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永倉探偵事務所  作者:
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「富士登山から帰ってくるのを待つの?」

 カノンは憮然として言った。

 だが、その「憮然」が全く通用しているふうでもなく、相手はけだるそうに笑った。

「登山かわかんないけど。JJなら富士山解体を指示している可能性もあるし」

「は?」

「眠いから。本当に眠いから」

『7時になりました。この時間のニュースをお伝えします』

 新しい朝を告げるアナウンサーの声が響き渡った。

 昨日の台風の規模とその被害状況を告げるトップニュースが始まり、道路が寸断されている様子が伝えられた。

「寝るから。眠いから。JJから、その人のこと知らないって君に聞いてって言われてるだけだから。寝るから」

 午前7時に見当識が鈍っているとしか思えない発言をして、紀一郎は再度あくびをした。


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