10、男の子、起きる
只今、森の中を王都に向かって移動中だ。
そんな中、男の子を背負ったユリスが話しかけてくる。
「それで? この男の子、どうしますか?」
「そうね。ひとまず森を出たところで、その子が起きるまで
休憩しましょう。なんだかんだユリスも疲れているでしょ? 私も疲れたし」
「そうですね。私も初級の回復魔法ぐらいは使えます。森から出たら
試してみましょう」
そんな話をしながらサクサク進んでいく。もちろん出てきた魔物は、
テミアが片手間に倒していく。
「マスタ、もうそろそろ森の出口が見えます」
「見えたわ、あれね、ユリスもう少しよ」
「ッ、回避!!」
テミアはとっさの判断で前に体を投げ出し回避する。
先ほどまでテミアの頭があった場所に火の矢が飛来する。
「アルテミア様、ご無事ですか?」
「ええ大丈夫よ。それより何がおきたの?」
「マジックゴブリンの火の矢です。よほど練度が高いのでしょう。直前まで全く気配を感知
できません出した、申し訳ありません」
「いいわ。間に合えばそれでいいのよ。まずあのゴブリンを倒すことに集中しましょう」
木の陰から、小さい木の枝のような杖を持った、小柄で醜い生き物が現れる。
さらに杖を掲げ、人間には理解できないような言葉で呪文を唱え始める。
「マスタ、次の矢を避け、その次の矢が来る前に突撃してください。
防御が弱いので一撃で倒せます」
「了解。ユリスは男の子を守りながら、周辺を警戒してちょうだい」
「了解しました」
そうこうしているうちに次の矢が飛んでくる。だが初撃のような早さはない。
これをテミアは見極め走り出す。
途中飛んでくる矢を剣で迎撃の一閃、撃ち落とす。
やがて本体に接近、あわてるゴブリンを容赦なく切断する。
「お疲れさまでした。怪我はございませんか?」
「ええ大丈夫よ。それにしても、スラ子の感知をすり抜ける
ほどのゴブリンが、こんな浅い所にいるなんて予想外ね。それに
本来、ゴブリンて集団行動する魔物よね」
「もしかしたら、ハグレだったのかもしれませんね。それで生きていくために
強くなったのかもしれません」
「・・・・悪いことしちゃったかしら?」
「マスター、所詮この世は弱肉強食です。そんなに気にすることではないでしょう」
「そうね、そうよね。そう言うのは昔に置いてきたんだったわ。
さて、出口はもうすぐそこよ、行きましょう」
~~~~~~
「よし、ここまでくれば、もう大丈夫でしょ。休憩するとしましょう」
森から出てほど近い草原まで来ていた。
「それではさっそく、回復魔法を使ってみます」
【光よ、汝を、癒せ、ヒール】
唱えたユリスの手から光が生まれ、男の子に降り注いでいく。
「どう?」
唱え終わり、男の子の様子を確かめていたユリスに恐る恐る聞いてみる。
返事次第では、この先を急ぐかが決まるのだ。
「詳しいことはわかりませんが、体の傷は消えていますし、
心なしか寝息が穏やかになりました。おそらく、このまま安静にしていれば起きると思います」
「そう、よかった。それじゃあ、しばらく休憩しましょう。なんか私も眠くなってきちゃった
から、しばらく寝るわ。その間にこの子が起きたら、私も起こしてちょうだい」
ユリスは苦笑いしながら、了解ですと請け負ってくれた。
テミアが寝て数時間後。
「うん~~ここはどこだ?」
そして男の子は起きる。
もう一本同時進行で書こうか迷っています、でもそのうち結局、
書くと思いますので、その時はどうぞ読んでみてください、
とうとう、男の子の名前が判明!!