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11筋 獣王軍団(野性の筋肉)

獣王軍団は、止まらなかった。


森が、動く。

山が、迫る。


獣の咆哮が重なり、地平線の向こうから――

圧倒的な物量が押し寄せてくる。


狼兵。

熊兵。

角を持つ突撃獣。

翼を持つ斥候。


知性は低い。

だが――野性の筋肉が完成されすぎていた。



「左翼が突破される!」

「南門も持たない!」

「トロール部隊、押し返されている!」


人間軍とトロール軍は、必死に耐えていた。

だが、防衛線は各地で悲鳴を上げている。


数が、足りない。



「……来たか」


竹助は、状況を一瞬で把握した。


「全員、下がれ」


神官が叫ぶ。


「む、無茶です! 勇者様一人では――」


「問題ない」


竹助は、腰を落とす。


クラウチングスタート。


地面に指先をつけ、

太腿と体幹の筋肉を――完全に連動させる。


竹助は、静かに言った。


「筋肉で応えよう」



ドンッ!!


炸裂音。


竹助の姿が、消えた。



次の瞬間――


南門。

崩れかけた城壁の前。


獣兵が振り下ろした爪の前に、

竹助が立っていた。


拳圧。


ドォン!!


衝撃波だけで、獣兵が後方へ吹き飛ぶ。



次。

左翼。


倒れかけたトロール兵を、肩で支え、

そのまま反復横飛びの要領で獣兵を薙ぎ払う。



次。

後方の避難民。


崩落する瓦礫を、

大胸筋で受け止める。


「動くな。プロテインが足りてないだけだ」



竹助は、戦場を駆け続けた。


高速移動。

防御。

救助。


だが――



「……くっ」


初めて、竹助の額に汗が滲む。


筋肉は、裏切らない。

だが――数は、正直だった。


守り切れない箇所が、増えていく。



その時。


遠方から――

地鳴りのリズムが、聞こえてきた。


ドン、ドン、ドン。


一定。

揃っている。


行軍だ。



獣兵の背後から、声が響く。


「おうおうおう!!」

「スクワット、怠ってねぇか獣ども!!」


砂煙の中から現れたのは――


かつて盗賊と恐れられた男たち。


だが今は違う。


全員、背筋が伸び、

体幹が締まり、

動きに一切の無駄がない。


筋トレ軍団。



「お待たせしました、兄貴!!」


先頭の男が叫ぶ。


「更生後、毎日欠かさずやってます!」

「腕立て! 腹筋! 懸垂!」


「盗みは捨てた!」

「残ったのは――筋肉だけだ!!」



彼らは、獣王軍団へ突っ込んでいく。


だが、無謀ではない。


連携。

呼吸。

フォーム。


筋肉行軍。


獣兵の突進を、

正しい姿勢のスクワットで受け止める。


爪を、

上腕二頭筋で絡め取る。



竹助は、その光景を見て――

静かに、頷いた。


「……よく鍛えられている」



人間。

トロール。

元盗賊。


三つの軍勢が、並び立つ。


数は、まだ足りない。

だが――


筋肉の質が、揃った。



獣王軍団の進軍が、

初めて――止まった。


竹助は、前に出る。


「よし」


拳を握る。


「ここからは――反撃だ」


戦場に、再び筋肉の鼓動が鳴り響く。

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