないぞ? 言ったからな」


 とりあえず、俺とブリジットでBL本を購入ルートは断つことができた。他に心配することはないはずだ。ブリジットの唯一の欠点が、BL本の愛読だからな。あれのどこがおもしろいのかと思ったが、俺が百合ものの漫画が見ているのと同じだと考えたら、考えられないこともないか。それをブリジットと一緒に買いに行くとなると、それはないと思う。どうして一緒に買いに行こうとか思うのだろうか。


「・・・・・・あっ、少しここで小腹を満たしていきませんか?」

「お洒落な食堂か、構わないぞ。朝食もあまり食べてこなかったからな」


 ブリジットが指定したのは、元の世界ではカフェと感じが似ている場所であった。出されている食事もカフェのようにお洒落なものばかりであった。俺たちは早速そこに入り、店員に案内されて空いているテーブル席に対面して座った。


 甘いものを店員さんに頼み、俺たちは食べ物が来るまで待つ。それまでの間、少しの沈黙が続いた。俺が何か話しだそうとしてブリジットの方を向くと、ブリジットもこちらを見てきて目が合った。ブリジットは慌てて俺から目をそらしてきた。そうされると、俺が気まずくなる。


 何か話す内容はないかと思い思考を巡らせていると、昨日の女性だけで部屋にいた時間を思い出した。それについて聞くか、きっかけはこれくらい簡単なもので良いだろう。


「そう言えば、昨日はフローラさまの部屋で何を話していたんだ?」

「・・・・・・アユムには言えません」

「俺には? 俺じゃなければ言えるのか?」


 俺の悪口大会でも開催していたのか。それなら言えるはずがない。悪口大会をしていたと言ってきた方が俺には大ダメージだし、俺の息の根を止めれるかもしれない。


「いいえ、言えません。そもそも女性会なので、男性が知ろうとすることが間違っているのです。何があったのかは乙女の秘密です」

「乙女の秘密ねぇ。別にそんな気にしていることではないから良いけど、俺を抜きにして話していたことが気になるだけだ」

「それは気になるでしょうね、乙女の秘密ですから。甘美な響きで、吸いついたくなる気持ちは分かります。私が最初に薄い本を手にしたあの時と同じような感じでしょう」

「その二つを一緒にされるのだけはやめてくれ。後者は理解したくない」


 何だかんだ言って、いつもの二人の感じになってきた。いつもの感じと言っても、こうして二人で対面して座って何かを話すということはあまりしてこなかったことだ。よくよく考えれば、俺とブリジットの関係は不思議なものだ。


 俺はブリジットを仕事仲間として意識しているが、仕事仲間にしては距離が近い気がする。距離が近い割には、あまりお互いのことを面と向かって話したことがない。こうして面と向かって話す機会ができたのだから、ブリジットのことを聞いてみるのもいいかもしれない。


「俺たちって、こうして話すのはあまりしてこなかったよな」

「そうでしたか? でも、新鮮な感じはします。二年も一緒にいてあまりしてこなかったとは、仲が悪いと思われる程度ですね」

「二年も一緒にいる段階で、仲が悪いとは思われないだろう」

「それもそうですね。・・・・・・こうして、男性と対面して話すことが来るとは、二年前では思いもしませんでした」


 ブリジットは周知の通りであるが、ボーイズラブが好きな腐女子である。だから、周りの人間から距離を置かれることはしばしばだとか。それに、俺から見れば美女であるから、腐っている醜女として認識されて孤立していたらしい。フローラさまの仕事は完璧なのに、外見と中身があれだとダメね。とか言われていたとか。


「・・・・・・この感じ、私は好きです」

「この感じって言うのは、静かな感じか?」


 確かに店内は人がいるもののさほど騒がしくはない。でも、今言うことなのか? ブリジットが静かなところが好きだということは分かり切っていることだ。


「いいえ、少し違います」

「じゃあどういうことだ?」

「・・・・・・それは、アユムと一緒に静かな空間でいることです。私はこの時間が、人生の中で一番好きな時間です。大切な人といるこの時間と雰囲気が」


 意を決したブリジットは少し俯きながら、顔を赤くして俺のことを上目遣いで見ながらそう伝えてきた。・・・・・・よくそんなことを面と向かって言えるな。告白しているようなものだぞ。俺まで気恥ずかしくなってくる。こんなにも真正面から攻撃されるのはそうない。


「そうか、それは良かった。・・・・・・俺も、まぁ、同じくらいに好きだとは思う」

「ッ! それは嬉しいですッ」


 俺が素直に言った言葉に、ブリジットはいつものようにすました表情はどこにやら、とても嬉しそうな顔をして笑っている。くそっ、今日はブリジットに随分としてやられる日だな。こんなにも心がざわついた日はそうそうない。いつも通りを演じても、いつも通りじゃないからドキドキさせられてしまう。


「私、心のどこかでアユムに嫌われているんじゃないかと思っていました」

「どうしてだ? 俺がそんな素振りをみせたことがあったか?」

「ありません。ですが、今までの男性からの対応で、どこかアユムのことを疑っていました。他の男性のように、私を汚らわしいもののように見てきたらどうしよう、拒絶されたらどうしようなどと、思ったことがあります。・・・・・・私の考えすぎで、良いですか?」


 不安そうな顔をするブリジットであるが、そんなことを心配して落ち込むとは、情けないな。俺はそんなこととは非にならないくらいのことを考えているぞ。もしも、フローラさまが他の男性と結婚を決めて、俺の前で事をしていたら、とか思ったことがあるぞ。罵倒くらいなら大したことではない。


「どう考えても考えすぎだろう。俺がそんなことを言うわけがない。仲良くなっている今更になってそんなことを言う奴は、よほどの鬼畜だろう」

「そ、そうですよね。それなら良かったです」


 ブリジットは安どの表情を浮かべている。・・・・・・ブリジットの男性への不信感は相当なものなのだろうか。じゃないと、いつもは澄ました顔をしているブリジットがさっきのように不安そうな顔をすることはないだろう。俺が何とかしたいところだが、俺が何かできるのだろうか。


「お待たせいたしました」


 会話がないが、ブリジットと見つめ合っていると店員さんが甘いものを持ってきた。だから、俺たちはお互いに目をそらした。どうして見つめ合っていただけなのに、こんなにも恥ずかしくなるんだ? 店員さんには生暖かい視線を送られているし。


「た、食べましょうか」

「そうだな、まずは腹ごしらえからだ」


 俺たちは甘いものを食べながら、気まずい雰囲気が流れた。気まずい雰囲気と言うか、どうしたらいいか分からない雰囲気か。何が正解なのか全くわからない。

最後まで見てくださってありがとうございます。誤字脱字あればご指摘お願いします。

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