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Mortal revenger  作者: ウルツァイト
1/3

Part1 蒼空を舞う

|ブリーフィングを開始します。


今作戦は友軍の撤退支援要請があったケットリバー戦線に救援を行います。

出動部隊は航空隊δ(デルタ)-6とγ(ガンマ)-1、即応地上予備隊σ(シグマ)-1

戦場は混戦状態にあり我が軍の地上部隊がわかりにくいので注意してください。

δ-6及びσ-1の出撃の2時間後にγ-1が出撃する予定です。

ケットリバー戦線から南3kmに防衛陣地を布陣します。

γ-1は地上部隊を回収後、δ-6及びσ-1と防衛陣地へ向かってください。


ブリーフィングを終了します。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私はブリーフィング室から駆け出した。

すれ違う仲間たちの注意を無視して。

やっと出番が来たのだ。

早く空を飛びたくて仕方がない!

私は航空部隊δ-6の執務室の扉を開ける。


「隊長、出動要請です!!」


目の前の人間はコーヒーをすすっている。

人間は残りのコーヒーを一気飲みすると椅子から立ち上がる。


「了解した。隊員を集めろ。6番格納庫に移動だ。」


私はまた駆け出す。

今度はδ-6駐屯所に向かう。

現在は早朝5時、寝ている隊員も多く駐屯所にいる人は少なかった。

駐屯所にいる全員で宿舎の仲間を叩き起す。


「起きてるよ〜」

「何事ですか?」

「あぁぁぁぁぁ…」


中隊長が号令を出した。


「出動要請だ。」


その声を聞いた隊員全員が出動準備を始める。

聞いてなかった(寝てた)隊員は中隊長に叩き起こされた。


δ-6全隊員が6番格納庫に装備を着て集合する。

私がブリーフィング内容を読み上げた後、各自戦闘機の動作テストを行う。

輸送機1機

護衛機2機

攻撃機2機の編成と順番で滑走路に並ぶ

輸送機にσ-1総勢30名が搭乗した。

γ-1はδ-6の2時間後に出撃する予定だ。


隊長が出撃許可を要請した。


「管制塔、こちらδ-6リーダー。出撃許可を要請する。」


「こちら、管制塔。δ-6リーダーへ 空模様は好調だ。犬っころの鉛玉に気おつけろよ、出撃許可を承諾した。」


「管制塔、出撃許可に感謝する。」

「全機、順次テイクオフ」


「了解」


全隊員が呼応した。


エンジン点火と同時にプロペラの轟音が滑走路に轟く。

サインランプが赤から青に変わった。

δ-6各機が飛び出していく。

空に機械の鳥が舞った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


高度4000m上空にて時速300kmで飛行中


「よし、このまま飛行すれば30分程度で現場に着く」

「もう少し早く着きたいが帰りの燃料も必要…」


「隊長、ご飯持ってないですか?」


「ああ、あるとも。早朝の発進で朝ごはんが無かったものな。」


「わぁ、ありがとうございます…これは餅ですか?」


「そう餅だ。砂糖とバターを練りこんでる。」


「ほんのり甘くて美味しいです。」


あれこれと話していると、ケットリバー戦線が見えた。

戦場は早朝奇襲された我が軍が劣勢になっており最前線では混戦で敵味方の識別がしづらい。

δ-6は高度を下げσ-1の降下地点を確保しに向かう。


「攻撃機はこのまま高度を下げ敵歩兵に波状攻撃、降下地点確保後、輸送機と護衛機も攻撃に参加せよ。」

「銃弾の雨を振らせてやれ!」


「了解!」


全隊員が呼応し、攻撃機乗りの私は銃座にある機銃を強く握った。


「このまま急降下攻撃をする。起首上げと同時に機銃掃射」


「はい!」


どんどん高度を下げながら隊長が発砲する。

そして起首が上がり私にも敵が見えた…

その時、

視界が大きく時計周りに傾いた!


「隊長!どうしました!?」


「野砲が飛んできやがった!すまないっ大丈夫か?」

「いくら野砲でも精度が良すぎる!犬どもめ、化け物すぎるぞ」


「隊長、先に野砲を片付けましょう。輸送機が着陸できません。」


「そうだな。奴らの航空機がないのが救いか」


隊長は攻撃機2機の高度を上げ野砲陣地に急降下で奇襲する。


「ルイス!! 無反動砲を用意しろ。起首上げと同時に撃て!」


「はい!」


攻撃機2機が野砲陣地に砲撃する。

野砲周りの兵士を吹き飛ばした。

野砲陣地は混乱している。


「再度仕掛ける。装填準備!」


もう一度攻撃した時点で野砲陣地は大打撃を受けた。


「当分、野砲は飛んで来ないだろう。」

「敵地上戦力を削ぎ、降下地点確保せよ!」


隊長の号令で攻撃機2機が歩兵を狩り降下地点を確保

輸送機からσ-1が降下する。

σ-1の支援により味方歩兵が集結しつつある。

σ-1の要請により予定より早くγ-1が出撃

40分後には到着し輸送機に搭乗していく手筈だ。


「順調ですね、隊長」


「そうだな。元から航空部隊を配置しておけば撤退などしなくて済んだのに、主戦場に人員を割きすぎが悪い。司令部は犬共を危険視しすぎだ。」


「仕方ないです。犬人種はとても賢いですから。」

「しかし、こちらの戦場は案外手薄でしたね。新型野砲以外に厄介なものはなかったですし、なぜ撤退まで追い込まれたのでしょうか?」


その時、高度2000mを飛行中の輸送機から連絡が入った。


「野砲陣地より北、500mより土煙が見えます!」


「了解した。輸送機は高度を下げ機関銃掃射を続けろ。」


隊長が命令した後、輸送機が高度を下げている途中で被弾し輸送機が爆発した。

それと同時に、戦場へ人型機体が乱入した。

人型機体は砲撃しながらσ-1の場所まで突撃している!


一瞬隊長の操縦が荒くなった…


「こちらが負けているのはあれが原因か…」


「い、今まで補給していたのでしょうか…?」


「かもしれん…あれに対抗できる戦力はないが、撤退完了までは持ち堪えなければいけない。ましてやδ-6の隊員を殺ったからには生かしておけん……」


「そう…ですね。無反動砲を準備します。」


「護衛機はσ-1を援護、攻撃機は人型兵器に攻撃を仕掛ける!」


攻撃機が人型兵器に接近し砲撃を試みる。

しかし、人型兵器乗りはそれを無謀かと見上げていた。

2機の攻撃機はガトリング砲で撃たれ墜落、大破した。

その後、ケットリバー戦線は崩壊。

到着したγ-1は僅かに残ったσ-1と友軍を救出するべく機銃掃射を敢行。

人型兵器を撤退させたが被害甚大。

γ-1の輸送機は2機しか残らず、2機中1機分しか生存者を回収出来なかった。

後にこの戦いの教訓を活かし、司令部は人型兵器の対抗策と航空部隊の増員、配置を怠らなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ケットリバー戦線は崩壊し放棄され戦線は後方の防衛陣地まで下がり、残るは死体のみとなった。


午後18:00

ルイスは目を覚ました…

運良く後部座席から弾が逸れ、打撲と打ち身で済んだのが幸いだった。

操縦席はひしゃげて曲がっているのは確認できるがパイロットは見当たらない。

ルイスの記憶はガトリング砲を受けた直後から無くなっており隊長の生存が不明だ。

2機目の攻撃機は遠くでまだ燃えていて、パイロットは亡くなっていた。

私は自分の機体に戻って辺りを見渡した。

全方位黒と赤で包まれており煙と鉄の匂いがする。

夜目は効く方で敵がいないのを確認した。


「ぐぅぅ〜」


安心したせいなのか…お腹がなった。

私は慌てて武器を探す!


(ないないない!)


使える武器がなく見つけても壊れていた。

辺りを確認したけれど私みたいにまだ息があるやつが残ってるかもしれない。


私はやっと、使える武器を見つけた…


それは隊長のハンドガンだった。


(隊長がハンドガンを手放してどこかに行くはずがない…)


私は絶望感に苛まれ、銃口を頭につけ…


カチッ


「えっ?」

思わず声が出た


銃の中は衝撃で壊れており弾が詰まった…

私は泣いた…とても長い時間泣いていたと思う。

兵士になってから初めて負けた。

敵国に航空部隊は無く空で敗北はなかった。

あの新型兵器は空の飛べない敵国だからこそ作れたものだった。

思いかえせばこの戦争、海のない東側諸国が海に面する西側諸国に対して行った侵略戦争であった。

原因は西側諸国の貿易方法にあり不当な値段で海産物を売っていたのだ。

そんな非道を行ったのは私の種族ではないが…

陸上技術に秀でた東側諸国は戦争では負けないと確信していた。

しかし西側諸国は航空戦力で圧倒している。

戦力は拮抗状態にある。今のところは…

小説を初めて書きました。

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