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異世界の魔女、現代でパチンカスになる  作者: ムタムッタ
追放勇者と悪役令嬢の現代実践〜パチンカスを添えて〜

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172/225

Round 18 茶髪の令嬢によるパチンコ攻略法『熱き決闘の生贄』


「俺も打っていい?」

「あら、お姉さまとの蜜月は邪魔するおつもり?」

「今日はカメラマンに徹してください」


 俺は何のためにパチ屋に来ているのだろうか? 今すぐバックれてもいい?


 ◯休日返上でパチ屋に撮影で草

 ◯カメラマン乙

 ◯台は決めさせたれよ


「仕方ありませんわねぇ、勝負の舞台は決めてよろしくてよ?」

「わーい、ウレシイナー」


 せめて見ていて暇つぶしになる台にしよ。羽ものは……ないな。画を意識するなら甘デジだけど、ここは2人共倒れも面白い。


 やっぱ1/399だな!

 なら今日打ってもらうのはコレしかない。


「百花繚乱ならぬ千紫万紅ってな。夕方までの出玉で勝負ってことでどうよ?」


 戦国の乙女でご存じ台。シリーズ7作目、「終焉の関ヶ原」である。6作目の「暁の関ヶ原」と何が違うかと言われても困る。関が原は関が原なのだ。


 ラッキートリガー搭載機、とりあえずチャンス獲得の時点で3000発確定の素敵な台だ。


 ◯1/399かよ

 ◯当たるのか?

 ◯ハマり続ける未来しか見えない


 視聴者にどうこう言われようと気にしない。だって今日打ちたかった台のひとつだもの。せめて眺めさせて。


「ふふ、戦う乙女なんて今のわたくしにぴったりではありませんの」

「まーた目が7になってんぞ」


 この前の狩台《モ◯ハン》で脳汁がすげぇことになったみたいだけど、なにか変わったのか?


「ではでは、実践開始〜☆」



 ◇ ◇ ◇



 乙女台はまず1/399の初当たりを獲得する必要がある。言わずもがな、当たりは図柄当たり(いわゆる普通の大当たり)とチャージ当たりがある。その篩を突破したらようやくLT(ラッキートリガー)チャレンジとなる。チャレンジは2回、50%の確率を通せば晴れて確変突入となる。


 そもそも、1/349のパチンコ台なんて大抵はチャージ当たりが連発して映えない風景が見えるのだが────


「オーホッホッホ、天上天下唯我独尊! 今のわたくしを阻む者はいませんわ〜ッ!」

「さすがはお嬢様、リアルラックは貴族の資質でしたか」


 まるで動画映えに忖度したように、魔女と令嬢の台は同時に大当たりを獲得した。50回転のことである。


 ◯はえーw

 ◯引き強すぎて草

 ◯乙女はこっからだろ


 しかしなんなんだ……? 当たって当たり前のようなこの雰囲気は。気のせいか、令嬢の身体からオーラが立ちめいているように見える…………なんだよオーラって。


「お嬢様なんかあった?」

「お姉さまの魔法を経て、私、わかってしまいましたの」

「なにが?」

脳汁のうじるです」

「脳汁」

わたくしの錬金術などまだ道半ば……足りない分は何かで補う必要がある、そう思わなくて?」


 ◯exactly!!

 ◯来たか、高みに

 ◯ようこそ「こちら側」へ


 視聴者諸君、君らもパチンカスって自覚はあったんだね……!

 

「私が欲すべきは魔力ではなく脳汁! 脳内の弾ける感覚こそ、求めていたモノですわーっ!」


 キラキラに光る瞳のまま、令嬢はハンドルを捻るとラッキートリガーチャレンジの玉をぶち込んだ。


「これは…………⁉」

「全身が…………光ってる⁉」

「フフフフフ、アハハハハハハ! 当たりの世界が見えますわぁーッ!」


 2回目を見るまでもなく、令嬢はLTチャレンジを突破した。

 対して銀髪の魔女は2回転目にしてチャレンジ突破、お互いに同じ土俵に上がったわけだ。令嬢の変貌に、こっそり魔女に耳打ちする。


「おいおい、アレどうなってんだ……?」

「異世界の文明に触れたことによる覚醒かもしれません…………聖女や剣聖が目覚めたように」


 それはパチンカス(スロッカス)に成っただけでは…………?

 ともかく乙女ラッシュ――確変――に突入した。ここからは140回転の内に1/97を引く勝負となる。140回もあるんだ、とても簡単だ。


 ちなみに駆け抜けた回数は覚えていない。

 いいんだよ、当たった時点で3000発はもらえてんだから!!


「おほぉーっ⁉ 1回転目で当たりましたわぁっー!」


 止まらぬ令嬢の幸運。気づけば画面の真ん中に777と揃っている。あまりに早い。今日のツキはお嬢様に傾いているらしい。


「あら、モードを分割できるますのね」

いくさと強カワモードの()()()()()()()()()よ~☆」


 2種類の確変モードがあるのだが、今回の台は140回転の内にどちらを何回転遊ぶか決めることができる。5:5でもいいし、一方を140回にしてもヨシ。そうそう、細かく10回ずつ配分できるんだよ。でも、あとで変えようと思ってると駆け抜けたりすんだよなぁ…………


〇戦モード一択だろ

〇は? 強カワ140だろ

〇40と100にしてるは

〇80と60かな

〇交互に140にしてるかなー


 コメント欄は回数配分によるオカルト打法にまで話が盛り上がっていた。


「なるほど…………()()


 Rush継続の文字が出て、令嬢レイジョのモード配分は据え置きのまま、しかしハンドルは回っていない。立ち上る光はより強く、そして令嬢は輝いた。


理解わかってしまいましたわ、お姉さま。私、今まで宝石や金と引き換えに錬金術を使いましたけれど、そうではないということを」

「…………お嬢様?」

「必要なのは脳を駆け巡る奔流! そのためには資産を賭けるなどでは不足! 真に賭けるべきは()()()ということを!」

「なんか舞い上がってんぞ」


 茶髪の令嬢が右手を天井に向けると、空に金色の円陣が浮かび上がった。


「金の輝きは我が為に、溢れ、弾け、迸る脳の悦楽よ! 私の可能性を捧げますわぁーッ!」

「これは…………わたしが教えた錬金術ではありません!」

「目が潰れるぅっ」

「――――『熱き決闘の生贄サクリファイス・ロード!』」


 快楽物質マシマシ状態の令嬢の発動した錬金術(?)はカメラを金色の光で包み込み…………


〇光 量 注 意

〇何も見えねぇ!!

〇なんだこれはw

〇まぶしすぎぃっ!


 チカチカする視界がようやく順応し始めて見えたのは、140回あったはずの令嬢レイジョの確変が、わずか数十秒の間に70回転まで減っていた。


「高速っつっても変じゃねぇか…………?」

「刹那、上です」

「上?」


 よく見れば、令嬢はまだハンドルを握っていない。そして魔女の言う通り、令嬢のデータカウンターを見てみると、回転数は「0」。


 一切回っていないのにも関わらず、140の確変回数が半減していた。




 ◇ ◇ ◇


 参考機種『P戦国乙女7 終焉の関ヶ原』

 初当たり3000発は魅力的。約1/2でLT、2回転もチャンスあるんだから簡単!

 なお(以下略)。


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