3日目
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
朝になりオレはいつもの様に仕事の準備をしている。朝はいつもギリギリに起きるから急いで支度をして家を飛び出る。会社までは車で10分程度。仕事が始まる20分前には着いていたい所だが、今日も10分前…
会社に着いた頃、美咲からメールが来た。
《おはようー。タクちゃん!行きたい所決めたよー。最初のデートはちょっと遠くまでドライブに行きたい!!運転してるカッコ良いタクちゃんが見たいなぁー。今日もお仕事頑張ってね。タクちゃん大好きだよーん。》
絵文字がいっぱいのメールは女の子らしくてとても可愛かった。彼女を作るって良いもんだな…しばらく彼女がいないオレには新鮮だった。
《おはよう。わかった。また詳しく夜の電話で聞くわ。仕事行ってくる。》
ギリギリに職場に着いたから短い言葉で返信した。美咲からすぐにまたメールが届いた。
《タクちゃんだぁ。メール返してくれてありがとう!えっ?!夜もまた電話してイイのー?タクちゃんのカッコ良い声が聞けるっ!ありがとうー!!!美咲、これで今日も1日頑張れるよ!!タクちゃん大好きっ》
読んでいると、仕事のチャイムがなり仕事が始まった。
オレも美咲からのメールで仕事を頑張る気持ちになった。
3日前と違うのは…休憩時間の過ごし方。オレはご飯を食べながらケータイを突いている。いつもならさっさと食べて寝ているが、今はメールを読んだり気が向けば返信したりしている。たいした内容ではないが、美咲からのメールは嬉しかった。ケータイの中には明るい美咲がいた。
夜になり電話がかかってきた。
ケータイはピンクに光っていた。
美咲だ!
オレは美咲からの電話やメールがわかる様に美咲だけ着信の色を変えた。サブディスプレイも美咲と表示されている。電話を取った。
『こんばんはー!!』
美咲の明るい声がした。
『おぅ。美咲はいつも元気だねぇ。』
最初よりも少し楽に話しが出来た。
『うん。だってタクちゃんから夜電話してもイイって言ってくれたからー!嬉しいの。』
美咲はちょっと高めの声で、とても可愛いしゃべり方をする。
『そっか。美咲は単純だな。で、どこに行くか決めた?』
いつもの様にソファーに転がりながら言った。
『うん。でもね、美咲、行きたい所がいっぱいあり過ぎて困るー』
『ははは…どこに行きたいん?』
美咲の頭の中はデートの事で頭がいっぱいの様だった。
『ん~とねぇ、遊園地も行きたいし、動物園も行きたいし、水族館も行きたい!!後は…』
『美咲は子どもみたいだな。全部子どもが行きたいって言う場所ばかりじゃん。』
二十歳の子が行きたいデートはそう言う所なのだろうか。ふと思った。
オレは外に出るデートはあまりした事がなかった。
今までのデートと言えば…ご飯を食べに行ったり買い物に付き合ったりしたが、ほとんどはオレの家でゴロゴロしながらDVDを観て過ごしていた。
『え~?そんな事ないよぉー。カップルも多いしデートスポットじゃん!!』
美咲がブーブー言いながら言い返してきた。
『そっか。わかった!できる限り一緒に行こう?オレも今月の休みはなるべく予定入れずに空けておくから。』
はしゃいでいる美咲の声を聞いていると、オレも楽しくなって全部の場所を連れて行ってやりたくなった。そんなに喜ぶなら、どこだって連れて行ってやろうと思った。美咲の彼氏でいるのは今月だけだし美咲の事もっと知りたくなった。
『…うん…ありがとう…でも…1ヶ月じゃ…行けないかぁ…』
美咲は忘れていた約束を思い出したかの様に声のトーンが下がった。
さっきまでワイワイ話しをしていたのに急に美咲が落ち込んで、時々会話には静かな間があいた。
『ゴメン…でも、約束だったし…。今は美咲の彼氏なんだから明日は楽しもう??』
…本当の事を言っただけなのに、いけなかったのだろうか…オレには女の子の気持ちがよく分からなかった。
美咲は本気で落ち込んでいる様だった。
でもしばらくすると電話からはまた明るい声が聞こえた。
『うん…
そうだね!!まだ始まったばかりだし、まだまだ先は長いしー!!』
またいつもの美咲に戻った。
いや、無理に明るく振舞っていたのかもしれない。
『で、明日はどうするの?水族館でも行ってみる?ちょっと離れてるからドライブにもなるし。』
オレは美咲が言っていたプランの中から選んだ。
『うん。あー明日が楽しみ過ぎて寝れるかなぁー。起きたらカッコ良いタクちゃんに会えるー。幸せー。』
また美咲ははしゃいでいた。
『明日は朝から出るぞ。9時に家の近くのコンビニまで迎えに行くから。ちゃんと寝ろよ。』
『はぁい!!タクちゃんもねっ!!おやすみー』
電話を切った。
オレは電話でみせた美咲の寂しそうな声が気になった。本当に嫌だったのだろう。もう約束の事はあまり触れないでおこうと思った。
美咲とは出会った日しか会ってないから、明日で会うのは2回目。
オレも美咲に会うのが楽しみだった。
オレはすっかり美咲のペースにのまれていた。
遅刻したらいけないとアラームをかけて寝た。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




