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帰還途中で


 「本部への報告は私たちがしておくから貴女は先に帰っていいわよ。いくらなんでもその格好じゃ」


 公園から離れた繁華街の路地裏を歩いている途中、エリスがティアにそう言った。


 「うぅ…すみません」


 申し訳なく沈んだ声でティアが謝った。

 深夜とはいえ人通りはそれなりにあり、血まみれのまま表を歩く訳にもいかず、無用な騒ぎを起こさぬよう人目を避けながら移動していた。

 

 「わ、私が単独で行動したせいで迷惑を…」


 普段は穏やかでふわっとした性格だが、悪魔と戦闘となればティアは非情となり、押さえようのない気持ちが込み上がっては今日のように一人で戦うことは珍しくない。

 結果的に勝つのだが戦いの熱が冷めると自分のやった行動に激しく自己嫌悪してしまう。


 「私のせいで二人にいつも迷惑かけて、チームなのに自分勝手で本当にすみません、罰でもなんでも受けます!すみません、すみません、すみま…」


 「ていっ!」


 「ぴゃい!」


 何度も謝り続けるティアの額をエリスの中指が弾いた。


 「何年一緒にいると思ってるの?貴女の迷惑なんてもう慣れっこよ」


 「ティアちゃんはなんでも自分で背負いすぎなの。もっと私たちを頼っていいんだよ」


 涙目で少し赤くなった額を押さえているとエリスとフィリアが優しく声をかけてくれた。


 「二人共…う、ありがどう…ございます!」


 「ちょっ!ティアちゃん泣かないでよ」


 「あらあら、泣き虫なのも変わらないわね」


 大粒の涙をこぼして泣き出してしまったティアを二人は慰め始めた。


 

 「ティアちゃん落ち着いた?」


 「は、はい。ですけどあの…」


 フィリアに尋ねられ、ティアは顔を赤らめて答えた。

 今のティアはエリスに後ろから抱きしめられて頭を撫でられていた。

 優しいその感触は懐かしくとても心地が良い、いつまでもこうしていたいのだが、そろそろ本部に戻らなければならない。


 「エリス姉さん、もう大丈夫なので離してもらえませんか?」


 「そう?ちょっと残念ね」


 名残惜しそうに一撫でするとエリスはティアをゆっくりと解放した。 


 「エリスお姉ちゃんって本当にティアちゃんのことが好きよね」


 「あら、妬いているの?安心して、フィリアも

好きよ」


 エリスは次にフィリアの頭に狙いを定めて撫でる、ふにゃあと猫のような声をだしながら気持ち良さげにフィリアが目を細めた。


 「フィリアちゃん、エリス姉さん。お時間とらせてすみません。それと…ありがとうございました」


 「気にしなくていいわ。それはそうとティア、後のことは私たちがしておくから先に帰っていい…」 


 話してる途中、エリスが急に背後を振り返り、

二人を守るように細身の長剣を構えると薄暗い路地を睨み付ける。


 「隠れてないで姿を見せたら?そんな殺気立ってちゃバレバレよ」


 奥の暗がりからスーツ姿の男がゆっくりとこちらに歩いてくる。

 フィリアが手をかざすと、はめてある指輪の

宝石が赤く光り、男が悪魔であることを証明し、三人はより警戒を強めた。


 「同族の血の匂いに誘われて来てみれば、貴様ら魔女…か?」


 まるで獲物を見つけた獣のように青白い顔が愉快に歪み、彼女たちを見据える。


 「ごめんなさい!ちゃんと血を落とさなかったから別の悪魔まで寄せることになって」


 「ティアちゃん謝るのは後で!」


 「来ちゃったものはしょうがないわね、ティア、フィリア。今度はちゃんと三人でかかるわよ」


 エリスの言葉に頷き、ティアとフィリアも自分の武器を構えた。


 「だいぶ予定が狂ってしまったけど、さっさと片付けて戻るわよ。それからティア」


 「はい?」


 「戻ったら三人でお風呂に入りましょう。罰として貴女の身体の隅々まで綺麗に洗わせて貰うわ」


 ティアにそう微笑むと、早く終わらすべく悪魔に向かって駆けていった。 

投稿ちょっと遅くなりました。


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