難易度激高アクションゲームに転生した乙女ゲーマーは王子様に出会う
すみません短いです。
ここはとある王国の王城の広間ー…。
めかしこんだ貴族たちが集まり、一人の少女を囲んでいた。
「おーほっほっほ、桜子・山田!あなたのような平民が、貴族に逆らってただで済むと思っていたの!?この世界のルールも分かってない者がオガァッ」
そのうちの一人、ずば抜けて美しく高貴な悪役令嬢キャラ、ジョアンナ・アラベスクの顔に私は拳を叩き込んだ。
「ジョアンナ様に何をー!平民ごときが!たたっきってやる!」
貴族たちが一斉に刃を向けてくる。ここからだ。
「かかってきなさいよ」
それは、前世プレイしたゲームと同じ展開だった。
そのゲームのタイトルは「カプリチオ」。狂想曲を意味する。世界観の作り込みがすごく、メインストーリーも面白い。問題は、操作がめちゃくちゃ難しいこと。前世乙女ゲーマーだった私は、このゲームに乙女ゲーム要素があるらしい、という噂を聞いてプレイした。そしてまんまとはまった。何度も挑戦して、全クリした。本当に難しかった。だけど、攻略を見たり、先輩ゲーマーにコツを教えてもらって難所をクリアして、少しずつプレイして、ようやく一週目をクリアしたときの感動は忘れられない。(このゲームは何周もプレイする前提なのだ)。ちなみに山田桜子は私の本名だ。ゲームは本名プレイする宗教に入っているから。
内容としては魔法の使えない主人公が魔法を使えるようになる楽器を手に入れて、その楽器を手に世界の謎を追うファンタジーだ。この楽器の操作が音ゲー風で激ムズだし、敵に攻撃を当てるのも難しい(バトル要素もあった)。
だがようやく全てのストーリーを終えた後、風呂で転倒して、意識が遠くなった。その後の記憶はない。これがただの夢なのか、なんなのか。それも判別がつかない。
今も楽器を操作しながら、敵の貴族達に攻撃を当てている。さっき殴ったジョアンナは昏倒している。ジョアンナはこのサブクエストのエネミーで、平民の恋人同士を引き裂いて、イケメンの男の方を自分のお付きにしていたり、女性をごろつきに襲わせたりしていた。ただのドクズである。実際のゲームではそこまでしていなかったが、今回サブクエストのために調べていたらそこまでやっていたので、制裁を加えた。
手に持っている管楽器を操作して、魔法を発動する。この楽器は旋律が美しいほど強い効果を放つ。
なんとか城の人間を全員沈めると、広間の中央ー、玉座の横にあるランプを手に取り、磨く。
そうするともくもくとランプから煙が出てくる。
「私を呼んだのはあなたですか?あなたが新しいご主人様?」
煙から褐色の、絶世の美しい男が現れる。そう、私は彼が欲しかった。
「私があなたを呼んだの。」
「そうですか、ではご主人様。私があなたの願いを三つだけなんでも叶えましょう。どうします?なんでも思いのままですよ。」
「私はー…。」
私は自分の願いを言った。
◇◇◇◇◇◇
前世、悪役令嬢ものの作品が好きだった。だから、この世界に転生したと気づいた時に喜んだ。それも、特に好きだったジョアンナ。乙女ゲームの悪役令嬢。ストーリーの被害者。赤い髪も同じ。もうすぐ書籍化するはずだったから、どんな挿し絵がつくのか楽しみだったけど見えなかったのは残念だ。だけど理想どおりの美しさで満足した。
私の侍従になるはずだったマシューが、ヤンデレヒーローのマシュー。彼に恋人がいたのは誤算だった。だから、少し彼女には遠慮してもらったの。しょうがないわよね。だってストーリーと違うもの。きっと彼女も前世の記憶があって、ストーリーを変えたんだと思うの。ストーリーを変えるってことはアンチでしょう?悪役令嬢は被害者で、幸せになる権利があるんだから。それに、命を奪わなかったのだからいいじゃない。
なのに。あの、山田桜子!いきなり貴族達の間で話題になって、しかも私より美しいと言われていたのよ?ふざけないで。一番美しいと決まっているのは悪役令嬢なのよ。だからはめた。王の前で恥をかかせて、追い出そうとした。だというのに。いきなり殴られ、目覚めたら城も壊されていた。城の中には民衆達がいて、貴族は投獄されていた。どういうこと?私は何もしていない。貴族のルールに従っただけなのに。
◇◇◇◇◇◇
私は革命の起きた王国を、ランプの魔神だった彼ー、アルマガーンと見ていた。
「本当に滅びるなんて」
アルマガーンは驚いていた。
「ありがとう、桜子・山田。あなたにはどれだけ感謝してもたらない。」
彼、アルマガーンはこの国に滅ぼされた国の王子だった。国民の皆殺しを防ぐために魔神として改造され、300年ものあいだ呪いでランプに閉じ込められていた魔法の天才。その事が分かるのはアルマガーンがストーリーで消えた後で、助ける方法はない。
「三つの願いを全て使って私の呪いを解いてくれてありがとう。」
「いいの。あなたに笑って欲しかったの。あなたの国の歴史を読んだの。いつか助けたかった。これは私のエゴなの。」
「これから私は民衆の生き残り達と国を復興させる。君は?」
「私は…」
どうしよう。メインストーリーを進めるべきか。
「もしよかったらしばらく私の国で過ごさないか。」
「…そうしようかな」
その後、かの国は復興し、アルマガーンは王妃を娶った。彼女はいつも楽しそうに楽器を演奏していたという。
気が向いたら加筆すると思います。向かなかったらしません。




