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異世界の魔女、現代でパチンカスになる  作者: ムタムッタ
追放勇者と悪役令嬢の現代実践〜パチンカスを添えて〜

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Round 19 魔女、敗北す


「やめて! 令嬢の錬金術で、パチンコ台を魔改造されたら、闇のパチンコで財布と繋がってる魔女の精神まで燃え尽きちゃう!


 お願い、死なないで魔女シルバ


 おぬしが今ここで倒れたら、刹那や我との約束はどうなっちゃうんじゃ?

 諭吉ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、令嬢レイジョに勝てるんじゃから!


 次回

 「銀髪の魔女、死す」デュエルスタンバイ!

 


 ◇ ◇ ◇



「…………なんだ今の」


 一瞬眩暈がしたな、白昼夢だろうか。

 魔王の声で再生された気がしたが……まぁいい。


「オーホッホッホ、またまた大当たりですわぁ!」


 優美レイジョ──茶髪の令嬢7回転目、3回目の大当たり。対する魔女は今2回目の大当たり、100回転目のことである。


 〇なんか回数半減してて草

 〇めっちゃ当たるやん

 ◯レイジョちゃん優勢かぁ?


「いやだなーまだ始まったばかりですよー☆」

 

 声色は営業時のものだが、魔女の眼光が鋭くなっている。やはりこの展開は予想外らしい。そしてなにより、魔法を使っていない。


「おいシルバ、なんで対抗しないんだよ」

「魔力が回復していないのです」

「おまっ……昨日俺たちにも掛けたからだろ」

「それもありますが、いま彼女が起こしている錬金術に対抗するには莫大な魔力がなければ不可能です。本来とは別のルートで来た状態では、己のヒキ以外は使えませんね」


 なんてこった……まさか魔力なしで打つ日がまた来るとは…………


「でも、勇者には魔力なしで勝ちましたからね☆」

「いけるのかぁ?」

「プランは二重三重に用意していますよ、ご安心を」


 澄まし顔で返しつつ、魔女はすぐに次の当たりを引き寄せた。


「そこっ! わたくしを差し置いてお姉さまとイチャイチャしないでくださるっ⁉︎」

「うわ、また当ててやんの……」


 〇百合の間に挟まるなよ

 〇ギルティー!

 〇有罪、確定ッ!


「挟まるっつうか巻き込まれてんだけどな」

「巻き込むどころか抱き込んで差し上げますわ!」


 令嬢の快進撃が止まらない。2000発の出玉がどんどん重なっていく。しかも、どの当たりも軽い。20回転も回っていない。

 

「これがわたくしの真の力ですわー!」


 140回転の半減と軽い当たり、そして、

 『私の可能性を捧げますわぁーッ!』……その台詞から導き出されるのは────


 当たり確率の操作……?


「気づきましたか」

「あいつ、確変回数を生贄にしたのか──⁉︎」


 そんなバカなことあるわけ…………いやあるな。魔女も釘をガバガバに|する代わりに当たり確率を3倍重くする魔法シューティング・スターとかやってたし。


「オーホッホッホ、最強無敵の術は完璧ですわ〜」

「でも半分にしたくらいで確率跳ね上がるのか?」

「それはないでしょう。せいぜい倍か、もう少しくらいではないですか」


 ん? 140回転中に1/97が半分なら70回転中に約1/49の確率になる…………?

 あんまり継続率が変わらないような。


「あんまり意味なくね?」

「だからあの引きはお嬢様自身の実力ジツリキですよ、刹那」

「結局そこに収束するのか……」


 そして確率は収束するもの…………のはずだが、令嬢のバカヅキは正午を過ぎても止まるところを知らなかった。4万、5万、6万……増える出玉は加速する。


 〇おいおいマジか

 〇圧倒的過ぎだろ……

 〇圧勝じゃね?

 〇シルバ負けんの?


「時に私の想像を遥かに超えることがある…………良い経験でした」

「お姉さま、わたくしの勝ちですわ!」


 とっくに確変を終えて、通常時に戻っていた魔女は1万発ちょい。

 対して令嬢は、95000発に到達して、パチンコ台の稼働を打ち止めにさせたのだった。


 〇やばwww

 〇コンプ初めて見たわ……

 〇引き強すぎん?

 〇レイジョちゃん最強!!


 圧倒的大差。

 今まで遊びで多少の差がつくことはいくらでもあったし、魔女も決して毎回勝っていたわけではなかった。しかしこいつ自身、そのたびに己のヒキでなんとかしていたのも事実。


 純粋なヒキの勝負ですら、令嬢は魔女を上回った。衆人環視の状況で負けたのは、銀髪の魔女の方だったのだ。 


「レイジョちゃんつよーい、完敗ですっ☆」

「では、お姉さまはわたくしの物。手始めに大切なモノを頂きますわ」

「大切なモノ……うわっ⁉」


 令嬢の頭上に浮かんでいた円陣が、銀髪の魔女へ降り注ぐ。謎の光に包まれていくにもかかわらず、魔女あいつは笑っていた。


「お、おい! お前大丈夫かよ」

「これも研究のためです…………刹那、あとは任せます」


 何をだよ⁉

 そしてまたしても視界は眩い光に包まれる。


「オーホッホッホ! これでわたくしも魔法使いですわぁ~!」

「ったく、毎回毎回眩しいのはなんなんだよ……」


 相変わらず光り続ける令嬢は高笑い。何が起きたのかは全くわからん。

 配信を見てみると、どうやら勝手に終了したらしい。カメラの録画も終わっている。ま、取れ高もあったから編集して投稿したら受けるんじゃねぇの?


「師匠~、さっさと帰るぞ」


 魔女に声を掛けるも、反応がない。しかばねではない。

 ぼーっとした様子で画面を眺めている。


「シルバさんや」

「え、わたし……です、か?」

「お前以外に誰がいるんだよ」

「いえ、あの…………」


 妙な雰囲気だ。自信満々な顔でも、パチンコ楽しんでいた顔でもない。

 どこか別人のような……


「ここ…………どこ、ですか?」

「………………………………は?」


 きょとんとした顔で、銀髪の魔女は首を傾げる。

 意☆味☆不☆明



 ◇ ◇ ◇


 令嬢による錬金術『熱き決闘の生贄サクリファイス・ロード

 確変回数と引き換えに大当たり確率を上げる術。

 確率は上がっても、引けるかは己次第。

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