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第41話 新たなる創造

長時間の対話を経て、アルティメスの心に決定的な変化が訪れた。

夜明け前の薄明かりが封印庫を染める中、彼の表情に500年ぶりの温かさが宿り始めていた。


キールたちが示した「響き合う創造」という新しい概念が、彼の心の奥底で眠っていた希望の種を、静かに、しかし確実に呼び覚ましたのだ。


「君たちが教えてくれたのは...新しい創造の形だ」


アルティメスの声に、かつての優しさが戻ってくる。

その声音は、もはや虚無の冷たさを帯びてはいなかった。

代わりにそこには、久しく失われていた慈愛と、新たな可能性への静かな興奮が込められていた。


「一人で完璧なものを作ろうとするのではなく、みんなで響き合いながら、不完全でも美しいものを育んでいく...」


彼の言葉と共に、周囲の空気が変わり始めた。

これまで封印庫全体を覆っていた重苦しい虚無の気配が、まるで朝霧が太陽に照らされて消えていくように、少しずつ薄れていく。


虚無の力が後退するにつれ、代わりに温かな創造の光がアルティメスの全身を包み始めた。

その光は金色でも銀色でもない——虹のように七色に輝きながら、同時に透明で純粋な輝きを放っている。

まるで全ての色彩と全ての透明感を同時に含んだ、創造そのものの光だった。


封印の石棺も、この変化に呼応するように美しく変貌していく。

ひび割れた表面から溢れ出る光は、もはや恐ろしい虚無の力ではない。

石棺は破壊的な崩壊ではなく、まるで千年の時を経て咲く伝説の花のように、一枚一枚の石が花びらとなって、優雅に、静かに崩れ落ちていく。


それは破壊ではなく、新生だった。蝶が蛹から羽化するように、封印という殻から真の姿を現そうとする、美しい変化の瞬間だった。


「私は...長い間、一人で全てを背負おうとしていた」


アルティメスが振り返る。

その横顔には、500年間の孤独と苦悩が深く刻まれているが、同時に新しい理解の光も宿っていた。


「失敗の責任も、創造の重責も。仲間たちが死んだのも、世界が滅んだのも、全て私の力不足のせいだと...そう思い込んでいた」


彼の声が少し震える。長い間押し込めていた感情が、ついに表に出ようとしていた。


「でも本当は、仲間と分かち合えばよかったのかもしれない。喜びも、悲しみも、責任も...一人で抱え込む必要なんて、なかったのかもしれない」


この告白を聞いて、キールとアリアが同時に歩み寄った。

二人の足音は封印庫の静寂に小さく響き、その音すらも希望の調べのように聞こえた。


「今からでも遅くありません」


キールの声には、17歳の少年らしい真っ直ぐな情熱と、数々の困難を乗り越えてきた者だけが持つ深い確信が込められていた。


「僕たちと一緒に、新しい世界を響き合わせながら創りませんか。完璧じゃなくてもいい。失敗することもあるかもしれない。でも、一人じゃない。みんなで支え合いながら、一緒に創っていけるんです」


アリアも頷く。

彼女の瞳には、【レゾナンス】の力を通じて感じ取ったアルティメスの心の変化への深い共感が映っていた。

「私たちも最初から完璧だったわけじゃありません。失敗もたくさんしました。でも、仲間がいてくれたから、その失敗さえも成長の糧にできたんです」


アルティメスは二人の言葉を聞きながら、長い沈黙に入った。その沈黙は重苦しいものではなく、新しい決断を静かに育んでいる、希望に満ちた静けさだった。

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