Round 17 スーパーユニークスキル『三刀流』(※魔法です)
◯テンパリ過ぎw
◯きゃわわ
◯めっちゃピンク
◯汗すご
「あわわわわ、噛んでしまいましたっ!」
「気にすんな。配信の体ってだけだから」
コメントを見る限り、今回は異世界への配信はしてないようだ。……なんだよ、異世界への配信って。
セルフツッコミはともかく、魔女の司会進行は続く。
「今日は最近導入された新台をみんなで打ち尽くしちゃいまーす!」
「おー」
◯だから平日なのか
◯土日は撮影許可出なかったかー
◯新台ってなに?
「ではでは〜早速入店〜!」
平日のホールはやはり土日の過熱状態よりもおだやか。まだ9時過ぎだし当たり前か。
「んで、今日は何を打つのシルバちゃん?」
「そ・れ・は! こちらで〜す!」
パチンカス共のボーナスを喰らう年末の最新台──VRMMOのパチンコ台、そのスペック違いである。
1/199というライト帯に、もはやお馴染みラッキートリガーを備えている。今回は黒の剣士に代わり、メインヒロインの閃光様が主役の台だ。そんな台が15台も導入されている。
「多くない?」
「撮影にピッタリですね☆」
……まさか、店舗の入替業務にも魔法使ってないだろうな?
「魔女様、全て空いてますがどこに座るのですか?」
「全部です☆」
「え」
女騎士……いや、シキの質問に魔女はおかしな返答をした。
◯どゆこと?
◯全部?
◯まだゲストいるのん?
◯わかんね
「今日は私達で平日新台15台すべてを回しま〜す!」
◯10人足りねーぞ
◯ついに算数ができなくなって……
◯\(^o^)/
「せ、先生っ……もしかして魔女がおかしいのは、もう……」
「わしらには救えぬものじゃ……」
「わはは〜みんな辛辣ぅ」
当然だ。5人で15台を打つことなど不可能。それに、掛け持ち遊技は出禁レベルの違反行為である。
「勿論、掛け持ち遊技など不正行為ではありません。我々は至ってクリーン、1人1台打つのですから」
「あのね師匠、10人足りませんぜ?」
「足りない? ふふ、そんなことはありませんよ。ここには15人存在するのですから──」
お約束の杖を取り出し、魔女は唱える。
「捧げるは絆の結晶、望むは影ならぬ影。迷宮に挑む勇ましき者達の影よ、我が呼び掛けに応えよ!」
杖の先に光が集い、やがて天井へ浮かんでゆく。
「西に剣、東に剣、そして我が剣を以て運命を貫け」
◯照明強すぎぃ〜!
◯なんも見えねぇ
◯つーか毎回この呪文はなに⁉︎
◯目がぁーーーーー
「それぞれの魔力を合わせ作り出すは新たな打ち手! 物語の剣士が二刀流なら──」
「まぶしっ……!」
閃光に包まれ、カメラの視界は真っ白に。次に目を開けた時、そこには確かに、魔女が3人いた。
「「「ほら、人数分になったでしょう?」」」
「「「「わは〜、わえは4人だぁ~」」」」
「「「おぉっ! 研究中と同じですね」」」
「「「な、なにこれっ⁉︎」」」
〇?????
◯CG⁉︎
◯めっちゃ増えとるw
◯なんだこれは……
◯そっくりさん?
「」の量多めでお送りしております。
魔女が3人、エルフ師匠が4人、女騎士と剣聖も3人に増えている。
「「無茶苦茶な……」」
「「ん?」」
3+4+3+3=13。
じゃあ残りが誰かってのは簡単なお話で、隣を見ると墨乃スミレ2号と目が合った。
「「俺も2人になってるぅー!」」
「魔力が無かったので、薬で一時的な魔力持ちに加工したわけです」
「「変なもん飲ませんな!」」
「これがパチンコによって極められた分身魔法ですよ」
「なにがユニークスキルだ、軍団じゃねぇか」
「これは心外、純然たる研究の成果…………いえ、物語に準えてユニークスキルと言いましょうか。ともかく、努力の賜物と言って頂きましょう」
「「「「とりあえず打とうよぉ」」」」
「「「ぱちんこですね!」」」
「「「やるぞぉっー!」」」
うるせぇ!!
急拵えの偽名だらけのパーティは、それぞれ同じキャラ同士、隣り合って席に着く。異世界パーティならぬ、異世界 (パチンコ)軍団。
「魅せましょう、我がスーパーユニークスキル『三刀流』を!」
1万円をそれぞれの魔女が構え、攻略は幕を開ける。
◇ ◇ ◇
参考機種
eソードアート・オンライン 閃光の軌跡
年末最新台! 決めろ、ラストアタック!!
以前はアスナと言えばSAO、しかし昨今「アスナ」というキャラクターも増えましたな。




