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とある過去の話

初投稿になります。面白ければ幸いです。

 頬に何か生暖かい液体がかかる感じがした。

 なにをしてたんだっけ・・・確か森に遊びに行っていたら村の方から悲鳴が聞こえてきて、急いで家に戻って扉を開けてから記憶がない。

 どうやら自分は倒れているみたいだが、肌からはぶよぶよとした不愉快な感触がし、重い瞼をなんとか開こうとして状況を確認しようとしてみる。


 「お・・・母・・・さん・・・?」


 最初に飛び込んできたのは夥しいまでの赤だった。

 そして目の前に自分の母がいるのだが様子がおかしい。


 「え?・・・あっ!」 


 目をやると母の胸を腕が貫いていて、そこから血が止めどなく溢れていた。

 腕が引き抜かれると糸の切れた操り人形のように崩れ落ち、その背後から人影が現れた。 

 顔の上半分を鳥の嘴のような仮面をつけているので素顔はわからないが、背中から生える炎を(まと)った翼が人間ではないことを証明している。

 


 魔族ーーー


 人に仇なす存在がなぜここに・・・。

 よく見渡すと自分たちは、まるで怪物の腹の中に飲み込まれたような肉壁の空間にいることがわかった。いや、正確には自分と母、悪魔の他に別の魔女たちが肉の床に無造作に横たわり、その顔からは生気が感じられない。


「ぐがっ!?」


 突然、悪魔が背を向けたかと思うと、うめき声がきこえ、見ると女性の喉元を片手で掴み締め上げている。


「は、離せっ!」


 喉を掴む手に力が加えられ女性の両手が悪魔の腕を必死に引っ掻き抵抗するが緩む気配はない。  


 「・・・絶望しろ」


 魔人から無慈悲な声が放たれる。


 「もう、やめて・・・」


 震える声で呟いた言葉に悪魔が反応したのか、私に向かって振り返る。


 「もうこれ以上殺さないで!私たちが何をしたの!なんで、なんでこんなことするの!?お母さん・・・みんなを返して!」  


 抑えられない感情が爆発し、泣きじゃくりながら悪魔に向かって叫ぶ。


 「油断したわね」


 悪魔が気をとられた一瞬の隙をついたのか、女性から眩い光が発せられ、醜悪な空間を包みこんだ。

 目の前が真っ白に染まり、何も見えなくなると段々と意識が薄れていき、やがてすべてが真っ黒に沈んだ。



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