第13話 新たな旅立ち
一週間後、王都への帰還準備が整った。
調査隊は大きな成果を得て任務を完了し、キールとアリアの功績は王都でも高く評価されることになった。
「レガリア学院で、正式に君を特別研究生として迎えたい」
グレイソン研究員がキールに申し出る。
「アリアと共に、異界研究の新たな分野を開拓してほしい」
キールは父ラークの許可を得て、この申し出を受けることにした。
モルンテスト家の養子としてではなく、自分の力で歩む道を見つけたのだ。
「姉さんも学院にいるしな」
キールは故郷の空を見上げる。
フィオナがいる王都での新生活に、期待と不安が入り混じっていた。
「大丈夫です」
アリアが隣に立つ。
「私たちの力は、一人では成し得なかったことを可能にします」
「共鳴、か」
「はい。これからも、共に響き合いましょう」
二人の手が重なり、微かな光が漂った。
それは新たな冒険の始まりを告げる、希望の輝きだった。
馬車が王都に向けて出発する中、キールは振り返った。
外れの森は平穏を取り戻し、鳥たちのさえずりが風に運ばれてくる。
封印された虚無王は、もはや脅威ではない。
しかし世界には、まだ多くの謎と危険が眠っている。
【エンボディメント】と【レゾナンス】——
二つの力が奏でる響きは、これからどんな奇跡を生み出すのだろうか。
キールとアリアの物語は、新たな章へと続いていく——。




