Extra Round【エピローグ】 パチンコ屋で知り合った奴の名前は知らないもの
今日も今日とて、変わらずパチンコ。
島の角台に座し、隣には我が師匠こと銀髪の魔女。変わらぬ師弟の日常がここにある。
何でもない日常……のはず。しかし今日は、ひとつ異なる。
静かに打ち始めて少し経過し、ふと……魔女に問いかけた。
「私の名前……?」
「そういや聞いてないなって」
他の奴らもだけどな。パチンコ屋で知り合った奴の名前って知らない事多いし。
「……ナンパですか?」
「誰がパチンコ屋でナンパするかよ。師匠なんだから名前くらい教えてくれてもいいだろ」
「ふむ……もう名乗ったつもりでしたが、気付きませんでしたか」
意外そうな顔で魔女は呟く。
こいつの口にした名前なんて配信の時くらいしか……
「……もしかしなくても、マジで白銀シルバなの?」
「さすがに苗字は日本のものではありませんがね。銀髪の魔女・シルバ……それが私の名前ですよ」
まんまだったんかい! 本名でネット配信するなんてよくやるなぁ。異世界の人間だからか?
感心している間に、魔女の視線が返って来る。というよりすげぇジロジロ見てくる。
「……なんだよ」
「師匠に名乗らせたのですから、弟子も名乗るのが道理でしょう? 墨乃スミレちゃん?」
「そりゃお前がつけた名前だろ⁉︎ ちゃんと名前はあるわぃ!」
改めて名乗るもんでもないけどな。
ただのパチンカス。
何の因果か、異世界のパチンカスに巻き込まれ、魔王を配下に入れ、勇者を倒し、魔人を追い払った英雄という、とんでもない誤解があるが……ただのパチンカスである。
「主義刹那……お前の弟子の名前だ!」
何も変わらない。魔女の弟子になろうと、自分で魔法を使えずとも、己のヒキで打ち続ける。
それが、パチンカスである。
「いいセリフ風にモノローグで語ってますが、ただのパチンカスですよね?」
「そりゃお互い様だろ」
真・パチンカスの魔女
(完)
◇ ◇ ◇
これにて物語は一度完結とします。
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