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約束  作者: ハル
9/12


『タクちゃんおはようー!!朝だよー!!今日はデートだよー!!早く迎えに来てねっ!』


美咲から電話がかかってきた。

今日も朝から元気いっぱいだった。



『おはよう。わかった。すぐ支度して行くな!!』


美咲の声で起きたから目覚めが良かった。


オレは早めに支度を済ませ、待ち合わせ場所のコンビニに向かって車を走らせた。


…海かぁ、遠いけどあそこに行ってみるかぁ…

運転をしながら行き先を考えていた。




時間より早めに着いたが、美咲の方が先にいて、手を降りながらこっちに近づいて来た。


『おはよう!今日もよろしくお願いします。タクちゃん、いーっぱい楽しもうね!!』


車に乗りながら美咲は笑顔で言った。

今日も美咲の手にはオレンジジュースが2本あった。オレのと美咲の。オレがこの前好きって言ったからまた買って来たんだなって思うと少し笑えた。そんな美咲が可愛かった。


『よし!!海行くか!!ちょっと遠いけど、砂浜のキレイな所に行こう。』


そう言って車を走らせた。


海までは2時間ぐらいかかった。

島にある砂浜に向かうため何個か橋を渡った。景色が変わる度、美咲は車の外を眺めながら『スゴーイ!!キレイ!!』とはしゃいでいた。

でも外をみた後はオレの方を向いて『でもタクちゃんをみてる方が好きー!!』って言ってきた。


オレは照れながら運転をした。


砂浜に着くと一緒に手を繋いて歩いた。潮が引いていたから、ちょっと遠くまで行けた。


後ろを振り返るとオレと美咲の足跡がずっと続いていた。同じ歩幅で、小さな足跡と大きな足跡がついていた。


『タクちゃん…こうやってずっとタクちゃんと一緒に歩いて行けたらイイな。』


美咲が立ち止まり真面目な顔で言った。ちょっと悲しくも見えた。


『うん…一緒に歩いて行けたらイイな…』


オレは美咲と繋いでいる手に力が入った。けど、それ以上は何も言えなかった。


オレも心の中では決めていた。


…ずっと美咲と一緒にいたい…

って。


美咲は1ヶ月の約束を今も信じて、受け入れようと必死のようだった。


『あ…ごめん!!ごめん!!

せっかくキレイな海をみに来たのに、こんな話ししたらダメだね!!美咲、今とっても幸せだよ!!ありがとう!!』


美咲はそう言うとその場にしゃがんだ。そして砂浜にハートをいっぱい描きだした。


『これがタクちゃんへの想いだよー!!!いっぱいあるでしょー!!』


笑顔でそう言うとオレの方を見た。

美咲の好きだという気持ちはすごく伝わった。

そして美咲はデジカメを取り出して、一緒に写真を撮ろうと言い出した。


手を繋いでいる写真や、砂浜、海、美咲が描いたハート…美咲はいっぱい撮っていた。



しばらく遊んで、近くのレストランで食事をして帰った。



帰りの車の中では来週のユニバの話しで盛り上がった。


『ユニバ楽しみー!!!美咲、乗りたいものがいっぱいあるから迷っちゃうー!!』


美咲はずっと楽しみにしていたのか、手と足をバタバタとさせながら喜んでいた。


『うん。オレも楽しみ!

本を買って一緒に見よう?また平日の夜空けるからご飯でも食べながら!』


『本当ー??うんうん!!ありがとう。平日もまた会えるの?幸せー!!』


美咲は興奮しながら言ってきた。


『いいよ。じゃあ、木曜日辺りでも大丈夫?本買っとくから!』


オレも美咲に会えるのが楽しみだった。


『やったぁー!!楽しみがまた一つ増えたぁ!!

あっ…でも本は美咲が買ってもイイ?早く見たいからっ!』


『イイよ!じゃあ、どこ行きたいか見といてな!!』


美咲はずっとオレの方を向きながら話している。ずっと笑顔で、ずっと嬉しそうに。オレは運転しながらも美咲の方をチラチラ見ていた。目が合う度、

美咲は『やっぱりタクちゃんカッコイイ!!タクちゃんの笑顔大好きだよ!』と言っていた。

美咲の笑顔の方がずっと可愛くてオレは大好きなのに、恥ずかしくてなかなか言えなかった。



行よりも帰りの方がずっと早くて、気が付けばいつものコンビニに着いた。


『今日も楽しかったな。また来週も楽しもうな!!』


オレは美咲の頭を撫でながら言った。


『うん!!来週…最後のデート…楽しもうね!!!』


美咲の声が小さくなった。美咲の目には涙が溜まっていた。笑顔に振舞っているが、瞬きをしたら涙が流れそうだった。


『そんな最後って言うなよ。もう一生会えないってわけじゃないんだし!深く考えるな。…な?わかった?』


美咲を抱き寄せた。


『うん…』


オレの胸の中で美咲はうなずいた。


オレは美咲の涙を…初めて見た。


しばらくして美咲は顔をあげた。必死で笑顔を作ってる美咲がいた。

オレはそっと美咲にキスをした。

『美咲には笑顔が1番似合う』そう言うと美咲は『もぅ!!バカ!』と言って笑っていた。


しばらく話しをして、今日は疲れたから早めに解散する事にした。



『じゃあ、またね!!ありがとう。タクちゃん。』


美咲はそっと車から降りた。

そして家に向かって歩いて帰っていった。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


月曜日。

祝日なのにやっぱり仕事が入って、オレはいつものように支度をしている。今までは彼女がいなかったから祝日出勤でも全然構わなかったが、今は美咲と一緒にいたいと思った。


そんな事を考えながらいつもの時間に家を出て、職場に向かった。

途中、ケータイが光った。美咲からのメールだ。


《おはよう!祝日なのにお仕事エライね!!さすがタクちゃん!!次あった時はいーっぱい褒めてあげるね。だからお仕事頑張ってね!!タクちゃん大好きだよ!》


オレはいつもこのメールで元気をもらう。美咲からのメールは自然と笑顔になれた。


…よし。頑張るか!…

そう自分に言い聞かせて今日も仕事を頑張った。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


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