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罪人の世界価値観  作者: 水無月五日
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第二話 試験試合1

俺とラルクは昨日案内された場所に指定された時間の10分前に、第3訓練場の特別に設置された男子更衣室に来ていた。

「なぁ、ちょっとシエルは無責任じゃないの。『店を数日休むわけにもいかん』って言ってさ、今朝速攻で帰って行ったし、もし俺らが試験落ちたらどうするつもりだよ」

「まぁ、その心配はしていませんでしたよね。むしろ最後に行っていたのは、『バカやってもいいが、私には迷惑かけるなよ』でしたからね」

「ただ厄介払いされた気しかしないんだけど」

「まぁまぁ」

ラルクがジョットをなだめている時だった、放送のスピーカーから連絡が入った。

「試験官、試験生は、ただちに訓練場にお越しください繰り返します………」

「さぁいきましょうか」

「もう、こうなりゃやけだ、派手に決めていこうぜ、相棒」

「別にいいですけど後で面倒ごとにもなるのも嫌ですからほどほどに暴れてくださいね、相棒」

パンッっと2人は片手を上げハイタッチをした。




2人が訓練場に着くと訓練場の観客席には満席とわ言わないがそれなりの人が彼らの模擬戦を見に来ていた。

「なに、皆さん暇なの?」

「こういったイベントに飢えているんじゃないんですか?」

ジョット達が何気なく今の状況を話していると、

「時間通りですね、そこは立派です」

2人の試験官が入ってきた。

1人は昨日学園長室にいたリッカ・マクウェラル、その隣の少し小柄だがスタイルのいい茶色の髪をポニーテールにし、肩までの垂らした女子生徒は、

「初めまして、今回のもう1人の試験官、彼女と同じB級魔術師騎士科2年星華会書記リゼリア・ウィルスコットと申します」

彼女が丁寧にお辞儀をしてきたので慌てて礼を返す2人。

そしてそこにもう1人審判役の教員が姿を現わした。

審判役の教員はリッカ達に右の箱、ジョット達に左の箱を差し出した。

「それぞれの箱には赤と青のボールが1つずつ入っている、同じ色を引いたもの同士が対戦相手だ」

言った後俺たちは箱の中のボールを同時に引いた。

「決まったな。では第一戦を始める。赤ボールを引いた者前に、青ボールの者はベンチまで下がりなさい」

こちらの赤ボールはラルクだ。対戦相手は先ほど名乗ったリゼリアという人だ。

「頑張れよ」

「ある意味プレッシャーに感じますよそれ」

と余裕を感じ取れるラルクに応援の言葉を送りベンチに向かった。

「この結界は、結界の外の者を護るだけでなく中にも加護がついている、死ぬようなことはないが、度を越えた行為や反則が判明した場合、試合は反則をした者の負けとする。いいな」

「はい」

「わかりました」

リゼリアの後にラルクが答え、審判が続けて問う。

「ではルールの確認だ。10分間の1対1の戦闘、試験官側の勝利は、相手を戦闘不能にした場合のみ、いいな」

「はい」

「試験生側の勝利は、10分間で相手に一撃を与えること、与えられずとも10分間耐えること、いいな」

「わかりました」

「それでは1分後試合を始める。各自気持ちを整え試合に挑んでくれ」

「「はい」」


「あなたのその腰の武器は剣なんですよね?」

リゼリアがラルクに声をかける。

「ええ、こちらでは珍しいかもしれないですが(カタナ)と言います、東の和国『ヒミコ』で作られたものなんですよ。先輩のそれはレイピアですか?」

「ええ、これが一番使い慣れています、あなたもその手を見る限りかなり自分に扱いやすい武器みたいですね」

「さすが先輩だ、手を見ただけで気づかれるとは、もともと気を抜くつもりはなかったですが注意をしなければ」

「それはそれは、あなたがどんな戦いをするのか楽しみになりました。よろしくお願いしますね」

「こちらこそお願いします」

会話が終わると審判が声をかけてきた。

「試合開始の10秒前」

「………ふぅ」

ラルクは、抜刀の構えで集中し始めた。

「それでは………試合………始め‼︎」




試合が始まる数分前の観客席、1人の女子生徒が隣にいた友達に聞いた。

「ねぇ、今回の試験生の合格条件って10分間耐えるのと一撃を与えるだけなんでしょう簡単すぎない?」

すると彼女の友達は、

「簡単なわけないじゃない。星華会のメンバーって生徒を代表にするような人物達だよ。つまり強さで言えば星華会長を筆頭に副会長の2人、書記、会計、他に庶務の5人を含めて500人いるうちの学園のトップ10‼︎いや順位は1位の会長以外知らないけどそれでも副会長と書記だからトップ5に入る実力者よ一撃どころかあの試験生なにもさせてもらえずに終わるんじゃ無いかしら」

「うわぁそれはまた厳しいねぇ」

「普通は教員の誰かが勝ち負け関係なしに試験するはずなんだけど、毎年入試試験はそうだしなんでなんだろう」

まさか学園長が直々に生徒に任したなんて知る由もないだろう。


ちなみにこの強さの順位をジョット達が知るのは試験が終わった次の日だ。




そして試合開始を告げようとする審判に観客の全員の視線が2人に釘付けとなった。

「それでは………試合………始め‼︎」


サッ! ダァアアアアン


試合が始まったと思いきや、いきなりラルクがいなくなると同時にリゼリアが吹き飛ばされ後ろの壁に激突し土煙が上がる。

リゼリアの立っていた場所にラルクが立っており、リゼリアのいると思われる壁付近は激突した際に土煙が発生していた。

数秒後の唖然とした空気の中、信じられないが誰もが思った。

『今の一撃で試合は終わった』と、

「…………勝者は…」

審判がジャッジを下そうとした時、ラルクが止める。

「待ってください」

誰もがラルクに視線を向ける。

するとラルクは、

「私はまだ一撃を与えていません」

すると土煙が晴れ魔術障壁を纏ったリゼリアがが姿を現わす。

「………驚きました。まさか万が一と思い障壁を付与していましたがすぐに効果が出るなんて」

リゼリアは、驚きを含みながらも涼しい顔をし、その場に立っていた。

「私も驚きました。まさか今のでダメージを与えられないなんて」

こちらも驚いたといった表情をするラルクだが、リゼリアは、見抜いていた。

(攻撃を当てる瞬間、ブレーキをかけていたように見えましたが。多分障壁に気づき攻撃を当てたのでしょうけど、あの速さの割にあの程度の威力多分手加減をされたのでしょう。

結構紳士的ですのね。でもその紳士的なのが命取りですわ‼︎)

次に、リゼリアが仕掛けてきた。

≪剣王の意思……付与≫

リゼリアは、右手に持っている武器レイピアに上級強化付与の魔術をかけ、ラルクに走り近ずく。

自分目掛けてレイピアを突いてくるそれを、ラルクはバックステップで躱そうとするが、

「……あれ?」

自分の足が地面に埋もれていたのだ。

≪土の鎖≫

土によって相手の自由を少し奪う魔術だ。

低級の魔術だが無詠唱で発生させる学生はなかなかいないだろう。

「お見事です」

土によって少し自由を制限させられたラルクは、レイピアを刀で弾き飛ばした。

レイピアは、リゼリアの後方の壁付近の地面に刺さった。

リゼリアの目の前には、ラルクが自分の刀の剣先を向けている。

「私の負けです。降参します」

リゼリアが悟ったように笑顔で降参宣言を告げる。

試合開始から1分間の出来事。

審判が告げる。

「リゼリア・ウィルスコット試験官の降参宣言により、……勝者、ラルク・コーテッド試験生」

審判の声が訓練場全体に響き渡った後、数秒後に、周りの観客全員が歓声を上げた。



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