番外編④ (前編) 真夏の遊技は魔王と共に
今年の夏も暑すぎる。
ターミ〇ーターの審判の日、ザ〇の大気圏突入画像などがネットに投稿される昨今……いや、そんな電子の海の話は置いといて。
再びこちらの世界に来ている魔王と、開店前に世間話をしている最中、話題は魔法に変わる。
「究極魔法?」
「魔女の秘術、『汝、閉ざされた杭を開く星なり』しかり、我も1つ編み出したぞぃ」
「さいですか……」
「なんじゃ、ノリ悪いのぅ」
オールシーズン用の赤ジャージに身を包んだ黒髪の魔王はやや不満気。
いや、魔法披露したいのはわかるけどね?
クソ暑い真夏に外出るのも億劫なのだ。趣味のためとはいえ、パチ屋に来るだけで体力がゴリゴリ削られてしまう。
「なぜお前は平然としている……」
「この世界での魔法研究も進んでな、パチ屋以外での行使も可能になってきたのじゃ」
応用して身の回りを涼しくしているとのこと。
さらっととんでもないことをしているが、今はどうでもいい。
「えー俺にもかけろよな」
「だって兄弟子、我らの魔法効かんし…………?」
さもありなん。
こいつの配下……魔人の攻撃も無効化していたし、できないだろうと。
要するにこのクソ暑い状況は変わらないのである。さっさと店開けてくれ。
「痒いところに届かねぇなぁ」
「そんなもんじゃ」
でもパチンコには効くのだから不思議なものだ。
開店時間となり、ようやくクーラーのガンガンに効いた店内で身体を冷やす。この気温差が体調不良の原因になると分かっていても気持ちいいのだからやめられない。
多くの同士がスロットコーナーへ向かう中、俺達はパチンコの島へ流れていく。ちらほら似た目的の人間もいる様子。
「さてと…………今日こそ引かせてもらうぞ、ラッキートリガー」
「お? 兄弟子も狙いはそれか」
「お前もか…………この前は確率弄られて散々だったからな。真っ当に打たせてもらうぜ」
それは、銀髪の魔女・シルバとも因縁のある台。
筐体は以前の黒く装飾過多な姿から一転、シンプルな見た目が逆に新しさを感じさせる。艦船擬人化のパチンコの新台だった。
「覚醒しますよ俺ぁ」
「モードはもちろん?」
「先バレ」
先バレモードに調教された者は、先バレでしか打てないのである。




