第一話 始まりの日へ
初めて投稿します。文や言葉の使い方が下手ですが温かい目で呼んでくださると嬉しいです。
ここは暗やみが包む檻の中、静寂が長い間続いていた。
僕は何もする事がなく、する気力も無かったため一人檻の縁で座って俯いていた。
静寂が続くのはとても辛い、この世界に自分一人しかいない気分になる。数日の間檻の中には自分一人で周りの景色も霞んで見えてきていた。
遠くから人の叫び声が聞こえ、ふと顔を上げるときらびやかな服を着た小太りの男が鎖に繋がれた数人の僕と同じくらいの背丈の子供を連れてきて、檻の中に入れた。
入ってきた子供たちは皆くすんだ目をしていて、各々檻の中に座っていく。小太りの男は連れてきた子供たちがおりに入ったことを確認し、こちらを睨みつけた。
「商品が手に入ったのはいいが、子供しかいないではないか。」
「子供は大した値段で取引されないというのに。」小太りの男は眉間にしわを寄せ不満を大声で吐いた。その声にびっくりしたのか連れてこられた子供たちはビクッと反応し体を丸めていた。
僕にとっては、この男が大声で叫ぶのは何度も聞いているのであまり反応しなかった。それより、檻の中に数日ぶりに人が入ってきた事がとても嬉しかった。近くに人がいることを感じられるだけで周りの景色は鮮やかに見えてくる。
檻の中の人は数日ごとに入れ替わるガタイの良い男や綺麗な女性が入ってきたと思ったら数日後、何人かの男がすぐさま連れて行く。そして、また新しい鎖に繋がれた人が檻の中に補充される。
そう、僕は奴隷であった。
今から二年前、神導王国エリシタリアと人智連合との戦争が終結し、戦争の発端を作ったエリシタリアの王は人智連合から賠償を求められたため体裁を取り繕うため自国の民には神の御意向と評して、エリシタリアに住む平民のうち3分の2の人々を奴隷として人智連合に売却した。
僕もその一人であり、二年間鎖に繋がれ、奴隷商によって人智連合の加盟国を檻の中で連れ回されながらわずかな食事の中、肉体労働を強いられていた。しかし、この二年間、僕をこの檻の中から連れ出してくれる人は一人も現れなかった。
数人の子供たちが入ってきた日の夜、僕はなぜか胸がうづいて眠れずにいた。僕は檻の中に誰かが来てくれるのは嬉しいが、また、数日後には僕一人になるのではないかと不安からだと思うようにした。
僕が入れられている檻は昼間にカリバー共和国で馬車に積まれ、隣国であり人智連合の中で最も大きい勢力を持つアーセム帝国に向けて走っていた。舗装されていない道を走る中、僕は馬車が走る振動で荷台を包む布の隙間から見える満月の月を眺め、(明日こそ僕をこの檻の外へ・・・)と祈り、暗闇に意識が吸い込まれていくのであった。
目が覚めると、僕は木剣を握り顔がモヤがかかりよく見えない男に剣の説明を受けていた。
この人は誰だと感じていると、後ろからよく知る女性の声が聞こえてきた。
「お昼にしましょう。」
僕は出来る限りの大声で、「お母さん!」と叫び、思わず声がした方に振り返ると意識が覚醒し、見知った檻の景色、カリバー共和国にあった城より何倍も大きい城、そして登り始めた朝日が見えてくるのであった。
多くのご指摘と、評価をお願いします。