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永倉探偵事務所  作者:
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 不思議に混乱している彼女の脳内に、特別な思いが湧き上がる。

「弱いね。小さいし」

「みんなこうだったよ。君も、多分ね」

 隣の彼が、少しだけ面白がるように目の端で彼女を捉えたのがわかった。

 その視線に彼女は少し居心地が悪くなった。でも、嫌な思いではない。

「小さい頃のこと、知らないから」

「僕も知らないけれど、普通は…いや、僕は両親が僕の小さい頃のことを教えてくれたからね。何度も何度も。だから、僕は僕の知らない自分のことを知っている」

「私は聞いたことがないな。小さい頃がなかったのかも」

 自分では笑顔だと思っている表情で、彼女はその小さな生き物を見つめた。

 冗談のつもりで言ったのだけれど、彼は真剣な表情で彼女に向き合った。

「人は、人との関わりの中で自分が生まれるものだよ。君も、この子と関わる中で君の知らない部分を見る。自分が変わって世界の在りようが変わる」

「もう変わった、今日。不思議だ、世界」

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