Final Round【ブラックアウト】 結局俺たち、パチンカス
魔族お家騒動から2週間。
元の姿にも戻り、俺は平和なパチンコスロットライフを過ごしていた。
3戦の配信動画本編はうやむやになったものの、謎のコスプレ集団によるパチンコ実践は話題になり、かつ魔女の編集した動画は人気を博しさらにチャンネル登録者数が伸びたとかなんとか。早くも続編を希望するコメントが多かった。
※メイド服姿の男がSNSで報告されていたのは内緒。
元の世界に帰った異世界勢については、
黒髪の魔王と紫髪の魔人は魔族の領地に戻り国家運営で忙しいと連絡があった。魔王の方は禁欲の影響か相当溜まっているらしいが……まぁ、ご愁傷様ってことで。王様なんだから仕事はしとかないとな。
魔人の転移幇助をした赤髪の勇者と灰髪の魔女については、魔人により国民を人質に取られた為、被害を少なくすべくやむを得ず手伝ったということで無罪。しかし勇者の今までのやらかしは消えていないので謝罪行脚は継続中とかなんとか……羨ましくない継続率。
金髪姉妹の方は、姉は相変わらず騎士として鍛錬に励んでいるそう。未だに先生と言ってくれるが、キラキラした眼差しが何とも言えない。妹は魔女見習いとしては特に関係なく、お土産を持ち帰り喜ばれたそう。寿司屋の景品とかパチンコの景品だったが、良かったのだろうか……?
橙髪の聖女は国へ戻った後、聖女として活動……はしているのだが、なんでもパチとスロが打てないことで禁断症状が出ているらしく、俺と銀髪の魔女でそれぞれ実機を差し入れに送ったほど。清貧でなくていいのか、スロットの電気はどうするのかとツッコミは山ほどあるが……元気そうで何より。
まぁそれはそれとして。
今日も今日とて、パチンコである。魔力も魔法もなくなったが、これが元のパチンカスライフというものだ。
とはいえ、やはり自分で魔法を使えた余韻は強烈なもので……
「はぁーあ、やっぱ魔法使えないのはちょっと物足りねぇなぁ」
「今回は魔人と戦う為に3つしか魔法が使えない制約がありましたが、普段から使うならもっと修行しないといけませんよ。それに、スミレちゃんの状態じゃないと使えませんし」
「わあってるよ、この前の勝ち分全部こいつに吸われたからな!」
3戦前より財布が軽い……これが魔法の代償ですか……
帰って行った異世界勢と異なり、銀髪の魔女だけは帰らず、隣で俺と同じ台を打っていた。
台の液晶画面、ピンク色の髪の少女が歌う。
もう何度も聞いているので、そろそろ当たってほしいものだ。今回も特にチャンスアップもない……南無。
「スミレちゃんはもう勘弁な」
「ふふ、冗談ですよ」
「冗談に聞こえねぇんだよ……」
こいつなら呪い関係なく魔法で女体化させてきそうだ。パチンコの当たりの為にそこまでしようとは思ってないぞ。それに、今回の騒動は全部異世界の奴らが原因。
「お前なぁ、異世界の事情をこっちに持ってくるなよなー」
「これは心外。私は純粋に、こちらで魔法研究をしているだけです」
ああいえばこう言う。
原因の全て、というわけではないから責任を押し付けるのも違うか……俺も魔王と連れ打ちしまくってたし。
「あいつらまた来るのかねぇ」
「さぁ? ……しばらくは国の仕事をするからこっちには来れないでしょう。その間に他に違う方が来るかもしれませんね」
「それこそ笑えねぇよ師匠」
多分近いうちに来るな、魔王。いや、確実に。
なんにせよこいつらの周りには面倒な奴が多い。パチンコに異世界事情を持ってくるのは勘弁である。
寒いリーチが終わり、次のリーチで台が震える。
ちょっと期待できる演出もあるし、熱いんじゃねーかぁ?
「んじゃーサクッと当てて──」
リーチ前、テンパイをした刹那、画面は暗転する。
プチュン──
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リーチが始まらない。
「あれ?」
パチンコ台どころか、店内が漆黒に包まれる。停電……?
困るぞ、せっかく熱めの演出来たのにここでナシってのはやめろ!
「――心配いらぬ、この神たる余の力だ」
ふわっとしたウェーブのかかった新緑の長髪。
確実に店員から注意を受けそうな露出の多いドレス姿で暗闇からこちらへ近づく女が現れた。
「誰だあいつ」
「聖女の信仰する女神様ですよ」
魔王が来るんだからいつかは来るかもとか言ってた気もするが……
「マジで神様来ちゃったよ……」
「不敬だぞ人間、この余を前に」
「仏教なんで……」
八百万の神がいる日本を舐めんな。
失礼な態度がよっぽど効いたのか、女神様は世界に光を戻した。気付くと俺の台はハズレていた。ちょっとイラつく。
「うわ…………それで、なんで女神様が?」
「決まっています、勇者を返り討ちにし、魔王を下し、魔人を追い払い我が身を信仰する聖女を堕とした悪漢を成敗しに来たのです」
「ぷ……くく、くくく……!」
ドヤ顔の女神に対して、魔女は笑いを堪えるので精一杯な様子。楽しんでる、こいつ絶対楽しんでる……! なんだ今の話、誰の話だよ⁉︎
「さぁ、裁きを受けなさい」
「えぇい、こうなったら何かされる前に沼に沈めてやるッ! 裁きをしたいなら俺に勝ってからにしてもらうか⁉︎」
「よかろう、神との差を教えてやる」
勝負と称して、女神を座らせいざ遊技。
神様だってハマらせてやる。
一難去ってまた一難。
元の身体に戻ったものの、戦いは続く。
「ぷっ……くく、存外勇ましいですね」
「誰かさんのおかげでな!」
賑やかな店内。
銀髪の魔女と共に、女神を迎え撃つ。
相も変わらず俺たちは、今日もパチンコを打つ。
「ところで、勝負はどこまで打てば良いのだ?」
どこからか万券を取り出した、女神の些細な質問。
その答えは、至極簡単なもので──師匠と目を合わせると、静かに微笑む。
俺と魔女の考えは同じらしい。
「もちろん、それは」
「全ツッパだ」
打て。諭吉の続く限り。
それが、パチンカスたる者の宿命である。
……そうやって負けるんだけどな!!
「……我が聖女よりも、其方が大丈夫か?」
「うるせぇ!」
真・パチンカスの魔女 第3章
〜打て。諭吉の続く限り〜
(了)
Next Extra Round ↓↓↓
◇ ◇ ◇
参考機種:Pギルティクラウン2
まだ勝ち越してないのでいずれリベンジします。
3章本編はこれにて終了、次回エピローグ、あと後日談などで終わりです。最後までお楽しみください。




