Round 8 す・す・め! 異世界乙女ぇ〜!!
真面目が堕落すると戻るのは難しいと言いますが(偏見)。
「せんせぇ〜ピザ頼んでいいですかっ?」
「せんせぇ〜今日は沖スロを打ってみたいですっ!」
「せんせぇ〜台の勉強の為、あにめと言うものを……」
桃髪の剣聖の堕落速度は類を見ないほどであった……怠惰へ進む異世界乙女の明日はどちら?
なんだかんだパチンコ・スロットにはハマっているが、勇者一行(勇者抜き)は現代で怠けているわけではなかった。もしや……剣聖とはこの辺の『差』なのではなかろうか。
「ま、俺は困らないしいいんだけどね」
食費はもらったし。
最初の勝ちから大負けを喫したものの、剣聖もそこそこ打ち方を理解し始めたようであれから大敗はしていない。
そんなこんなで2週間。
『働いたら負け』とでも言わんばかりに現代ニート生活を堪能している剣聖ちゃんは今日も今日とてスロット三昧。
……の、はずだった。
「先生、今日は何を打ちましょうかっ」
「それはこれから決めるんだけどさ、べったりするのはやめようね」
「えぇー、賢者様だってやってるじゃないですかー!」
「あれはべったりというか孫に絡む人みたいな存在だから……」
白いコートを脱ぎ、髪色と同じパーカーの少女が腕を絡ませる。遠目で見れば事案待ったなしとも言う。
引き離そうにもおよそ見た目とはかけ離れた腕力で掴まれているのでムリな状態。魔女もエルフ師匠も助けてはくれない。
さっさと勝ち分を崩させたいところだが……こちらも相応のダメージを被るのは困る。誰でもいいから異世界の奴が来てくれれば……
「けけ、け、剣聖殿⁉︎」
マイホールのパチンコ店前にて、転機は訪れた。聞き覚えのある腹から出た声、剣聖とは対照的な体躯と金髪。
「うげ、騎士様っ⁉︎」
「おー久しぶりだな」
桃髪と金髪、両者が目を丸くして相対す。わなわなと先に震えたのは女騎士。その指は俺と剣聖の腕を差す。
「せ、せ、せ……先生が……先生が寝取られたぁっ⁉︎」
……最近訳のわからん女っ気のせいで誤解されがちだが、異世界の誰かと深い仲になったことなど一度もない。
「好きねぇこのくだり」
怠惰と誤解へ突き進む異世界乙女達の仁義なきバトル、開幕。
◇ ◇ ◇
取材中のため、次回の投稿は数日後の予定です。




