夜風のあたる君のベランダで
とても短いです。でも、感想いただければ幸いです。
今日も夜風にあたろう。
寒くても月を眺めに、星を見つめに、ベランダへ行こう。
八時。向かいの家の誰かさんも同じように顔を出しに来る。
いつからか知らないうちに決められていた約束。でも、天体観測は嫌いじゃない。
それはタテマエの理由。
きっと、月でさえも妬くでしょう。
空を眺めず話し込む二人を見つめ。
「北斗七星ってどれ?」
「あれだよ」
「わかんない」
「だからあれだってば」
望遠鏡を奪い取った彼は位置を固定して、覗いてごらんと言った。
「あ、あーあれなんだ。きれいだねぇ」
彼女は覗き込んだまま視線を寄越さない。感嘆していた。
「ねえ、知ってる?」
「…何を?」
やっと目を合わせた彼女は真っすぐに彼を見た。
彼は北斗七星を指しながら、分厚い本にでも載っていそうな口上を述べた。
「星って宇宙の埃が集まってできているんだ。もしくは隕石の小さい小さい欠片。輝いて見えるのは、太陽の光を受けているからなんだよ。ちなみに月もそうやって輝いてる」
「ふぅん」
さして興味なさげな彼女の反応に彼は溜め息を吐いた。
「理屈を言う人は皆、それ自身を知ろうとはしない。知識があっても、愛でることができなきゃ意味ないと思うんだけど」
不貞腐れた彼女は写真を撮りはじめた。部活で出展するんだそうだ。
「ロマンティストなんだね」
「それは私だけに言えることなの?」
彼女の家のベランダで、今日も二人夜風にあたる。
持ち物は望遠鏡とカメラ。在り来たりな話をして満足し、空を見上げる。
「流れ星がなぜおきるか知ってる?」
「ううん」
「学者が言うにはね…」
夏はスイカを食べながら。冬は熱いおしるこを啜りながら。
この時間は、無駄じゃない。
ここまで読んでくださりありがとうございます。なんとなくまとまりがあるように感じ自己満足の世界に浸っています。次回も短篇でいきますよ。(長編は難しいので/汗)もうちょい中身のつまったものを。では。