第37話 取り調べ①
間違って途中で投稿していたので投稿しなおしました。
助け出した女性を一行は村へと連れて帰る。約1か月前にゴブリンに襲われた、彼女の村である。
すでに夜である。マルティナたちは女性を村人たちに託した。彼らは泣いて喜んだ。そして何度も礼を言うのであった。
報告として村人が一人志願してくれ、代官屋敷へと走った。しかし代官から返事が来るまでに、ほかにもせねばなることがある。
そう、捕まえたゴブリンの取り調べである。
斎はゴブリンを縛り上げたまま木から逆さ吊りにした。
「おい、目を覚ませ!」
そう言って水をぶっかける。
ゴブリンは目をぱちりと開けた。そして目の前に人間がいるのを見るととびかかろうとした。しかしそれは果たせない。縛られているからである。
「知っていることを答えろ。お前に情報を流したのは誰だ」
斎がそう詰問するが、しかしゴブリンは答えない。斎は棒で打ち据えた。苦悶の声が上がる。
「答えろ」
斎はそう言って、今度は松明を顔に近づける。
「し、知らぬ!」ゴブリンは叫ぶ「知っていてもお前らなどに言うものか!」
「冒険者様方、それはいったい……わっ、ゴブリン!」
村のはずれで奇妙な声が上がるので、村人たちが様子を見に来ていた。そしてゴブリンが吊るされているのを見ると、驚いて尻もちをつくのである。
「こいつが面白いことを言っていたんだよ。それで取り調べをしているんだ」
マルティナが言った。
「へえ、面白いことでございますか」
「うん、それはね……」
マルティナがそう言おうとしたとき、蹄の音が聞こえた。
代官であった。ゴブリン討伐の報を聞いて、慌てて駆けつけてきたのである。
「それは本当ですか、ゴブリンを捕まえたというのは」
「ええ、本当です」そう言ってマルティナは代官にゴブリンの耳が入った袋を差し出した。「全部で35匹です」
「で、はて、そこにあるのは……」
代官は木からぶら下げられている物体を見て目を凝らした。灯りをそちらに向ける。
そしてそれが何であるかを悟って目を見開いた。
しかし、代官が声を発するのより早く、ゴブリンが叫んだのである。
「奴だ! 裏切ったな! この人殺し!」
ばっと、その場にいた全員の視線が代官に注がれた。
「わ、わしは知らぬ!」代官は慌てふためいて言った。「そ、そのようなゴブリンをなぜ生かしておるのだ! 早う斬らぬか!」
「それはできません」
マルティナが言った。
「何故!」
「これなるゴブリンは我らが捕虜。どう扱おうが我々の勝手です。代官殿といえど、指図はかないますまい」
「ぐぬぬ……」
「では明日、報告をまとめ、罷り越しますので、その折に」
マルティナは頭を下げた。代官は引き下がり、馬を引いて立ち去ろうとする。
「報酬は、よろしくお願いいたします!」
マルティナが叫ぶ。代官は、
「ええい、それは明日の検分でだ。それまで待っておれ、冒険者風情が!」
と返して走り去るのであった。
マルティナは、はあ、とため息をついた。
「さて、どうしようか、これ」
「マルティナ様、ゴブリンは遠吠えをします。仲間を呼ばれてはいけません」
シャルロットがそう言った。マルティナは頷いて、猿ぐつわをかけた。
「さて、村のみんな」マルティナは言った「いかにゴブリンが憎いと言っても、まだ殺してはならないよ。明日、すべてを明らかにしてからだ」
村人は棒を持って集まっていたが、マルティナの言葉を聞いて収まった。
「マルティナ様、もしかして‥‥‥」シャルロットが言った。
「そうだね」マルティナが言った「明日、代官屋敷に行く。もちろんこいつも連れて行く。そして代官殿の目の前で、いったい何を裏切られたというのか、話してもらおうじゃないか」




