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解決したその翌日



自分を運んだ人物や打ち上げの謎については解決できたのだが、それらを説明しようとすると、猫としての彼と繋がりがあったことや、ドゥランの魔法について話す必要が出てくる。


彼の秘密を明かすのは気が引けるので、シェリアーナはこのことを黙っておくことにした。


ティラントからは、あの後「ナバールと二人でドゥランとこ乗り込んで、結局どうなった?」と聞かれたので、「犯人はわかった。でも、詳しいことは時効になったら教えるから、それまで待って。」と言っておいた。


そんなシェリアーナにティラントは気分を害するでもなく「ん、シェリーがそういうならこれ以上聞かない。俺は大体予想ついてるし、言えるときが来たら教えて。」と返してくれた。本当に出来た男である。


カティナやトリスタンには、付き合わせておいて申し訳ないが、犯人探しは諦めたと伝えた。

二人とも納得してはいなかったが、すぐに別の出来事がシェリアーナを襲ったので、結果としてこの件はうやむやになってしまった。その別の出来事とは。




「シェリアーナさん。迎えに来ました。」


昼休み、友人と教室を出ていこうとしたシェリアーナの目の前に、Sクラスであり生徒会役員でもある美貌の男が立ちはだかった。


「なんで。」


生徒会の見回りでもなんでもなく、シェリアーナを迎えに来たということで、隣にいた友人だけでなく、クラス内がざわつき始める。


「なんでって、遊んで下さいって言ったじゃないですか。酷い。」

「待って、その言い方だと余計な誤解を生みそう。」

「ご予定ありました?」

「これから友達とカフェテリア行くところだけど、」


「シェリー!私らはいいから!」「そうそう、気にしないで!」


そう言いながら二人は私から離れていく。


「裏切り者!」


さっきまでランチはパンをいっぱい買って、みんなで味見し合おうねって言ってたじゃないか!


「許可が出ました。行きましょう。」


ドゥランはごねるシェリアーナの手を掴み、廊下へと引っ張っていく。


「いやいや待って、私、お腹空いてるの。そっちはごはん食べなくていいの?」

「買ってきました。たまには僕が餌付けしようかと。」


手にぶら下げた紙袋をシェリアーナのほうに振って見せる。


そのやりとりを見ていた周りの者は

「シェリアーナは生徒会のドゥランを餌付けしてたらしい」「いつのまに…恐ろしい子」と口々に言っている。


誤解が誤解を生んでいる。このままではあらぬ噂が広まりそうである。シェリアーナは小さな声で、妥協案を口にした。


「…はっちゃんになってくれるなら、行く。」

「もちろん。食事のあとでいいのなら。」


そんな二人の後ろから、「どこ行くのー!?僕も混ぜて!」とナバールがやってきて、シェリアーナの背中にのしかかる。


「重っ!ちょっと歩けないから!」

「得意の浮遊魔法使いなよ。それで僕を運んで。」

「足を使え、足を。」

「じゃあ私もお願いします。興味あります、浮かぶの。」

「やらないよ!」


そんな三人の様子を教室の中から見ていた、アスティが「あの三人って仲良かったっけ?」と呟く。

ティラントは「仲良かったかどうかは知らないけど、俺はあの二人がシェリーのことずっと見てたの知ってたよ。」と答えた。


彼はシェリアーナを運んだ犯人について、最初からなんとなくの目星はついていた。

ドゥランと…そして、ナバール。


二年Sクラスのドゥランは、一年のとき、旧体制の生徒会であの膨大な量の業務をこなしていた変態である。

あいつは二年になってから、生徒会の見回りだとかで、やたらと創立祭の準備にAクラスへ来ていた。

そのたびにドゥランから視線を感じていたのだが、いつの間にか、それがシェリーと一緒にいるときだけだと気づいた。

シェリーとドゥランにどんな接点があるのかはわからないが、奴がシェリーに好意を持っているのは間違いない。


そして、好意を持つその気持ちは、わからんでもない。

シェリーは美少女ってわけじゃないけど、普通にかわいいし、あのサッパリした感じが男女どっちにもウケがいい。それに、魔法の才能があるくせに、全然それを鼻にかけないのもポイントが高い。

一年の初めは男子のほとんどがシェリー狙いだったが、本人は無自覚で恋愛モードをぶち壊してきたので、全員早々に散っていった…自分も含めて。(ほろ苦い思い出だったりする)

その中で、しぶとくシェリーを思い続けてるのが、ナバールだった。


あいつは、一年の頃からシェリーをやたら気にかけていた。誰にでも気安いナバールだが、ああ見えて女子とは一定の距離を保っている。例外は、シェリーただ一人だけ。

俺がシェリーと二人でいると、高確率で間に入ってくるし、じゃれつくような自然な動作で、さり気なくシェリーに触れている。だけど、それ以上距離を縮めようとしないので、シェリーにはまだ気持ちを知られたくないようにも見えた。

が、もしシェリーにちょっかいを出すやつが現れたら、徹底的に動くんだろう。


そんなシェリーに好意を持ってるように見えるドゥランとナバールだが、二人が表立って仲良くしてるところはほとんど見たことがない。

けれども、一年の後半くらいからか、ナバールがなんか昼休みにドゥランや生徒会の一年集めてこそこそやってるなぁと思っていたら、あっという間に生徒会が解散になり、新たな会長で新体制が発足した。


「おまえなんかやった?」と聞くと、「うん!未来の片腕に恩を売っといたー。」とわけの分からないことを言われた。


ナバールは掴みどころのない性格だが、不思議と人望はある。そしてここぞというときに頼りになるのが、あいつの良いところだった。


前に、こんなことをナバールから相談されたことがある。

「ティラントはシェリーちゃんと親友でしょ?学園卒業したらさ、彼女、この国で働くのかな。僕の母国に来て欲しいって言ったら、来てくれると思う?」と。

そんなん本人に聞けよ、と言いたくなったが、いつもと違って妙に真剣な様子だったので、俺も真面目に考えてやった。


シェリーの家は一応貴族だが、余裕があるわけではない。将来はお金をたくさん稼げる職業に就きたいと以前言っていたので「金払いのいい就職先を用意しとけば、ほいほいついていくんじゃね?」と、返しておいた。この答えが正解だったのかは謎であるが、きっとあいつのことだ、これをヒントになんとかしてしまうんだろう。


ちなみに、自分も勧誘を受けていたりする。

「ティラントもさ、卒業後はうちの母国で働きなよ。この国は身分や色んな制度が細かくて厳しいけど、隣国(うち)は自由だよー。ちなみに同性婚も認可されてるよ。僕、君のリーダーシップは買ってるんだー。魔法の腕はそうでもないけど!」と、褒められてるのか貶されてるのかよくわからないことを言われた。リーダーシップを買われても、おまえが雇用主ではないだろうに。


ただ、まだ先の話でどうなるかはわからないが、悪くないな、と思った。




次でラスト。夜9時頃更新します。

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