表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

【Prologue】

 佳純(かすみ)には、六歳上の「兄」がいる。


「おかえり、おにいちゃん! きょうはようちえんでね~」

 博己(ひろき)が小学校から返ってくるのを待ちかねて佳純が飛びつくように話しかけるのを、彼は面倒な素振りも見せず優しい笑顔で付き合ってくれた。

 いつも、いつも。


「まおちゃんが『みつるくんとけっこんする!』っていったの。そしたらちえちゃんは『ちーちゃんはぱぱとけっこんするって決まってるの』って。かすみはね、けっこんするならおにいちゃんがいいなっておもった」

「幼稚園にカッコいい男の子いないの? その、えっと『みつるくん』は?」

 博己が特に嫌がる様子でもなく問うのを全力で否定する。


「だって、おにいちゃんがいちばんかっこいい! おとうさんは、もうおかあさんとけっこんしてるしぃ。ちえちゃん、ぱぱとけっこんなんてへんだよね?」

 変と言うなら「父」でも「兄」でも変わらないというのは、当時の佳純の頭にはなかった。

 大好き(・・・)な博己。


 ──兄として、家族として、だけではないことに気づいたのはもっと時間が経ってからだったけれど。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ