休憩 聖女は何を打ちたいのか
出玉を交換し店内のテーブルで休憩していると、聖女は凝り固まった身体を伸ばした。
「んぅ~いっぱい楽しめましたぁ」
「た、楽しんだのか…………?」
オンオフの激しい奴だ……とはいえ、一旦落ち着いたのであればそれはそれで良し。
「次は何を打ちましょうか」
「え……今日まだやんの?」
「ち、違いますよぉ! 明日打つのは何にしようかなぁって話ですぅ」
あら、聖女の休日は1日ではないらしい。当然のように連続出撃になっている。まぁ……大して負けてないからいいけど。
「俺が打つのを選んでもいいけどさぁ、お前は何打ちたいんだ?」
「ほぇ、わたくしですかぁ?」
なんだか流れで俺が決めることが多いものの、せっかく打ちに来たんだから自分で選ばせた方がいいだろう。
「といってもしばらく来てなかったですから流行りが分からないんですよねぇ」
「大丈夫、荒さは変わってないから」
むしろスマスロ導入以降、荒さは増しているような…………それはスマパチも似たようなものである。
こいつには見せない方がいい台が多すぎる気もするが、『聖女を満足させる』という意味では、本人の打ちたい台に挑んでもらう方がいいだろう。
「え〜、わたくし選んでいいんですかぁ⁉︎」
「いいっつうか、前はそうしてたじゃねーか」
「暴走しすぎて信徒の方々から諌められましてぇ…………実機で発狂してたら取り上げられたりぃ」
そもそもパチンコ・スロットを打つ聖女という存在に疑問を呈してほしい。つーか実機で発狂ってなんだよ……⁉︎
「剣聖ちゃんに聞いてた台もいいですけどぉ、皆さんが打ってない台がいいかなぁ〜なんて」
「ふむ…………未開の地、じゃなくて異世界未到の台か」
多分ほとんど未到の台だと思うよ。俺も最近はスロット打ってないからなぁ……何がいいのやら。
毎月供給される台もネットでレビューされるが、私怨混じりもあって正確とはいえない。実際打ってみれば自分はハマるものだってある。ネットの動画じゃ突っ込む金が参考にならないしなぁ……負け額の参考にはなるけど。
「自力感のあるものがいいかもですぅ。ほら剣聖ちゃん、覚醒したらいじゃないですかぁ?」
「あいつの場合は覚醒って読むんだよ」
未来の遊技を代償にレア役を引くとかは……ギリギリセーフにしておく。要するにデキレ感のない台ってことだろ。
「大丈夫! わたくしには女神の加護がありますから〜」
「神頼みってか……ま、何打つか具体的には明日でいいや」
あれこれ考えても仕方ない。
スロットを打つなら、目指すは右肩上がりの圧倒的勝利グラフ。なんなら垂直縦グラフでもOKだ。
ということで本日は撤退。
聖女の休日は続行である。




