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異世界の魔女、現代でパチンカスになる  作者: ムタムッタ
神(パチ)よ、聖女を救いたまえ
199/202

Round10 橙髪の聖女によるスロット攻略法『神聖なる貪食』


「ホォ~…………アタッ!」


 交戦開始、再び25ゲーム以内にリプレイを引く戦いは始まった。1打1打に気合を込めて運を引き寄せる。


 ハズレ、ベル、リプレイだがバトル成立せず。

 ハズレ、ハズレ、リプレイからのバトル──!


「来たッ!」

「いけるかぁ?」


 バトル中はST減算がストップされ、数ゲーム間の勝負となる。ここでもリプレイ、レア役を引けるとチャンスである。


「神は、乗り越えられる試練しか与えません……!」

「どこの医療漫画だよ」


 パチ屋で出すセリフではない。

 初手、主人公キャラの攻撃は防がれ、逆に敵の攻撃がヒット。激寒展開まっしぐらの演出は、もちろんハズレ。


 前にも言ったが、交戦中はいかにリプレイでこのバトルを引き続けるかに懸かっている。


 ……と、聖女の解説をしていたのだが、俺の台は赤い演出が現れた。普段見ない挙動だとして……


「あ、チャンス目」


 レア役を引いたことにより、台右側にある紫の結晶が光り輝き『critical』と表示された。これがバトル無視の一撃必殺、弱点のレア役である。


「くぅ〜!」


 痺れる、これぞ自力感。通常時、目立って働いてくれないレア役もこうして出玉に貢献してくれることに感謝。


 あとはお待ちかねの捕食、神を喰らう。

 必殺技によりけりだが、200枚以上の出玉に期待できる。


「ぬっ!」


 技は下から2つ目、250枚の上乗せだった。まぁまぁまぁ、まずは初戦突破を喜ぼうじゃないのぉ〜。

 

「ぐぬぬぬ……神はわたくしよりパティンケスに味方するのですかぁ〜!」

実力ジツリキですわよッ!」

「うぅ、ハズレばかり……リプレイが遠いですぅ…………ん?」


 半分も過ぎたところで、聖女が何かに気づいた。もしかしなくても嫌な予感しかない。最初は普通にと言ったが、もうその縛りもないということはつまり……


「いらないものは食べちゃえばいいでしたぁ!」

「んん?」

「いえ、この世に不要なものはありません。しかし受け入れられないモノを許容するのも聖女の務め…………戦いの邪魔になる存在は────このわたくしが()()()()()()!」


 回るリールへ、ボタンで止めることをせず、聖女は手を伸ばした。


「罪なき者に神の慈悲を、罪あるものに神の裁きを。すべては神に供されよ」


 祈りは確かに、パチ屋でなされる。

 生臭坊主も裸足で逃げる聖女の祈り。それは、魔法と同じ奇跡。


「『神聖なる貪食ホーリー・ディヴァウアー!』」

「ぐぇ、まぶしっ」


 出玉消化中の隣の席にも拡散する聖なる光は、周囲一帯を包み込んでホワイトアウトした。


「その役、喰らいますぅッ!」


 確かに見えたのは、

 リールに現れたハズレ目を取り出して、聖女は片手で貪っている姿だった。


「ゲフっ…………そーれ!」


 視界が完全に戻った時に目にしたのは、

 ハズレ目が一切出ない、インチキ台と少し丸くなった聖女である。


 そして、初戦のハンなんとかさんは、

 貪食聖女の荒技によって出されたチャンス目によって食い殺されたのだった…………



 ◇ ◇ ◇


◯橙髪の聖女によるスロット攻略法

神聖なる貪食ホーリー・ディヴァウアー


 いらないリールの出目を食べる奇跡。

 奇跡というか、聖女による暴走。

 しかし食べるということは…………?

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