1 プロローグ
俺、天道 誠は家で引きこもっていた。俺は、引きこもりたいわけではないのだが生まれつき運が非常に悪く、外に出るとすぐに事故を起こしてけがをしていた。生まれてから交通事故は引きこもるまでの間に30回は事故にあっていて、数回死にかけの重傷にあったが現代の医療技術のおかげで何とか今まで生きている。そんなこともあってか両親がもう外に出るなと言い、中学二年の時から家で引きこもっている。
最初はテレビやらゲームをしていたのだがずっと同じものをするのも飽きてきて、次にうろうろと家の中を歩いてみたり料理などいろんなことをしてみた。家の中でできることをやっていくと意外に楽しく、料理や裁縫、家具なども作ったりしていた。しかし、やはり運が悪いのかたまに、危ないことがあるのだがどんどんやっていくうちに技術が上がっていったのか危ないことも少なくなっていった。
そんな感じで日々を過ごしていたら、隣に住んでいる幼馴染の杉山が最近やり始めたというネットゲームを勧めてきた。 ちなみに杉山は俺が引きこもってからもたまに学校帰りに遊びにきて学校の話や勉強も少し教えてくれるいいやつだ。
それで俺も、そのネットゲームをやってみることにした。幸い、俺は、やることがなくいつも暇だから時間つぶしになるだろうと思っていた。 俺は今まで、ゲームはやってきたがスマホゲームや家庭用ゲームなどしかしてきたことがなかった。しかし、杉山が勧めてきたのはpcゲームで俺はpcゲームはやったことがなかった。だが幸い、俺の家にはちゃんとしたpcもあったのですぐにそのゲームをやってみた。
すると、に操作が難しく最初はかなり苦戦したが、すぐに慣れていき一週間程たった頃にはしっかりと操作ができゲームを楽しめるようになった。そして、やっていくうちにどんどん楽しくなっていきゲームをやる時間が多くなっていた。 次第に杉山のレベルに近づいていき、三か月ほどたった頃には杉山を超えてランキングにも入るようになっていった。ここまでくると強くなりたいと思うようになり、頑張ってレベルを上げたり周回をするようになっていった。
しかし、やはりランキング上位は課金者ばかりで一向に追いつく気配がなく俺も課金してみようと思った。 しかし、俺は今親のお金で生活している今おこづかいもなく課金をするためにお金をもらうのも申訳がないので自分で稼ぐことにした。しかし、外には出れないのでゲームの攻略サイトを作ることにした。 そして、時間があるので無課金の最適な倒し方や周回の仕方などを突き詰めていき攻略サイトに挙げていった。そんな感じで、半年間続けていくと。少しづつ広告で収益がもらえるようになっていった。
そのお金で課金をしてどんどん強くなっていった。そして、それを一年近く続けていった。
そしてやっとランキング一位になることができた。その頃、杉山は高校に入り忙しくなっていたが、俺が周回をよく手伝ったりレア武器が余りをあげていたし、もともとゲームがめちゃくちゃうまいので無課金ではあったがランキング上位にぎりぎり入っていた。
そんな生活を送っていたら、杉山が高校を卒業して就職したと言う。もうそんな年なのかと思っていると、杉山が仕事があるからゲームをやめると言ってきた。まぁ、俺と違って仕事があるししょうがないと思い、俺もやめることにした。
そして、ゲームをやめてからまた、昔の生活に戻った。今もゲームはしているが前とは違うゲームをしている。だが、前のようにやりこむことはなく暇なときに少しやっている感じだ。
それから、数年同じような生活を送った。料理などをしてたまにゲームをして、今もたまに杉山が遊びに来て料理をもてなしたりしていた。ちなみに今もサイトは続けており、今はゲームだけでなく様々なサイトをしていて投資も最近始めてみた。最初はそこまで利益が出なかったが続けていくと結構な収益が出た。しかし、やはり生まれつきの運のせいでたまに大赤字の時があるが全体的には大丈夫なので良しとしている。
そうやって過ごしていると38になっていた。
そんなある日だった。
引きこもってから初めて、外に出る用事が出来てしまったのだ。
父が死んでしまったのだ。なので葬式で外に出なければならなくなった。
実際には何度か外に出る用事があったのだが今までは断ることができたりいかなくてもよかったりする用事だけだったのだ。 しかし、今回はさすがにいかなければならない。
なんでこんなにも外に出たくないのかというと、中学から一回も外に出ていない。なので、絶対に嫌な予感がするのだ。 何か今までの避けてきた不幸のすべて詰まっていそうな嫌な予感だ。
しかし、そんな理由でいかないわけにはいかないので、最大限に注意していくことにした。
そして当日、何が起きても対応ができるように隣には杉山を置き、黒い服の中には事前にネット通販で買った防護服のようなものを着てヘルメットをかぶり玄関の前に立った。
「おい天道さ、おやじの葬式だろ?なんでそんなに武装していくんだよ。その恰好じゃどこかに戦いに行くみたいじゃねぇか。」
「馬鹿言うな。俺はこの運の悪さのせいで引きこもっていたんだからな。」
「まぁ、それもそうだが。それよりも天道、早くいかねぇと遅れるぞ。」
「それもそうだな。じゃあ行くか。」
何年ぶりだろうか。中二ってことは14から外に出てなかったのか。じゃあ24年も外に出てなかったのか。
なんだか、そう思うとなぜかワクワクしてきた。そう思うと心配してるのもばかばかしくなってきた。
「じゃあ、行くぞ。」
そう言い、ドアを開けた。そして太陽がまぶしく目がくらみながらも前に進んだ。
ここら辺は、車の通りが少なくここでは一回も事故をしたことがない。
「天道!、おい!、天道!、天道!」
後ろから、杉山が叫んでいた。なので後ろを振り向きながら、
「どうした杉山?俺は今24年ぶりの外の世界を楽しんでいるんだよ。」
「右!」
そう杉山が切羽詰まった顔で叫んだのを見て初めて気づいた。
右からトラックが猛スピードで突っ込んできていることに。 トラックはこちらに気付いているのか急ブレーキを踏んでいた。 しかし、目がくらんでいたせいで分からなかったが、意外と前に進んでいて家の塀の中には逃げ込むことが出来ず、回避することが出来ないと察した。
(あ、やっぱり嫌な予感は当たったか。これはかなりのスピードが乗っているから重症じゃすまないな。杉山すまんな、俺はもう死ぬみたいだ。)
「天道!」
そして、トラックにはねられて死亡した。
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『取得条件達成特殊スキル「転生」を取得しました。』
『特殊スキル「転生」を取得したので特殊スキル「前世の記憶」を取得しました。』
* * *
・「特殊スキル」
特殊スキルは取得した者が特殊スキルを失うまで取得者以外取得することが出来ないスキル。特殊スキルは取得者が消滅しない限り失わない。
・特殊スキル「転生」
取得者が死亡したときのみ、発動。ほかの生物に転生する。
・特殊スキル「前世の記憶」
取得者が転生したときのみ発動。転生したときに前世の記憶を覚えたままになり、スキルはすべて継続される。しかし、ステータスや身体的な性能によりできないことがある。