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2. たぬきとの出逢い!ただし装備はない!


 昔の友達の結婚式であった。

 お気に入りのモスグリーンのドレスは裾がアシンメトリーで。猯子ちゃんらしい色だねなどと友達は褒めてくれる。灰色で透けるボレロは背中に繊細な刺繍。ひさしぶりに足を通すピンヒールのエナメル靴。ご祝儀と財布と携帯電話しか入らない小さな手持ちのバッグ。女性の腕時計はマナー違反らしいのでつけずに、アクセサリーは真珠のピアスとネックレス。普段はつけないコンタクトレンズ。

 昔の友達は数えるほどしかいないが、これでみんな結婚した。わたしを除いて。

 みんな次のステージに進んでいるのね。などと思って、わたしは、人生やり直せたらな、異世界とか……。なんて思ったことにバチがあたったのだろう。

 突然浮遊感があり、闇に、落ちていく。落ちていく。落ちていく。


 落ちて、いく。


 気がついたら地獄みたいな異世界だった。

 土砂降りの雨が降っていたことだけを憶えている。

 異国みたいな街のどこかで擦り傷だらけで倒れていた。

 起き上がって濡れそぼったドレスを見ながらヒールでよたよた歩いた。

 わたし以外のヒトは皆、首から上が動物の顔をしていた。

 バケモノの国に神隠しにあったのだと思った。

 顔がニンゲンのようなヒトを見かけて話しかければ、言語が違った。何を言ってるのかわからなかった。

 ここに日本国大使館はあるのかしら。保護してもらえるのかしら。

 首から上がバケモノのいる国なんて、地球上では知らないのにそんなことを考える自分に、笑みと涙が出た。心の防衛反応。それを雨がすぐに流してくれて、その夜は雨だけが味方であった。

 傷だらけで歩き続けて全くヒトに会わないところに出た。そこが、神に見棄てられし地だと知らずに入ってしまった。だって、わたしには穢れの匂いがわからないから。

 森を彷徨って、彷徨って、彷徨って。

 ピンヒールの靴なんて早々に捨てて、デカい葉っぱを足に巻きつけた。一日以上コンタクトレンズをつけているのは眼球が傷ついたら失明するので外した。視界はあまり良くない。結婚式の参列帰りという最悪なタイミングで異世界に落ちるとは思うはずもなく碌な服装、持ち物がない。

 川を見つけて水を飲めたのはよかった。でも慣れない生水でお腹を下して、飲んでは下し、飲んでは下し。

 生水に慣れたころには、何日も経っていて。川の近くで蹲っているのが精一杯なほど飢えて力を失っていた。


 そこから何日経っただろう。このまま飢え死ぬんだ、死ぬ前にもう一度だけ熱いシャワーを浴びたいと思っていたとき。

「ねえ、どうしてこんなところで寝てるの? 趣味? 死ぬ? 願いはないの? 叶えるのが簡単な願いだといいなあー!」

 幸福たぬきと出逢った。



創作って嘘を書いていいんですよ!本当ですか?!

たぬきと出逢いたい方は星を押すべきだと思います!

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