Part3 抱懐
奪うも奪われるも嫌いだ
だけどすでに奪った者は許さない
私は魂に刻み込む
そして、隊長の唇に私の唇を重ねた
「いただきます…」
服を脱がす途中
隊長の首のドックタグを見つける
名は…
「ユーリ・レオンハルト」
「ユーリ…」
なんでこんな大切な名前を忘れていたのだろう
私はユーリを咀嚼しながら隊長との思い出を振り返る。
全て忘れてはいけない。
何者にも奪われてはいけない
私はユーリを食べ尽くした。
心地よい多幸感に包まれる、今までの人生で1番意味のある食事をしたようだった。
いや、食事という言葉では表せない程の神域にも至る経験であった。
「遺骨は故郷に持って帰らないと」
バックパックに遺骨を詰める。
装備はドックタグを巻き付けた彼のナイフと形見のハンドガンのみ。
「翼は治ってないし、南へ歩くか」
「3kmかぁ、訓練よりも楽だなぁ」
呑気なことを言いつつ戦場を後にしてひたすら南へ歩く。
私の頭はとうにイカれたかもしれない。
彼の頷く声が聞こえた気がした。
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南へ1km程歩いたとこで敵兵を発見した。
今は午後21:00だ
頭がとても冴えてる気がする。
夜目は前よりも効く。
敵の偵察兵が1名、周囲を見渡しており
それ以外は寝ている。
翼は十分治った
私は木に登り高度をとる
「人数はぁ、ひぃ〜ふぅ〜みぃ〜よぉ〜」
「櫓にいるので5人か」
「まずは櫓の人から」
木から飛び立ち滑空
暗闇から櫓に飛び込んだ
流れるように敵兵の口を抑えナイフで首を刺す。
思ったよりすんなりとできた。
続けざまに寝ている4人も口を抑え首を刺す。
敵の拠点を瞬く間に占拠した。
「松明を消したあとは物色しますか…」
死体は軽食を沢山持っていた。
「ビーフジャーキーに豚の腸詰、カロリーバー」
「オマケにお酒も持ってますね。」
「お酒があるならライターも持っていきますか」
その他に投擲物と銃器を回収した
残り2kmは深夜に移動したのと空を飛べるようにもなったので安全だった。
しかし、友軍の防衛陣地を見つけた時は絶望した。
防衛陣地の眼前には敵軍の人型兵器を含んだ部隊が拠点を構築していたからであった。
煙と鉄の匂い
鋼が擦れる音に爆発の轟音
泥沼の戦場が始まります。
優先攻撃目標:敵人型兵器
優先防衛目標:自分自身




