67、事後処理
今回はいつもの半分ぐらいですがどうぞ
シュバン城謁見の間
「___以上が帝国からの賠償金及び賠償品でございます」
「うむ・・・今回の戦で消費した金額の半分にも満たなかったか」
「そこは、申し開きもありません予定では此度の戦に掛かった金銭を全て払わせようと
したのですが、皇帝の交代ということで先手を打たれました」
「・・・あの支配欲の強いガイル帝国の皇帝がこの程度のことで我が国への侵略を
止めるとは思えん・・・」
「陛下、発言の許可を」
謁見の間の両サイドに並んでいた貴族たちがにわかにざわめく
「静まれ!!」
ベールの一声で謁見の間に静寂が戻る
「顔無しのミックかよい発言を許す」
「かの皇帝は相当な残虐さを持ち合わせていると聞きます、
いっそここで帝国を潰してしまうのも手なのではないかと愚考します」
とんでもない爆弾だ、この場には帝国から賠償金などを運んできた使者がいる
その使者の前で、このような発言はミックらしからぬものだった
「陛下!私もそう思いますぞ!!」
とある一人の貴族をきっかけに一人また一人と賛成の声があがっていく
「ならん!!」
再び王の一言で場が静まる
「我らが此度の戦で剣を取ったのは、愛すべき国民を守るためだ
その自らが愛すべき者たちのためにある剣を、ただいたずらに
人を傷つけるために取るのは余がゆるさん、ただいたずらに振う剣など
野党も同じ、汝らが道を踏み外そうというなら、余が一人で止めてやろう」
「・・・」
王の熱い言葉に貴族たちは心を打たれたようだ
その証拠に
「陛下万歳!!」「アルストに栄光あれ」「姫様!!」など
たくさんの王を讃える言葉を復唱している
謁見は王が貴族たちの心を鷲掴みにして終了した
「陛下お疲れ様です」
「ミックもよくやってくれた」
「ありがたきお言葉」
執務室にてベールとミックが話をしていた
「よもやこのようなことを思いつくとは我が娘ながら恐ろしいな」
そんなセリフを吐きつつも顔には娘であるアルテミアの成長が嬉しくて溜まらないと
書いてある
そう、今回のことは全てテミアがガイル帝国に暗殺者を送り込むために
用意した茶番だ、本人は今頃鼻歌でも歌いながら料理しているだろうが
ことの発端はテミアが顔無しを帝国を調べるために送り込んだことで
発覚した帝国の所業だ
普通の村では払いきれないほどの重税、女性を子供を産む道具としてしか見ていない
ガイル皇帝、なにも言われないのをいいことに強盗まがいのことをする正規騎士
もう呆れてなにも言えない、そしたらまずはトップを入れ替えて傀儡にするしかないよね
ってことで、皇帝を暗殺しつつエリザベスから聞いた比較的まともな人間魅了し
傀儡にする作戦だ
一時期帝国をプッチとやってしまおうかと本気で考えていたテミアだが
よく考えれば、それはそれで大変なことに気づき取りやめた
「面白い噂も出回っていることだし、そろそろテミアと本気で戦ってみるか」
「そんな噂もありましたね、陛下は今の姫様に勝てると思いますか?」
「そうだな・・・」
しばらく考えた後応える
「五分五分かねえ、戦争での活躍は聞いているし、この六年で修業を積んでいるだろう
それを考えるとそれぐらいか、おまえはどうなんだ?」
「もちろん姫様が勝つと信じていますよ?イレギュラーがなければ」
「そうか、明日あたりに呼び出すとしようかな」
「それでは陛下、私はまだ仕事が残っておりますので、失礼します」
「おう・・・」
ミックもほかの顔無しと同じように融けるようにその場から気配が消える




