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灰森の巣竜  作者: AI太郎
ダンジョン誕生
43/44

前奏

王都マーレミアは海霧に包まれていた。


海運で栄えた都市だが、今日は静かだ。港の鐘が鳴り、負傷兵が運ばれ、そして一人の巨躯が城門をくぐる。


カイ。


鎧は砕け、拳は割れ、片目は腫れている。それでも歩いている。


王城の大広間は高く、海を模した蒼い装飾が壁を飾る。その中央に立つのは、ヴァウデオウス五世。


筋骨隆々の体躯。肩幅は広く、腕は太い。だが仕草はしなやかで、声はよく通る。


「……帰ったわね」


低く、包み込むような声。


カイは膝をつく。


「将軍エリス、戦死しました。」


空気が重くなる。


王は目を閉じる。


「そう」


短い一言。


だが拳がわずかに握られている。


「灰森の竜は……」


カイは顔を上げる。


「強い。人を理解し、守る戦いをする。そして・・・将軍の断潮を受けても立った」


王の瞳が細まる。


「断潮を?」


「はい」


沈黙。


それは哀悼ではなく、評価。


「ならば、あれは災いね」


王はゆっくりと玉座から立ち上がる。


背後に掛けられた大剣を手に取る。刃は厚く、重い。


「十二災冠に届くかしら」


その言葉に、側近がざわめく。


王は振り返る。


「動くわよ」


冷酷ではない。怒りでもない。


母の顔で言う。


「国民を守るために」


マーレミア王国が、正式に灰森の竜巣を“国家級脅威”と認定した瞬間だった。

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