Final Round【7月7日】 魔女と連れ打つは灼熱の七夕
――――少し時は過ぎ、現代は7月7日を迎えた。
あの後……結局茶髪の令嬢から逆襲はなく、平穏な猛暑が訪れた。騒動の中で獲得した4万発は、とっくに消えたが。
「いいよなぁ魔女様はぁ、あのお嬢様のパパンから研究費ふんだくってんだろ?」
「そんなものはとっくの昔に溶けました」
「えぇ……」
「研究には莫大な予算が必要なのです。実証に必要な資材はいくらあっても足りません」
杖しか使ってないだろ…………!
そして失ったものを取り返す戦いのため、今日は開店前から並んでいる。7月7日……7のゾロ目の日の影響で、並び人数は桁違いだ。ま、誰も魔法を使わないなら平和だろう。
魔女以外は、だけど。
「平和に打ちてぇなぁ」
「平和がなによりです」
混沌を具現化したような魔女はそう宣う。30度を超えるクソ暑い環境下でも、黒のとんがり帽子とローブは欠かさない。
「……お前暑くないの?」
「火山でも問題ありませんよ」
激熱を超えて灼熱だなそりゃ。考えただけで汗が出ちまいそうだ。そういや最近は灼熱演出もあったね……あとは白熱とか。
「さて、なんのスロット打つかな……」
「おや? あなたもスロットですか」
「もって、お前もぉ?」
「パチンコの研究はひと段落つきましたからね。そろそろスロットをば」
「今年の七夕は隕石降らすなよ……?」
「隕石はしませんよ」
いちいち含みがあるんだよなぁ……
覚醒したと言った割には、当時の輝きもなくなっている。平和なパチンコライフに対して、普通の魔法を使っていたのだ。
……普通の魔法ってなんだよ。
あーいかんいかん、行ったこともない異世界に毒されている。打つならスマスロ最新台、打つならスマスロ最新台…………いや、地域色を考えてノーマルか…………
「スマスロなら星、ノーマルなら時の魔法…………」
「物騒なことを呟くんじゃない」
「純然たる研究計画の確認です。まったく……弟子なら師匠の考えを理解すべきです」
「ハッ、弟子ってのは常に師匠の上を行くんだよ。よし決まった、スマスロだ!」
「まぁいいでしょう。今日は長い戦いです、せいぜいバテないように」
そして、扉は開かれる。
ある者は心地よい戦いを、またある者は圧倒的勝利を…………異世界からの者は、研究を求めて。
「あるいは、フラグ満載のセリフを残して」
「モノローグに介入するんじゃねぇ」
……なお、7月7日だからと言って絶対に勝つわけではない。が、打たなきゃそれも分からない。打てば勝てる可能性もあるのだ。
「目指せコンプリートォッ!」
不確かな未来を掴むために、今日も万札を突っ込むのである。
行け諭吉、続け栄一!
全てはウハウハな未来のために!!
「さて、ビックバンでも起こしますか」
「もう今日はツッコまないからな」
異世界の魔女、現代でパチンカスになる
第6章
追放勇者と悪役令嬢の現代実践
〜パチンカスを添えて〜
(了??)
◇ ◇ ◇
7月7日は1年に1度の激熱灼熱のイベント日!
七夕Rushでボーナスを増やしましょう。
これにて令嬢編終了です。
パチジャンキーとなった令嬢もまた出したいですね。
☆連打でRush突入です。
ぜひ☆5つ、よろしくお願いします。




