なんか扱い酷くね?
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥なんでやねん」
俺はもう一度呟いた後ゆっくりと目を閉じる。
(ちょちょちょちょっと待て!なんで?なんで?何があったん?)
俺は焦り過ぎて自分の状況が理解出来ていないどころか、素の方言にもどっている事さえ気がついていなかった。
「取り敢えず深呼吸して目を開けよう」
「スー、ハ〜〜、スー、『まだか?』‼︎⁈⁈」
俺は突然の声に驚いて蒸せ返る
「ガハッ、ゲホッ、ゲホッ‥‥‥‥はぁ?」
『何時まで待てばよいか聞いて居る』
男とも女とも思えない声が響く。
それ以上にえらく高圧的で、心の底が掻き回される様な感覚がする。そんな声に俺はすぐに答える事が出来ず、目の前の木を睨みつけた。
『なんだその顔は?何かあるなら申してみよ』
「‥‥‥‥‥あんたの声が不快だ‥」
どこから聞こえているかも分からない声にイライラさせられる。取り敢えず目の前の木を睨みつけていると、木の幹が一部だけ捲れ上がり、そこからとても人間とは思えない様な目が俺を覗いた。
その目は某洋画〈指○物語〉のラスボスのような、猫の様な、とにかく俺を威圧する目だった。
『まあよい、そもそもお主が不快に感じるのは我に敵愾心を抱いているからに他ならぬ。
我の姿を見て恐怖を感じるならまだしも、怒りを感じるとは‥‥‥
やはりお主は救いようがないのぅ』
「はぁ?‥‥‥目を開けたらいきなり訳わからない木があって、姿も見せずに声かけてきて、挙句の果てに化物みたいな目で覗き込まれて、それで怒るなって流石に無理だろ?」
『‥‥‥‥そもそも怒るのは我であり、お主はただ頭を垂れるがよいのだ。』
「いやいやいや、俺なんもしてないやん!ってかお前誰やねん!」
『貴様!我に対しその口の利き方はなんとかならぬのか!
‥‥‥‥我が我の存在を自分で語る事はできぬ。お主の好きに考えておけ。』
「あっそ、まあいいわ。んで結局なにがしたいん?」
『ぐっ!貴様!‥‥‥‥‥もうよい、用件だけ告げるので黙って聞いておれ。
そもそもお主をここに呼んだのはお主の生き方があまりに不快であったゆえ。
人間とは本来一生を生き、その後自分の人生を思い返し自分を知る。その際後悔のある者、やり残した事のある者が転生し、命の輪に戻る。
逆に満足した者はその魂を昇華させ、世界を支える一柱となるのだ。
それがお前はなんじゃ!まだ生命力も存分に残しておきながら自分を知り、反省するならまだしも後悔ばかり。魂の輝きは失われ、存在力ばかり高められる。濁った魂にその存在力は何という歪さじゃ‼︎もはやお前の存在は目に余る。』
はぁ?魂?存在力?えっ?こいつ神さまみたいな奴か?ってか俺別に反省はしても後悔なんかしてないねんけど?偉そうに言うけど、結局はこいつの思い通りにならんのが気にくわないだけじゃないの?‥‥なんか考えてたらだんだん腹立ってきた。
「‥‥んで、俺にどうしろと?死ねとでも?だいたい俺は後悔なんかしてないぞ?これまでを納得して今後を改善しようと思ってるだけだ。」
『その改善しようとした行動の結果、貴様はこれまでの人生を後悔しておるのではないか!周囲に影響を及ぼし、存在力を高めても歪な心が魂を濁らせてゆく。もはやお主に救いようはない、死なれてもこちらが困るだけじゃ。』
(うわ〜、こいつ困るってはっきり言いやがった。やっぱ自分の都合が悪いだけやんけ!)
『よって貴様にはこの世界から消えてもらう。』
「‥‥‥‥やっぱり死ねと?消滅みたいな意味?」(ヤバ!今からでも謝るか?)
『お前の様な歪な魂などいらぬ。何処ぞで初めからやり直すがよい!』
足元が突然光輝く
『せめてもの慈悲として人間にしてやる。
感謝の心を持って魂の濁りを浄化せよ。』
「いやいやいや、ちゃんと説明せーや!だいたい今から俺に何し『消えよ』⁈⁈⁈」
文句を言い切る前に、俺の姿はその場から消え失せていた。
更新は不定期になりますが、出来るだけ2日おきぐらいで更新していきます