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異世界の魔女、現代でパチンカスになる  作者: ムタムッタ
パチンカスの魔女にも師匠がいるって本当ですか?

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Round 5 紺髪のエルフによるパチンコ攻略法(?)『至れ、鼓動の先へ』


「うっ、うぅ……」

「早くあたらないかなー☆」


 涙目のエルフを尻目に心が踊る。

 そりゃそうだ、こんなにビビってるのを見るのは爽快なのだから。


「うわぁ、なんか鳴ったよぉ⁉︎」

「電話演出じゃねーか……」

「う、うぅ……そ、そうなのぉ?」


 瞬間。

 台の上から白い両手が急速に落下した。

 

「ぎゃっー⁉︎」


 ついでに俺の服が思いっきり引っ張られる。か弱い少女の力ではない。


「すげぇ……もう当たってやんの」

「なんでこんな当たり方するんだよぉ!」


 俺にもわからん。

 でもビビってるエルフ師匠を見られるのは楽しい。演出は滞りなく終わり、画面には「777」と確変のお知らせ。


「なぁにこれっ?」

「確変入りだろ、俺の頭読んだんじゃねーのかよ」

「それどころじゃないよぉ〜!」

「はっはっは、楽しそうでなにより」

 

 まだ復讐の序章だが、ほんの少し溜飲は下がったな。さてと、俺の方はっと……


 気づけば何やらリーチに入っていた。我らがジャパニーズホラーの大御所、S子さんを出せれば大当たり。よく知らんが、なーんも熱い音はなかったしどうせハズレだろ。


《ジョグを押し続けろ》


 台右部に設置された赤いギミックを押すらしい。ハンドルから手を離し、ジョグを下へ押し込む。


 こう言うのは期待させといて当たんねぇんだよなぁ。そんな押し込みも虚しく、残り時間のゲージが減っていく。まさに順当なハズレだ。ギミック使用させるのはいいんだけど、当てさせてくんないとさぁ……


 手を離そうとした直後、台上部からS子の両手が落下した。


「ぎゃっー⁉︎」


 身体はビクッと震え、驚きはエルフ師匠にも伝播する。


「ぎゃっ⁉︎ ……なんだよぉぅ!」

「もぉ〜……こういう不意打ち苦手だ……」


 びっくりしすぎて逆に笑えてしまう。


 無事確変突入。

 しかし……ワンテンポ遅れた当たり演出は通常の台とは異なる刺激がある。上がった心拍数ドキドキはなかなか戻らない。


「ちょ、ちょっと⁉︎ 自分も苦手ならなんで座ったんだよぉ!」

「うるへー! あいつの師匠だかなんだか知らんが勝手が過ぎんだよ!」


 死なば諸共だ。


「なんて孫弟子だぁ〜……こうなったらわえだって……!」

「ハッ、もう確変入ったからな……この前みてぇな魔法は通じないぜ。師匠の師匠だからってデカい顔させねぇ!」


 あとはラッキートリガーを引くだけの簡単なお仕事だ。ちょっと怖いけど……S子様お願いしますーっ!


「く、くそぉ〜孫弟子だから甘くしてたのに……ならどっちがビビりか勝負だ! 負けたらわえの言うこと聞いてもらうからね!」


 その間にもエルフ師匠の台は手が落下しビクンッと震え続けている。


「上等だよ。パチンカスとしてはこっちのが()だったことを教えてやる」

「言ったな~⁉︎ ならドッキドキの魔法で勝負の舞台を作ってやる~!」


 何が来たって怖くねぇ、()()()()()()()()()()負ける気がしないからな!


「いっくよぉ~『至れ、鼓動の先へ(ビート・ヘブン)』」

「うぉ、いつもの来た――!」


 エルフ師匠から放たれた光が俺達の台を包み込んだ。

 特段変化は無いようにも見える……が、油断してはいけない。相手は銀髪の魔女の師匠だ。


 確変は普通70回転以内に約1/57を引けばいい。もちろんその間にも俺達を恐怖させるギミックは満載。あとは大当たりの10%でラッキートリガーなのだが……今回はエルフ師匠に勝てればそれでいい――わけもなく、せっかくなら爆連して勝ちたい。


 早く来い、早く来い…………!

 心臓は当たりと紺髪のエルフの不様な姿を期待して早く鼓動する。


 そして、心拍の間を狙って白い手は落ちる。


「ギャーッ!」

「わっはははは、驚いてやんギャーッ⁉︎」


 お互い気の抜けたところをS子にやられてしまった…………


「む、むっふふ……これで()()()()()、だね」

「……あ?」

「ビ、ビックリした回数が多い方が負けだよ!」


 なぁんだ、そういうことか……それなら俺が断然有利だ。こいつほどビビりはしないだろう……多分。さっきから右腕を触られてるのはご愛嬌だろう、まぁ許すか。


「へへ、どんな魔法にしたか知らないけど勝ったな」

「むっふっふ……それはどうかな? って、ちょっと怖いからって腕握らなくてもいいだろぉ~?」

「はぁ? そっちこそハンドル握ってんだから右腕触んなよ……」


 煽って来たもんだから煽り返すと、お互い妙なことに気づいた。しかも妙に冷たい。


 嫌な……予感がする。


 台の画面に集中していたからか、視線が外れていた手元がどんな風になっているのか見ていない。絶対見たくないけど、お互い大当たりを消化したところで目を落とす。



 そこには……台から生えた真っ白い手が、俺とエルフ師匠の腕を握っていた。


「ギャー!」「ぎゃぁーっ!」


 

 ◇ ◇ ◇


 参考機種:

 Pリング 呪いの7日間3 ラッキートリガーVer.


 ジャパニーズホラーの金字塔、『リング』から貞子さん大暴れ。


 上位Rushの貞子夢爽さだこむそうはちょっと笑いました。

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