66、新事業
「ふむふむ、冥土さんが作ったメイド服かなりいいデザインね生地もいいものが使われてるし」
「その生地高かったんです、一メートルで金貨一枚ぐらいするんです」
「それぐらいはするわよね・・・私は冒険者もしてたからある程度はあったけど
冥土さんはどうやってお金稼いだのよ?」
「私も、魔物を倒してそれを売ってお金にしたりですかね、一着作るのにいくらかかったか考えたくも
ありません・・・なので最高品質のメイド服はそれしかありません」
「そうね・・・普通の洋服を作ることはできる?」
「・・・?まあ、メイド服よりは劣りますが作ることはできますよ?」
「ここらで、以前から考えていた新事業に手を出すのもありか・・・ちょうどいい人材もいることだし」
「ご主人様?急に考え込んでどうしたのですか?」
「冥土さん貴方お金、ないのよね?」
「そうですね、なくはないですが夢をかなえるためにはもっと膨大な金額が必要ですね」
「ちなみにその夢は?」
「私の考えた最強のメイド軍団を作ることです、炊事洗濯掃除ご奉仕なんでもこなす最強の
メイドさんたちです」
「うん、詳しく聞かなくても大体概要が把握できる内容ね、しかもそれなら
私の目的と対立することはなさそうね・・・・
いいわ、冥土さん貴方の夢手伝ってあげるわその代わり私の新事業に手を貸してもらうけど」
「手伝ってもらえるのは嬉しいですけど、その事業とやらの内容を聞いてからですね」
「うんうん、ちゃんと話を聞ける人は大好きよ、それじゃあ説明するわ
洋服屋をやろうと思ってね、しかもただの服屋じゃないわ私と冥土さんがデザインした
服を売るの、二人だけで店を回せるわけないから、手先が器用そうな子を連れてきて
裁縫を教えてもいいわね」
「・・・なるほど、確かにご主人様のお造りになった服は貴族の方々に飛ぶように
売れていると聞きます、それを本格的に売り始め更に量産の準備もすると
しかし資金はどうするのです?人件費や材料費はどうするのですか?」
「あら、冥土さんもさっき行ってたじゃない私の作った服は飛ぶように売れてるのよ
あんまり、自慢してるみたいでこういうこと大きな声では言えないけど」
「そうでしたね、それなら資金も問題ありませんか、わかりましたその案件
承諾しましょう」
「そう!それは良かった、さっそくだけどお母様のとこにお金取りに行きましょうか」
「そうですね、王妃様にもあっておきたいです」
「思ったより多かったわね、いったいどれだけのぼったくり価格で売ったのかしら」
「おばあ様、笑顔で頑なに販売価格いいませんでしたね」
「せ、星金貨10枚もありますよ?これからどうしますか」
「そうね・・・とりあえず店と生産工場を抑えておきたいわねそれと生地
誰か!」
「はっ・・・お呼びですか姫」
「また、虚空から現れましたね・・・一体どこから」
「冥土さん顔無しさんのことを気にしたらきりがないですよ
お城の中でも、お母様とミックさんしか全貌を把握してないんですから」
「はぁ・・・そうですか」
「№59、なるべくお城に近いところにそこそこの広さの土地を抑えておいてちょうだい
建物は、後で冥土さんと相談して決めるとして、後々出すことになるからお店を出すところも
抑えておいてちょうだい、無理やり脅してどかせちゃだめよちゃんと交渉してちょうだい
なんなら、店は少し外れたところにあっても問題ないわ、後は生地ねこれは顔無しの中に
裁縫がかなり得意な人がいたはず、その人に頼んでいい生地を調達してきてちょうだい」
「かしこまりました、他にご要望があればまた呼んでください」
「よろしく、後で執務室に差し入れ持って行っておくからみんなで食べてちょうだい」
「はっ、お気遣い感謝します」
「それじゃあ、私たちは人材の方を見に行きましょうか」
「ご主人様は心あたりがあるのですか?」
「冥土さんは奴隷に何かしら思うことはある?」
「いえとくには、この世界には必要なものと認識しておりますが・・・まさか」
冥土がテミアの意図に気付きはっとする
「そう、これから行くのは奴隷商会のところよ」
「お母様は、王族なのですから呼びつけるのが普通では?」
「そんなの、つまらないじゃないたくさんいる中から自分で探すのがいいんじゃない
まだ、奴隷かったことないしそもそも行ったことないけど」
「はぁ・・・わかりました行きましょう」
「ルシア様も苦労されているのですね」
今日も今日とて気苦労が絶えないルシアである
「良さそうな奴隷商会わっと・・・こっちね!」
「違います、こっちです」
「え、そうだっけ?でも№76は商業区の北っていってたわよ?」
「そうですね、それに間違いはありませんですがお母様が行こうとしたのは西です」
「え、でも看板にはこっちが北って・・・・」
もう一度確認するテミア
「・・・見間違えだったわ」
「ええ、見間違えです、って!そっちも違いますよ!」
改めて進み始めたテミアを止める
「ルシア様、ご主人様は方向音痴ですか?」
「私が方向音痴?冥土さん馬鹿言わないでよ私は__「お母様は方向音痴です」
ガーン・・・私って方向音痴だったの・・・・?」
テミアにとっては新事実、実は方向音痴だった!」
「ええ、まごうことなき方向音痴です」
「もう私、ルシアから離れない・・・」
ルシアの洋服の裾を掴み離さないテミア
「先ほどまで、あれほど自信満々だったご主人様とはまるで別人ですね
はたから見ても親子にしか見えませんね、無論母親はルシア様ですが」
冥土の言う通りはたから見ると、親子が並んで歩いているようにしか見えない
しかも二人ともメイド服
「さ、お母様目的地に急ぎますよ」
「私はもう先頭歩かないわよ」
「まったく進みませんね」
「やっと着いたわね!」
「着いた瞬間勢い良くなるとか子供ですか」
「行くわよ!二人とも」
見た目はかなり大きな館だ装飾もかなりでのもの奴隷商会とは思えないほど豪華な建物だった
「アルテミア様本日はお越しいただき誠にありがとうございます、シャレイブ商会
会長をやっております、トブラスと申します」
豪華すぎずかといって質素すぎないほどよいローブをまとった細身のトブラスが出迎えてくれる
「出迎え御苦労よ」
「アルテミア様のご要望に合った奴隷を複数見繕っておきましたさっそくご覧になりますか?」
「その奴隷を見るのは私じゃないわ、冥土さんよ」
テミアの紹介をうけ冥土が挨拶する
「お初にお目にかかります、冥土と申します以後お見知りおきを」
片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、背筋は伸ばしたまま
スカートをつまみお辞儀する
__見事なカーテシーね、うちのメイドでもここまで完璧に出来るのはほんの一握りね
「これはこれは、こちらこそよろしくお願いいたします、こちらのお譲さんが
奴隷をお求めになる方ですか」
「そうよ、新しい事業を始めるためにてっとり早く人材が必要なの」
「さようでございましたか、いつまでも玄関にお客様を立たせてしまっていては
商人の恥です、どうぞ個室を用意しました」
「会長、私は自分の眼でみて奴隷を選びたいから奴隷がいるところに案内してほしいのだけど」
「ご自分でですか・・・・」
「そう、別に貴方達の腕を認めてないわけじゃないの、こういう出会いは自分で探さないと」
「さようですか、わかりました本来はこのようなことはやらないのですが
ほかならぬアルテミア様の頼みです」
「ありがとう、アイ付いてきなさいルシアはメイドさんと一緒に奴隷を見てきなさい」
「「了解」」
「それでは、案内の者を呼びますので、個室で少々お待ち下さい」
しばらくして、案内の者がやってきてテミアとアイは奴隷商館での奴隷探しの旅に出かけた
次回は奴隷商会巡りの途中ですが、
テミアさんが全く興味を示さなかった、ガイル帝国との戦争の後始末のお話です




