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神が見放した世界で僕らは何を願うのだろうか  作者: 人畜無害さん
第一章 俺の願い
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第十二話 悪意の行方

初めて投稿します、温かい目でご覧ください。

 人類の脅威であるアーグルが多く住う土地、シーザー島は約5年前ちょうど巨大な木と扉が現れた頃、大陸に引き寄せられているかの様に動き始め、その一年後には中立国家スイシアのリバ岬に接し、一部が陸続きとなった。


 そしてそこからアーグル達が侵入するが、幸いスイシアの首都カリオスにアーグルの群勢が到着する前に連合軍が到着したため、国としての機能が停止せず難を逃れていた。


 陸続きとなった場所には砦が急速に建てられ、その後、アーグルに対抗するための組織である、ギルドも近くに建築された。

約2kmにも及ぶ砦はリバ岬の端から端まで満遍なく届いており強固な壁として万が一、ギルドの隊員がアーグルを撃ち漏らしとしても街には侵入できない様になっている。


 そんな、大きい壁と化した砦のシーザー島へと続く門の下に5人ほどの小隊が駐留していた。


 「隊長、この小女をほんとに連れていくんですか?守りながら戦うの嫌ですよ」


 「私も同じ意見です、隊長、自分の身を守るだけで精一杯です」


 背中に黒色の弓を背負った男が、白銀の鎧を纏った青年におちゃらけた口調で異議を申し出、その意見に濃い緑色の長髪の女性が同意し前に出た。

 隊長と呼ばれる金髪の青年は、一度自分の隣にいる少女を見てから二人の意見に笑顔で対応する。


 「大丈夫だよ、レイシアは知り合いの中では『怒りの化神』なんていうあだ名をつけられぐらい強い女性だから」


 それを聞き、二人は意見を取り下げたかのように、一歩下がり、女性が注意を告げる。


 「わかりました、その少女を仲間として認めましょう、ですが初対面ですので連携はできないと思っておいてください」


 意見を取り下げた女性の注告を聞き、レイシアというなの少女が目を瞑り、ぶっきら棒に口を開いた。

 

 「私に連携などいらないわ、あなた達はただ、死なない様に努力しなさい」

 

 「なんですって!」


 激情した女性が少女に突っかかろうとすると、その間に金髪の青年が入った。


 「まぁまぁ、落ち着いてくださいカリンさん、レイシアは普段、こんな態度ではないんですが、この島に近づくといつもピリピリするんです」


 カリンという名の女性は青年の顔を立てたのか、そっぽを向いて「わかりました」と言い、元の場所に戻った。

 青年も元の位置に戻ると、目をつむり、両手を組んで立ち尽くしていたフルプレートで武装した大柄の男が口を開く。

 

 「隊長、そろそろ出発しましょう」


 男の重厚な声に場が締まり、青年は一息し号令をかけた。

 

 「今から人型アーグルの目撃情報があった場所へ向かう、みんな気を引き締めていくぞ」


 砦から歩いて約1日半かかるオルデア学園、セトとソルシアは朝食を食べ終わり、授業を受けるため講堂に向かっていた。


 「そういえば、今日なんでシーナちゃんはお休みなの?」


 「えーと、なんか用事があると僕は聞いたんだけど、実際僕もあまり知らないんだ」


 「そう、なんだ」


 ソルシアはなんだか寂しそうな表情を浮かべていた。

講堂の入り口付近まで来た時、扉の前に二人の少年が立っていた、クルセイとリーダルだ。


 「来たな、卑しい奴隷の騎士と王族に媚を売っている平民」


 クルセイが口を開き扉の前の階段を降り初め、リーダルもクルセイの後ろについていく。


 「おい、シーナにすがる愚民ども、実戦授業が終わった後ここに来い、来なかったら次は他国の王族も連れてシーナがいるときに呼んでやるよ」


 階段を降り、クルセイは一枚の紙をセトに向けて投げつける。

 紙を拾うためしゃがんだセトは、ソルセアが隣で拳を強く握っているのに気付いた。

 セトが立ち上がるとソルシアは一歩前に出て強い口調で言い放った。


 「訂正してください!」


 「はぁ?」


 「私とシーナちゃんは友達です。媚びなんて売っていません!」


 クルセイはソルシアの言葉に笑い出し、告げる。


 「王族が平民の友達を作るとでも思ってるのか、そんなわけないだろ、あぁでもあの奴隷を自分の騎士にする様な奇妙な女ならありえるか」


 ソルシアがクルセイのシーナをバカにする発言を受け、クルセイに突っかかろうとすると、セトはそれを押さえ、クルセイとリーダルは二人の隣を通り過ぎようとした。

 リーダルはセトの隣を通り過ぎる直前、怒りを孕んだ小さな声で呟く。


 「おい、お前は必ず来いよ、お前の様な奴があのかたの隣にいていいはずがないんだから」


 二人が歩き去るとセトはソルシアを話して謝った。


 「ごめん、ソルシア」


 「うんん、私が取り乱しちゃったからいけないの」


 セトはクルセイに投げつけられた紙をソルシアの見えない様に広げ、前を向く。


 「まぁ、あいつらの言葉なんて無視すればいいさ」


 ソルシアは紙をくしゃっと握りつぶすセトを視界の端に捉えながら講堂に向けて歩き始めた。


 「そうだね」

 

 その言葉は決意を込めた言葉にも聞こえるようだった。



 暗闇が全てを包む中、ザクザクと土を掘る音だけが聞こえる、長い間、何も取り込まず穴を掘っている、あの異様な力を持つ人間達に見つからない様に、ただ穴を掘る。


 「ハラガへッタ……ハヤククイタイ」


 シーナがいない今日、セトの運命が動き出す歯車が噛み合い始めていた。


多くのアドバイス、批評をよろしくお願いします。

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