Round 4 聖女暴走、なお有利区間は暴走せず
「うひ、うひひひひ…………」
「あーぁ、出ちゃった」
全年齢を対象とした場合お見せできない顔を浮かべながら、聖女は上乗せ特化ゾーンへ突入した。こうなったらあとはひたすらベル、レア役、BAR揃いを引けばATは永遠に続く。
さっきの魔法だか奇跡が続くなら、今日は聖女の奢りということになるが…………
「さてと」
「ん?」
首を左右に傾けて、両手を組んでぐにゃぐにゃ回すと聖女は戦う目に変わった。それはまさに、プロ────
「奇跡は分岐するときだけ。どれだけ乗るかは己の運ッ!」
レバー第1打、いきなりBARを狙えの指示が入る。イケメンならハズレもあるが、指示はヒロインからそして逆押しボタンひとつ目で、
『1確です!』
BAR揃い確定の音と共に、聖女は滑るように図柄を揃える。
「1確ゥッ!」
そしてゲーム数リセット、ハイテンションのまま上乗せは続く。ベルを引いて上乗せ、レア役を引いて上乗せ、はたまたさらに一確でBAR揃いで上乗せ。
「1確1確ゥッ〜」
なんか2確で叫ぶ人いたっけかな…………
つーか聖女の台めちゃくちゃ楽しそうじゃねぇか! こっちもう終わるぞ。
結局150ゲームほど上乗せてATに戻った。そしてここから何が起きるかというと……
「6択がなんぼのもんじゃーい!」
「まだ続いてたのね…………」
魔法も継続、6択チャレンジの成功と暴走ゲーム数上乗せのループが形成されたのだ。
いくら6択を成功しようと、ゲーム数上乗せは聖女のヒキである。だが聖女の気合いが強まれば強まるほど……いや、グラフが右肩へ上がるほど上乗せは減っていき…………
「2300枚…………」
「なんか……意外と伸びなかったな」
思ったほどの結果ではない。
そういや最強特化ゾーンには入らなかったな。純増も2.2枚だし、こんなもんか……?
「ま、まだ1回目のATだっただけですからぁ〜。これから伸ばせば……」
「おっとととと!」
急に力の抜けた聖女が、こちらへ寄りかかった。なんだどうしたと思えば、腹からものすごい唸る音。
「燃料切れですぅ〜」
「そ、そうか。じゃあそろそろ休日も終わりだな」
「いやですぅ! こんな身体にしておいてあんまりじゃないですか刹那さぁ〜ん⁉︎」
「誤解を招くような言い方をするんじゃない」
ホントに聖女なのかこいつ…………
まぁいい、負けはしなかった。腹ごなしくらいにはなったろうよ。
「とにかく、んなヘロヘロじゃ打てねぇだろ。飯行って、今度はパチ行くぞパチ!」
「りょ、了解ですぅ」
負けはしてないが、勝ったと思ってもない。つまりノーカウント! ノーカン、ノーカン! プラマイゼロでは帰れない。ダブルヘッダーだッ!