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異世界の魔女、現代でパチンカスになる  作者: ムタムッタ
神(パチ)よ、聖女を救いたまえ
194/205

Round 6 橙髪の聖女によるパチンコ攻略法『汝に加護があらんことを』


 入る入る、ヘソに入る。回る回るわストレスフリー…………


「当たりましたぁ!」


 開始30分後には、聖女が初当たりを掴んだ。

 この台はここからが大事で、約50%で確変ラッシュに入るためのチャレンジに入る。なお、半分の約50%は1500発もらって終わり。


 まぁ、そう簡単に入るわけもなく。

 偶数揃いの当たりは、ファイナルジャッジでも当たらず。左打ちに(単発)戻してください(終了)である。


「さ、最初ですからこういうこともありますよねぇ……⁉︎」

「んー? そうだな」


 1/2を侮るなかれ、パチ屋に平等などない。その後50回転ほどで再び大当たりを掴んだ聖女だったが、またも左打ちに戻る。


「ぐ……ぐぎぎ…………!」


 俺はかれこれ300回転ほどだが、午前中の負けがない分、心に余裕を持ったまま打てている。何も演出の起きない回転が重なっているが、そこはソシャゲでフォロー。現代パチンコにスマホは欠かせない。


 そしてさらに100回転、またまた聖女は初当たりを引き寄せる。今度は2の図柄が7に変わり、ようやく確変チャレンジをゲットしたようだ。


「う……ウゥッ…………!」

「怖ぇよ」


 目が血走っている。

 なんてよそ見をしていると台が震えるではありませんか。画面を見れば左のラッキーパトの回数は『80』。例の如く北◯神拳で連打を仕掛けた第1打────


 ――キュインキュイン! キュインキュイン! キュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュイン!


「oh……jesus」


 残り1回くらいで鳴るとそれはそれで気持ちいいが、これはこれで()()


「1万ちょっとで当たって良かった……うぇっ⁉︎」

「ギィッ──!」


 安心してリーチを眺めていると、隣の聖女様の汚い唸りが聞こえた。どうなら何も起きずに半分以上過ぎているらしい。

 

「あぁ女神様ぁ〜どうしてこんな無慈悲なことをぉ〜」

「成功率60%なんだからそんなもんだろ」

「少ない休日に来た信仰者に対する試練とでもいうのですかぁ〜っ⁉︎」


 違うと思う。


 さて、図柄が7で揃って俺も確変のチャレンジに突入である。ここからがマグマなのだ。


 本機は初当たりの50%でチャレンジを引けると、100回の確変となる。これが確変(Rush)チャレンジ。1/110を100回転以内に引くことができれば、本機目玉のラッキートリガー3.0プラス、Rush Hyperへ昇格。確変回数が151回に増え、オール3000発のフィーバー状態となる。


 つまり、だ。

 ①1/349を当て約50%の確変チャレンジを引く

 ②100回以内に1/110を引く

 ③ラッキートリガーでウハウハ


 道のりこそ長いが、ここまででも4500発は期待できる分、打つ意味は大いにある。ヘソもデカいしな。


「もちろんチャレンジもパトランプぅっと」

「うぇ〜ん駆け抜けましたぁ…………」


 マジ泣きで画面を眺めるやつ初めて見たかもしれない。いいのか、こんなのが聖女と呼ばれて。


「まぁまぁまぁ、1500発もらってるしまた目指せばいいじゃないの」

「ぐふ、えっ…………ぐす…………お茶買って来ますぅ」

「お、おう。俺もトイレ行ってくるわ」


 必殺、トイレ打法(ちょっと休憩)

 ラーメンの時に水飲み過ぎたな。


 用を足したあと、銀髪の魔女から何か連絡がないかメッセージを確認したが、やはり何もない。エルフ師匠や魔王にも電話を掛けるも反応なし。何か匂う気もするが、まぁいい。

 一応連絡は入れたがあまり期待はできまい……擬似連×3だけで発展するリーチのように。


 おっと、休憩もそろそろ終わりだ。チャレンジ突破の意識を持たねば。


「さてさて、3万発目指しますかぁっ……ん?」


 既に戻って来ていた聖女の台を遠くから見ると、データカウンターが虹色に明滅していた。


「うっそぉ」

「あ、刹那さんお帰りなさぁい」


 20回転、しかも7図柄の当たりだ。さっき駆け抜けてまた引いたのかこいつ…………


「うふふ、楽しいですね」

「…………」


 不気味だ…………さっきはマジ泣きしてたのに今度は満面の笑み。後光の差しそうな姿はまさに聖女…………?


「わたくし、天啓を得たんですぅ」

「……天啓?」


 お互い同時にラッシュチャレンジを開始する。すると聖女はハンドルを握る右手と反対に、画面へ左手を伸ばした。



汝に加護が(ブレッシング・)あらんことを(アクセラレイト)────』



 奇跡《魔法》の名は、偶然にも加速を含む。

 聖女はそっと、液晶画面を隔てるアクリル板を撫でた。


 瞬間、『一』『方』『通』『行』と1文字ずつ回転する保留が現れた。


「さっき……泣いていたわたくしの前で、あるお婆様が見せてくださいました。画面を撫でて当てる、神々しい様を!」

「……………………」


 役物を完成を目指すリーチへ発展、台役物である矢印が右を向けば当たりである。ボタン一撃、聖女は押す前にも画面をひと撫で。


「えいっ!」


 画面に大きく「→」の役物が完成し、虹色に輝く。そして、1/110はここに突破されたのである。


「やっぱり画面を撫でると当たりますぅ!」

「お、おう…………」

「撫で撫で作戦でいきますよぉ!」


 いるよね、画面めっちゃ撫でるじいさんばあさん…………アレを信じて地で行く奴、初めて見たかも。

 

「ひゃっほぅ〜! ここから先は、いっぽ────」

「ストップストーップ!」

「ふぇっ、なんですかぁ」

「それ以上は、いけない…………ッ!」



 ◇ ◇ ◇



 ◯橙髪の聖女によるパチンコ攻略法

 『汝に加護が(ブレッシング・)あらんことを(アクセラレイト)


 パチンコ台画面部分(正確にはアクリル板)を撫でることで一時的にパチンコ台の状態を良くする(良くする???)強化バフ魔法。

※最大効力を発揮するのは海物語。


 画面汚れちゃうから良い子のみんなは真似しちゃダメだぞ!


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