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25話 マリーは使い方を覚える(前編)



 私達は雪の積もった森の中を、多くの獣人族達と静かに歩いている。おしゃべりは厳禁。足音も控えめ。村を離れ、周囲が自然のせせらぎだけになると新鮮な気分になるね。


 今日は皆で狩りの日だ。前に『コーカン』で罠の仕掛け方を教えてもらうと約束したからね。

 基本行動が徒手空拳ステゴロの私は、昨日の夜からワクワクしているよ。


 教えてくれるのはシールの姉のラシータだ。狩人見習いだから、私達に指導するのも勉強の一環らしい。後ろで先輩狩人がラシータをチェックしているよ。がんばれー。


「だからここをズバっとやって、ポーンとかかったら、ゴスッと置けばいいんだよ」


 うん、全くわからないね。ヤンキーは説明が下手糞だよ。

 理解に時間は掛かったが、教えてもらったのはウサギ等の小動物用の罠だ。しなる木を利用し、紐で作った輪に獲物が掛かると吊り上がる仕掛けである。


 ローズと作業したけれど、これが意外と難しい。私って力が強すぎるからね。でもローズが私の手を取って一緒に練習してくれたから最後は上手にできたんだ。


 コツコツ学んでレベルアップ。

 マリーベルはトラップのスキルを覚えたよ!





 罠を設置しながら歩いていくと、遠くに太った鹿っぽい魔物が現れた。

 ローズが涎を垂らしているから、きっと美味しい奴ね。


「へへへ、見とけよ。ボス」


 ラシータは得意げに鼻をすすると、弓を構えて矢を放ったが――


「あー、外れた。惜しかったねラシータ」


 矢は外れて、魔物が逃げちゃった。残念。

 代わりに私が一瞬で魔物と距離を詰め、エルフパンチで標的を確保だ。


「……ボスには罠とかいらねえんじゃねえか?」


 獲物を片手で担ぐ私を半眼で睨みながら、ラシータが呆れた口調で呟いた。

 逆に目を輝かせているのはシールとサリーちゃんだ。謎の洗脳が行われてから二人は良い上下関係。もとい良いコンビになりつつある。


 アクセサリー宣言をしていてもシールは面倒見がいいからね。妹分ができて張り切っているみたい。サリーちゃんも色々と教えてくれるシールに完全に懐いているよ。 

 今だって二人で手を繋いで歩いて――あ、シールの目が私を捉えてキランと光った。


「む、ボスはザッカルーをご所望」

「はい、お姉さま。お任せあれ!」


 ぐべ、求めてないよ。シールはお姉さんぶりたいだけなのかもね。

 いつも姉と呼ばれるローズを羨ましそうに眺めていたのを私は知っているのだ。





 罠について一通り教えてもらったら、最後は皆で狩り大会だ。


「ボスといえど、負けねえぜ!」とラシータがニヤリと笑い、他の若い衆も私への対抗意識をメラメラと燃やしているよ。

 特に男連中は『ボスに勝って今夜はローズと……』と甘い夢を呟いてやがるぜ。猫、熊、羊と多くの獣人がいるのに中身はみんなロリコン狼だ。


 いいだろう、頂点に立つボスとして受けて立つ。ローズは私だけのお姉ちゃんだい!


 すると銀髪ケモミミの男の子が気合を入れる私に詰め寄ってきた。


「ボス、見ていてくれ。絶対にあんたよりスゲエ獲物を取ってくるからさ」


 そこまで我が姉を欲するか、この肉食系め。

 こいつはシールの兄マジータだ。十五歳でラシータとは双子らしい。つり目のヤンキー顔はラシータとそっくりである。でも何故か鋭い目が私を見て泳いでいるよ?


「そうしたらオイラと……オイラと……言えるかぁー!!」


 あーあー、走っていっちゃったよ。元気だねえ。

 へへへ、知っているよ。そんな君がオムツを履いているってさ。


 でも皆には内緒だ。マリーベルには個人情報を守る義務があるからね!






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短編をupしました。暇つぶしにどうぞご覧下さい!
マリーベルと同じくギャグ要素多めの作品になります。
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異世界に転移した俺はカップめんで百万人を救う旅をする

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