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神が見放した世界で僕らは何を願うのだろうか  作者: 人畜無害さん
第一章 俺の願い
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第十一話 ある日の朝食

初めて投稿します、温かい目でご覧ください。

僕達がオルデア学園に入学して早くも6日が経過し、毎日、アーグルに対抗するための知識を学ぶ授業と実践授業で1日を費やしていた。


そんな中、上位クラスで一人だけ、実践授業に参加できていない僕は、焦っていた。どれくらい焦っているのかというと、実践授業ではない授業の時間中に自分と向き合おうとボぼーっとし過ぎて、知らぬ間に授業が終わっているほどだ。


シーナに課せられた一週間という期限も残すところ2日だけしか残っていなかった。


僕は何としてでもパーシスを発現させるべく、毎朝の稽古の時間、眠る時間を割いて自分の願いとはなにかについて考えていた。しかし、いくら考えても僕にはこれといった願いはなかった。小さい頃は成し遂げたいと思った願いがあったと感じてはいるのだが、子供の頃の記憶があやふやだった。


「アルバは自分の願いってどうやって見つけた?」


「僕はね、小さい頃に植物について物知りのおじさんに色々な話を聞いていたら、植物が大好きになってしまって、そこから植物のこと知りたいっていう願いができたかな。」


「うーん、やっぱり小いの頃の願いっていうのがやっぱり大切なのかな?」


「そうでもないと思うよ。確かに小さい頃の願いの方が純粋で不純物の入ってない願いだと思うけど、それが、今自分と真剣に向き合い、考えに考えた、複雑でいて強い意志がある願いに必ず勝っているとは思えないしね」


「そうだね、ありがとう」


入学して6日目の夜、僕はルームメイトのアルバに自分自身の願いについて相談していた。

アルバの意見を聞き、僕は結局、自分自身の強い願いによると考えを改め直し、その夜は床についた。


「セト、そろそろ起きようね」


自分を呼ぶ声がすると、僕が目を開け、体を起こすと目の前ですでに制服に着替えたアルバが植物に水やりをしていた。


「最近あんまり寝てなかったでしょ、休むことは大切だよ植物にだって、人にだって」


寝起きでなにが何だかわかっていない中、何だか軽い体をベッドから起き上がらせ「ああ」と気の抜けた声で僕はうなずいた。


僕は部屋の窓から燦々と照りつける太陽に光を見て、ぼーっとしていた意識が覚醒し、勢いよく振り返り、部屋に取り付けられた時計を見た。


「7時半だと」


「セト、今日は良く寝てたよね、いつもは僕が起きるともう部屋にいないもん」


 僕は時計を二度見し、時間がおかしくないことを確認すると、寝巻きを脱ぎ捨て急いで制服に着替え始めた。朝は7時にシーナと合流する時間だからだ。


 僕は今、すごい表情をしているのだろう。なんたってシーナを三十分も待たせているから。

 アルバが僕の表情を見て、驚きつつ笑顔を浮かべている。


 嵐の如く、ぐるぐると部屋の中を動き回り、ほんの数分で身支度を整え、僕はアルバに「起こしてくれてありがとう」と言い、部屋を走り去った。


 シーナと朝食を取る時間は7時であり、時間がずれるのが最も嫌いなシーナを三十分も待たせている、その事実が僕の体を、無理やり限界を超えた速さで走らせていた。


 僕が食堂の側までくると、食堂の入り口の側に立つ赤髪の目立つ少女が目視できた。しかし、その少女からは怒っている雰囲気は感じ取れず、むしろ隣にいる金髪の少女と話していて、和やかな雰囲気であった。


 「すみません、寝坊して遅れました」


 食堂に到着した僕は勢いよく頭を下げ謝罪した。すると、シーナは、ソルシアと話している時と同じ和やかな表情で一言「誰にだってあることよ」と時間の遅れを意にも介さない様に答えた。

 

 「おはよう、セト」


 「お、おはよう」


 ソルシアと挨拶をし、僕が合流し終わると、二人は食堂に向けて歩き始め、僕はシーナの態度に謎も抱えながらも二人に従い食堂に入っていった。

 

 オルデア学園の食堂は7時から8時まで朝食の時間は開いており、朝食はバイキング形式であった。

 食堂の中は朝食を取る生徒で賑わっており、見る限り、空いている席は無かった。


 シーナはキョロキョロと辺りを見渡すと、一つの場所に目をつけ、スタスタと歩いて行った。

 僕とソルシアは顔を見合わせながらもシーナの後について行った。


 シーナが席の目の前まで来ると、それに合わせたかの様に食事を取り終わった生徒達が席から立ち上がり、去って行った。

 シーナは後ろについて来た、僕らに振り返った。

 

 「さっ、席を確保しましょう」

 

 僕がシーナの対面の席に座ると、シーナはカバンを隣の椅子に置いた。


「私たちが席を見てますから、ソルシアは先に朝食を選んできなさい」


 ソルシアは困った顔を浮かべ、手を前に出して振った。


 「そんな、悪いよ、シーナちゃんが一番早くに来てたのに」


 シーナはソルシアの手を掴み、ほのやかに笑顔を浮かべた。


 「いいのよ、私はちょっとセトと話さないといけないことがあるから」


 ソルシアもシーナの笑顔に引きつられて笑顔を浮かべた。


 「わかった、すぐ取って戻ってくるね」


 僕とシーナがソルシアがパタパタと走っていく、後ろ姿を見送ると、シーナがこちらに振り、僕は全身から汗が吹き出している様な錯覚を覚えながら、シーナに対面した。

 

 「セト、体は大丈夫なの?あなた、最近ボーッとしている時間が長かったでしょ」

 

 「はい、今朝は長い時間寝ましたので、体は大丈夫です」

 

 「そう、遅刻の件については、今度ゆっくりと話すとして、今はもっと重要なことについてあなたに話すわ」


 「は、はい。で、その重要なこととは何ですか?」


 僕は遅刻した気まずさから自然と敬語で話していたが、シーナが遅刻の件より重要なことがあるというので、僕は意外に感じながらも、重要なことについて聞いた。

 

 「私、明日学校休むから、ソルシアのことを頼みたいの」


 「明日、何か予定入っていましたっけ?」


 「いいえ、公の用事じゃないの、私用のだからセトにはまだ関係ない用事だわ」


 僕は、『関係ない』という言葉にむすっとしながら、話の続きを質問した。


 「それで、何故ソルシアを頼むなんですか?」


 シーナは僕の質問に少し怒気を含んだ声で答えた。

 

 「私の友達って、クルセイに言ってしまったでしょ、普段は私とセトがソルシアと行動しているから、ちょっかいはかけられないでしょうが、明日は私がいないから、少し不安なのよ、だから、頼むわセト」


 僕はシーナの声色から本気で頼んでいること、そして、ソルシアを友達として大事にしたいと思っていることを感じ取り、強くうなずいた。


 「セト、シーナちゃん、ただいま戻って来ました」


 僕とシーナが話し終わるのを見越したかの様に、ちょうどのタイミングでソルシアが御盆に食事をのせて戻って来た。

 

 「帰って来たわね、じゃあ、ソルシア席の確保頼むわね」


 「うん!」


 ソルシアの明るい返事とともに、僕とシーナは立ち上がって、朝食を取りにいくのであった。


 



多くのアドバイス、批評をお願いします。

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