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異世界の魔女、現代でパチンカスになる  作者: ムタムッタ
番外編(後日談)

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番外編⑧(前編)聖女によるパチンコ攻略法『無念無想・明鏡止水』


 平和な日が続き1ヶ月。そして今日は週末。

 パチンカスの休日といえば早起き、朝飯、支度を整えいざ勝負である。が、今日に限っては例外だ。


 朝、マイホールの周辺道路にて。

 空き缶、タバコの吸い殻、コンビニのパンの袋。バナナの皮にコーヒーショップのドリンク残骸。ペットボトルにエトセトラ……


「いっぱい落ちてますねぇ~」

「落ちてんな」


 今時バナナの皮て……パチンコ打つ前に食ってたのかね? もしかしてゴリラも打ちに来てんのか? ツッコみを他所に、聖女はバナナの皮を拾ってゴミ袋に回収した。


「さぁさぁ刹那さん、もっと善いことをしましょう〜!」

「お〜……」


 若干眠い中、俺は何故か橙髪の聖女とゴミ拾いに勤しんでいた。


 何を隠そう、先月の負け分が膨らみ少しパチンコを控えようとしていたところへ聖女から連絡が入ったのである。休暇を貰ってまたこちらにきたそうなのだが……俺の事情を銀髪の魔女(シルバ)から聞いたのか、電凸してきたのだ。


『刹那さん、パチンコの負けはパチンコでしか取り返せませんぅ!』

『その発想ができる聖女様は追放された方がいいな』


 清貧が大事なのではなかろうか。とても神に仕える存在の発言とは思えない。

 大食漢ギャンブラーの聖女など大罪だ……と思っていたのだが、珍しく慈善活動なんてやるから熱を疑ってしまった。しかし体温は正常、思考は異常。単なるパチンカスなのは間違いない。


「で、何でゴミ拾いなんだよ」

「女神様はいつ何時もわたし達を見てますので、()()()()()に善いことに勤めているだけですよぉ」

「……本当は?」

「魔法発動に必要な条件なんですぅ」


 早くに叩き起こされて連れてこられたかと思えば結局パチンコかい!

 女神が見てるとは言うが……あいつもあいつで今日並んでんじゃねぇのか? 異世界の神すらパチ打ちってのもなぁ…………


「ちょっと待てよ、魔女と魔王はどうしたんだ?」

「おふたりはパスでしたぁ」


 ……まぁ、パチンカス(あいつら)がゴミ拾いしてたらそれはそれで怖いけどな。つーか1人は魔王だし。


「ゴミ拾いなんて何年ぶりだろ」

「えっ、刹那さんでも善行したことあるんですかぁっ⁈」


 ナチュラルに失礼だなこいつぁ。

 学生時代に履歴書目的でやったことくらいあるわぃ! 1回か2回くらい。


「大体、ゴミ拾ってなんの魔法なんだぁ?」

「それはあとのお楽しみですぅ」


 まぁ……どんな魔法なのか気になるから付き合ってやってるってのもあるんだけど。魔女から事前に連絡あったし。


『またあの子が暴走したら困るので打たせに来ました。刹那が監視して下さい』

『なぁんで俺なワケ?』

『魔女の弟子たる貴方なら聖女を御することも可能。前回もそのようでしたし、信頼していますよ、刹那』

『……本当は?』

『私は遠征なので』


 恐らく……いや自分が面倒だから俺に押し付けたんだろう。呆れた奴である。なんでも南の方に打ちに行くとかなんとか。沖縄のパンフレットを持っていたのは気にしないでおこう。


「お前も沖縄行けばよかったんじゃねぇの?」

「乗り物は苦手なんですぅ!」


 同情。

 そんなんでよく魔王倒しに行けたな。マジでメチャクチャなパーティーだ…………って、勇者がクズ(アレ)だったしな。細かいところを気にしていたらキリがない。


「それに、最近は本業も捗らなくなってしまって……なんとかしないとって思ってるんですぅ」

「おいおいおい、右手を捻るな」


 きっと聖女としての仕事だよな? そうだと言ってくれよ。軍手のまま右打ちするな。


 こりゃ前回の大当たりが印象に残りすぎてるな……もっと大きいインパクトで前の出玉の記憶を消し飛ばすしかねぇ。


 ならばやはり……ラッキートリガー!



 ◇ ◇ ◇



 小一時間ほど続いたゴミ拾い。ゴミはパチンコ屋が回収してくれた。というより、聖女は協力していたらしい。なぜパチ屋のスタッフと仲が良いのかは聞かないでおこう。


「いえいえ、遊ぶ前の準備運動ですのでぇ〜」


 店員に微笑んでいるものの、右手は捻っている。これを『善いこと』にカウントしてよいものだろうか。


「さぁさぁ刹那さん、これからが本番ですよぉ……!」


 背筋はピンと、両手を組んで聖女は店に入って行く。慈善活動に精を出していた時よりも目がキラキラしている……今朝会った時より光ってる、というより金色に光ってない⁈


 う〜ん……まぁいいだろ。

 ここは脳を焼く素晴らしい台へ誘導するのだ! 

 

「聖女様! ここは一つ提案が」

「はい……なんでしょう刹那様?」


 せ、刹那様ぁ?

 そういえば、なんだか雰囲気がさっきと違うような……


 聖女はこちらへわずかに振り返る。そこには以前異世界に帰る直前と同じ姿をした少女がひとり。後光の差す圧倒的な存在感。


「こ、今回は初当たりと出玉を考えて指揮官になろうかなと」

「ふふ……台の選定はお任せします」


 思わず敬語っぽくなっちまった……

 え、なに。ほわほわしてた聖女様のキャラが変わっちまったぞ? こんなタイミングでキャラ路線変更⁉︎


 ええい、妙なことで惑わされてなるものか。朝っぱらからゴミ拾いに付き合わされた分、絶対出すぞ!!


 今回も打ち慣れた艦船擬人化のパチンコ台。大量出玉で聖女に新しい記憶を残すんだ! 目指せ、覚醒ボーナス。


「じゃ、じゃあ空いてるし並んで打つか……」

「えぇ、お見せしましょう……善行は世の為に、我が行いは清らかな平和の為に、我が奇跡を此処に、


──『無念無想・明鏡止水(クリア・ワールド)』」


 万札を入れる仕草すら神々しい。

 金の瞳で聖女はハンドルを握る。



 ◇ ◇ ◇


 参考機種:

 P アズールレーン THE ANIMATION 異次元トリガー


 最近ずっと打っておりまして……楽しい台でございます。

 何度か題材にしていますが、魔法メインということで。

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