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異世界の魔女、現代でパチンカスになる  作者: ムタムッタ
パチンカスの魔女にも師匠がいるって本当ですか?
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休憩 異世界宅飲み(俺ん家)


 俺たちの背後にいたのはリアル貞k……じゃなくて、銀髪の魔女ことシルバだった。


 考えてみれば、銀髪なんだから違うに決まってるんだが雰囲気に飲まれてしまっていた。


 沖縄帰りの奴と共に移動したのは……俺の家である。何故。


「くつろげる場所が良いので」

「自分の家に帰れよ」

「……師匠を拠点に入れたくありません」


 それは分かる。

 しかし孫弟子へ押し付けるのはパワハラでは? いや、本気で魔女の弟子になったつもりはないけどね?


 沖縄土産のちんすこうは、せめてもの宿代のつもりか……実践後の身体に甘味が染みるのであった。



 ◇ ◇ ◇



 日焼けもしてない魔女の旅についてはさておき。既にビールを6本空けたエルフ師匠がダル絡みしないうちに話を進めた。


「資格更新ぅ?」

「そゆこと」

「どゆこと?」

「国へ魔法使いの資格保持、更新として、何かしらの成果を提出する必要があるのです。一種の評価・査定ですね……もうそんな時期でしたか」

「うっ……なんだか胃が痛い」


 Q.今年何やってましたか? 

 A.異世界の奴らとパチンコ


「平和になった途端、面倒ごとばかりですね。私を査定するなど小賢しい」


 そういや元々は魔王討伐の旅に出た勇者一行だったっけか。パチンコ打ってるだけだからその設定忘れるぞ。


「この子はね〜、権利独占のために提出しないんだよぉ」

「私は私の為に研究をしているので」


 どこの世界も利権関係はめんどくさいねぇ……


「だから、最近帰ってないって国の人に泣きつかれて遊びがてら様子を見に来たんだよ〜」

「孫弟子()にダル絡みしてただけだけどな」

「弟子の務めです、光栄に思いなさい」


 う〜ん、この師匠。

 魔女もエルフも碌なものではない。


「報告しないと魔法使いの資格取られちゃうぞぉ?」

「それはないでしょう。私を追放すれば私の保有する魔法の権利も失いますからね。いずれ異世界間の移動も権利を取って利用料をふんだくりますよ」


 無敵かコイツ……!

 

「ね? 手のかかる弟子だろ〜?」

「どっちもどっちだな」


 この師匠にしてこの弟子である。

 しかし俺が巻き込まれる道理はない。土産だけ置いてさっさと帰れ。


「だから成果物、というか成果の証拠として『弟子を取ってた』ってことにすればいいかな〜と。わはは……」

「ん?」

「だって、君は……主義刹那はシルバの弟子なんでしょ〜? 異世界、行ってみない?」

「行かねーよ」

「大丈夫大丈夫ぅ、先っぽだけだから」

「もしもしポリスメン?」

「わぁーっ! 待ってまごでしぃ〜! ついてきてくれるだけでいいからぁ〜!」


 なーんか空気変わったな。


「お師匠様、なにか隠してませんかねぇ?」

「え、えぇ? 隠してないよぉ?」


 四方八方に泳ぐ目を見てスルーするほどアホではない。


「言わないんなら酒はここまでだな」

「わぁっ〜わえのお酒ぇ〜!」

「師匠……国から何を言われたのですか?」


 やはり本物の弟子の圧の方が効果的のようで、エルフ師匠はあっさりと口を割った。


「ぎ、銀髪の魔女シルバは異世界の男に唆されて権利独占と国への反逆を企ててるから止めてこいって」


 ……なんじゃそら?


「じゃないと今までのツケを払えって言われてお酒が飲めないんだよぉ!」

「……残念でもないし当然ですね」

「アホくさ。解散解散」


 明日も早いし片付けなきゃな。

 手始めにエルフ師匠のビール缶を没収しようとすると、謎のバリアが張られた。


「往生際の悪い」

「でも刹那に唆されてるのはホントでしょお⁉︎」

「なぜそうなる」

「だって聞いた話だと、『異世界の男は魔女を唆して、女騎士と見習いを辱めて、魔王を手下にして、聖女を誑かしてた』って言われてるよぉ?」

「俺……そんな鬼畜になったのか」

「ほぼ事実ですね、私以外」

「うぉっい⁉︎」


 違うか? と言われるとそれはそれで否定できないんだが……


「行ってもない異世界で有名になるとは……」

「だ・か・ら! このわえ直々に助けてあげようというのだ〜!」

「いや、あんたは酒代払えないから逃げてきただけだろ」

「うぇっ、ほ、本気になれば払えるんだからね⁉︎」

「前提として、それを払わなかったせいで私が勇者一行に組み込まれてしまったわけですが」


 ……あれ? 

 確か魔女がこっちに来たのは魔王討伐の最中に追放されて来てたから……


「お前が元凶じゃねぇか」


 ツッコミでバリアを叩くと、今度は簡単に砕け散った。


「わわっ、結界が⁉︎」

「ちんすこうをエルフのお口にシュッー!」


 勝負にも勝ってるし、もう自由にさせる必要はない。存分にいじってやろう……と思ったのだが、銀髪の魔女は立ち上がった。


「まぁ、その程度のことならいつでも解決できますが」

「ん、どうしたし──っ⁉︎」


 見たことのない形相で、魔女は笑っていた。パチンコで魔法が上手くハマった時とはまた違う、ものすごーく愉快そうな表情。


「誰のお陰で国が安泰なのか()()()()()きます」

「ふーんお疲れ……って、この飲んだくれ師匠どうすんだよ⁉︎」

「師匠としてお願いです、我が師匠を丁重にもてなし続けるように。酒代は……後でまとめて清算しましょう」


 お願いっつうか、命令のような。

 魔女が玄関を開けた先は、これまた異世界。カチコミでしょうか。殲滅でしょうか。今までは片手で扱う杖しか見たことなかったが、鈍器のような大きな杖を持って消えていった。


「わ、わえしーらない……」

「右に同じく。ま、酒代回収できるならいいや」

「あれぇ? これってまだ飲んでもいいってことぉ?」

「そういやもてなし続けろとか……あいつぅ、結局押し付けやがったな⁉︎」

「じゃあ飲むぞぉ〜!」

「勝っても結局変わんねぇ……」


 果たしてどうなる異世界⁉︎




 ※次回も現代で平常通りです。

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