Round 23 パチンコ、楽しんでる?
「楽、しい?」
「なんていうんでしょう……この玉が流れていくの、見ていて飽きないですよ?」
◯わからんでもない
◯最初は打ち方工夫してたおもひで
◯言うほど変わらんよなw
◯それボッタ店じゃね?
1玉4円という現実がなければなぁ。
最初打ち始めた時は演出もハラハラしてたけど、打つだけでも色々考えてたっけかな。
「あ、ほら! リーチですよ」
「緑保留……うーむ」
あまり期待はできない。が、魔女は楽しそうだった。ごく普通のリーチなのに、少しドキドキしながら。
「あー……ハズれちゃいました」
「残念」
◯緑保留はないだろw
◯最近はそうでもないぞ
◯むしろ青保留とかのほうがレア
◯通常保留で当たるのも珍しくないしな
「感じる、脳汁を感じますわッ!」
「ヨモニってんなぁ」
さっきから隣の台から同じフレーズばかり聞こえやがる。もう3連かよ…………
「お」
隣の台に見惚れるな、そう言わんばかりに赤い保留が現れた。そしてそれは、魔女の台にも。
「赤いです!」
「赤いな」
色んな台で見慣れた赤保留も、なんだか新鮮な気分だ。そういや初めての時って何が熱いかなんて分かんなかったしな。そもそも熱いってなんだよってな。
「い、いっぱい走ってきましたっ……⁉︎」
「群予告だ!」
俺には来てないけど。こりゃ魔女の当たったな。ストーリーリーチもしっかりチャンスアップしていく。そして魔女は、不安そうでも期待しながら事を見守っていた。
「当たりますかね……」
「当たるさ」
さぁご唱和ください────
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
◯ヨーモニィィィィィィ
アホみたいにコメント欄が流れていく。
「あ、当たった! 当たりました!」
「良かったな」
冬 冬 冬
と、冬図柄の当たり……確変だ。
俺も当たったんだが偶数当たり、通常である。
「いま、なんだか頭の中でぶわぁっとしました!」
「ぶわっ?」
「透明で、すごく気分が良くて……脳が弾けたみたいな!」
お、おい……これ、もしかしなくてもパチンコにのめり込む前兆じゃないのか……? いや、そんなはずは…………そう、シルバは純粋に楽しんでるんだよ。
そう……だよな?
「……パチンコ、楽しいか?」
「────はい!」
銀髪の魔女のままでは、決して見ることのなかったであろう笑顔。ただ楽しいと、純粋に遊んでいる笑顔。
それが────突如、輝いた。




