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怠惰にVRMMO(仮)  作者: 耀
15/19

15話

「う〜ん、これからどうしよう」


アレクセンたちが出ていった後シュウはベットに寝転がったままそう口にした。


「本をお読みになってわ?」


「読む気分じゃないんだよね〜」


「でしたらお眠りになりますか?私が膝枕をしますので」


「それもいいんだけど・・・」


エルが提案してくるがシュウはそれに難しい顔をして首を捻っていた。


「・・・あ、そうだ。散歩しよっか」


「散歩ですか?」


「うん、折角王城なんて珍しい場所にいるんだからいろいろ見てみようよ」


「なるほど、わかりました。では、すぐに行きますか?」


「そうだね」


シュウはそう言うとベットから立ちあがった。そして、ドアの方に歩いていった。


「行こうか」


シュウたちは部屋から出ると適当に歩き始めた。王城の中ではメイドたちがいそいそとあっちへ行ったりこっちへ行ったり仕事をしていた。偶に見回りの兵士がいたり、重要な部屋の前には兵士が門番のように立っていたりした。


「・・・ん?」


そんな風にシュウたちが散歩しているとある部屋から声が聞こえた。


「そこはもっとなめらなに」


「はい」


リリアの声ともう一つは知らない声だったが何をしているか気になったシュウはその部屋のドアをノックし開けてみた。


「あら、あなたは・・・」


「シュウ様!」


その部屋の中には眼鏡を掛けた少し目のきつい女性とリリアがいた。


「何してるの?」


「ダンスの練習をしているんです」


「ダンス?」


「はい、パーティーなどで踊る必要があるので」


ダンスの練習は体力を使うのかリリアは少し顔が赤くなっていて額には若干汗が出ていた。そんなリリアは上気した顔と少し汗ばんでいるせいか少し色っぽく見える。


「あ、あの、あまりにも見ないでください」


「ん、ごめん」


シュウが見ているのに気がついたのかリリアはもじもじとしはじめた。少し色っぽいっと思いながら見ていたののでリリアも恥ずかしがった。


「こほん、はじめましてシュウ様、私はメリル=ホードといいます。リリア様の教育係を務めています。以後お見知り置きを」


「うん、よろしく」


リリアと変な雰囲気になっていたところにメリルが自己紹介をしてきた。


「リリア様いちゃいちゃするのもよろしいですがまだレッスンの途中ですよ」


「い、いちゃいちゃなど!・・・そ、そうです!続きをやりましょう!」


メリルの言葉に慌てながらレッスンを再開しようとした。


「見ててもいい?」


シュウはダンスがどのようなものか気になったシュウはそう聞いた。


「はい、ダンスの邪魔にならないよう隅の方で見ていただけるのなら大丈夫です」


「わかりました」


メリルの言葉を聞き部屋の隅に移動した。


「シュウ様、こちらをお使いください」


床に座ろうとしたシュウにエルが椅子を勧めてきた。


「ありがと」


エルがどこから椅子を出したのかもう疑問に思わなくなったシュウであった。


〜〜〜〜


「そこはもう少し早く足を出してください」


「はい」


「・・・」


メリルの指導に一生懸命に体を動かすリリアたちをシュウはじ〜と見ていた。その目はどこかいつもと違う目であった。


「ここはもう少しスムーズに移動してください。もう一度やりますよ」


「はい!」


メリルがリリアにそう指示しもう一度同じところを踊ったのだが・・・


「やはり、リリア様はここが苦手なようですね」


「・・・すいません」


リリアは同じ失敗をしてしまった。どうやらメリルの口ぶりからして何回も同じミスをしているようだ。リリアは申し訳なさそうに、悔しそうな顔をしている。


「リリア様、そのような顔をしてはいけません。できないのならできるようになるまで頑張って練習するのみです」


「はい!」


「ちょっといい?」


今まで部屋の隅でリリアの練習を見ていたシュウが声をかけた。


「リリアがそこで失敗する理由は身長差だと思うよ」


「そうなのですか?」


「うん、リリアの身長から考えてメリルさんの身長は高すぎるんだよ」


確かにシュウの言うようにリリアの身長が150cmくらいに対しメリルの身長は170cmくらいある。


「だから、さっきのところでもたついちゃうんだと思う」


「そうだったんですね」


「なりほど」


リリアとメリルがシュウの言葉を聞いて感心した声を出した。が、メリルが難しい顔をした。


「そうなるとリリア様の練習相手を私が務めるわけには参りませんね。では、代わりの練習相手をどうするかですか・・・」


「それなら俺がやりますよ」


メリルのつぶやきにシュウはそう返した。


「・・・できるのですか?」


「うん、見てたから」


メリル疑うような目を気にすることなくシュウはリリアに近づき手をとった。


「じゃ、最初からいこうか」


「は、はぃ〜」


いきなり手をとられたリリアは顔を真っ赤にしつつ、シュウに言われたようにダンスを踊りはじめた。そして、シュウはそれに合わせて踊った。


「ふむ」


シュウのダンスを見たメリルは感嘆した。シュウはダンスを完璧に踊っていた。確かに拙い部分もあるにはあるがそこまで目立つものではなかった。メリルはシュウがダンスを踊ったことがないのを長年の経験から見抜いていたので、シュウが踊ると聞いて疑っていたがどう言うわけかシュウはダンスを踊れている。


実はシュウは部屋の隅で見ていたのはリリアが踊る姿ではなくメリルの踊る姿であった。シュウは貴族のダンスというものに興味が出て少し踊ってみたくなったので男性パートのほうを担当しているメリルの身体の動かし方や足を出すタイミングなどをじっくり観察していたのである。なので、シュウはダンスを踊れているのだが初めてのダンスなので拙い部分が出ているのは仕方がないが、ここまで踊れるのはシュウの並外れた器用さによるものだ。


そして、問題の部分にさしかかった。


「っ!」


リリアは驚いた顔をした。いつも、失敗していたところでいつもより簡単にそして、いつもよりスムーズにできた。驚いた表情をした後リリアはいつも失敗していたところができて嬉しくなり顔も笑顔になりシュウとのダンス楽しんだ。

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